加山又造の富士


こんにちは。
東京は桜の見頃を迎えていますが、皆様のお住いの地域はいかがでしょうか。
今年は新型コロナウイルスの影響で、お花見の宴会も各地で自粛となっているようです。
毎年の恒例行事にされている方は残念ですが、今年は公園を散策して桜を楽しみましょう。

さて、3月28日(土)は近代美術/戦後美術&コンテンポラリーアート/近代美術PartⅡ/BAGS/JEWELLERY&WATCHESオークションを開催いたします。

当社では、新型コロナウイルスの感染予防に関しまして、下記リンクのような対応を行っております。ご参加をご検討されている方はご確認ください。
皆様のご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

【ご参加されるお客様へ】お知らせ


今回の近代美術オークションには、現代の日本画を代表する画家、加山又造(1927-2004)の名作2点が出品されますのでご紹介いたします。
2点の題材は、ともに日本の最高峰「富士」です。

富士は日本美術において伝統的に描き続けられ、とりわけ近代以降の絵画では日本の象徴として様式化されて表現されてきました。加山は主要なシリーズを制作する一方で、30歳頃から40歳代を中心に各地の山々に取材に出かけ、そのスケッチをもとに雪に覆われた峰や渓谷の風景を晩年まで繰り返し描きました。特に、激しさと静けさを併せ持ち、美しい稜線を見せる火山に惹かれ、火山を訪ねて回る過程で、先人たちが描いてきた富士に自身も挑戦しようと思い立ったと考えられます。

【 オークション終了につき、画像は削除させていただきました 】
 
 257
 《不二》
  89.8×115.8cm
  紙本・彩色 軸装
  昭和59(1984)年作
  右下に落款・印 共箱
  加山哲也鑑定書付

「加山又造展」2009年(国立新美
術館/日本経済新聞社)出品

 
落札予想価格 

 ★¥10,000,000~¥20,000,000


《不二》は、雲海の中に聳え立つ富士をクローズアップして描き出した作品です。
色味の異なる数種類の金泥や金砂子を駆使し、画題通り「二つとない」美しさを誇る山容、霊峰と呼ばれるその姿から醸し出される荘厳な気配や迫力を輝かしく表現しています。この眩い金は、加山が憧れた琳派を象徴する色彩であり、豪奢で装飾的であるだけでなく、永遠性を孕んだ象徴的な空間を創り出しているようです。さらに、見方を変えると、単色による豊かな色彩表現はあたかも墨を金に置き換えたかのようでもあり、この時期に加山が取り組んでいた水墨画の「墨に五彩あり」の境地を思わせます。

【 オークション終了につき、画像は削除させていただきました 】

 258  《青富士》
   70.7×109.2cm
   紙本・彩色 軸装
   昭和53(1978)年作
   左下に落款・印 共箱
   加山哲也鑑定書付
・『加山又造全集[第一巻]動物たち/風景』(1990年/学習研究社)№121
・「加山又造展」2009年(国立新美術館/日本経済新聞社)出品

落札予想価格 
 ★¥5,000,000~¥10,000,000

《青富士》は、代表作の一つとして知られる三部作《雪》《月》《花》(東京国立近代美術館蔵)が完成した昭和53年に制作された作品です。
青い山肌の富士は夏を表わす題材であり、本作では形態を単純化し、緑鮮やかな周辺の山々とともに雲の合間から姿を現す様子を描いています。写実に基づいて表わされた沸き立つような雲は、空全体に刷かれた銀泥と思われるメタリックな絵具の効果により、装飾性のみならず立体感や動感がいっそう際立たされているようです。また、群青と緑青の組み合わせは、琳派の尾形光琳や酒井抱一が描いた夏の花、燕子花を想起させる色でもあるでしょう。

東洋の古典絵画に倣い、それを現代的で洗練された表現に解釈し直すことにより、革新的で装飾性豊かな作風を展開した加山又造。二つの富士の大作は、現代に相応しい新たな美を紡ぎだそうというその挑戦をうかがわせる優れた作例と言えます。

2点とも本紙が横1メートルを超える大幅です。ぜひ下見会場で実物をご覧ください。
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皆様のご来場を心よりお待ちしております。

(佐藤)