11月オークションの下見会スタートしました


 今月は近代美術、近代美術Part2、Asian Auction Week in Hongkong(コンテンポラリー)、Council&SHINWA Alliance Auction(ジュエリー&ウォッチ)と、オークションが盛り沢山です。今週から各種オークションの下見会がはじまりました。
 先日大阪での下見会が終わり、本日と明日は名古屋で近代美術とジュエリー&ウォッチの下見会を開催しています。また、8、9日はSelected Viewingということで、11月の各オークションから選りすぐりの作品を集め、台湾でも下見会を開催いたします。お近くにお立ち寄りの際は、ぜひお越しください。

下見会スケジュールはこちら

 さて、本日は、11月の近代美術オークションの出品作品から、川合玉堂の作品をご紹介いたします。こちらも現在名古屋の下見会で展示中です。玉堂は愛知県生まれですので、今回の下見会は里帰りということになりますね。

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Lot.40 川合玉堂(1873-1957)
《飛瀑霜葉》
138.7×50.9cm
絹本・彩色 額装
昭和15年作
左横に落款・印・年代
玉堂美術館登録あり
『歴史を築いた日本の巨匠Ⅱ 川合玉堂(下巻)』掲載 P.120 №3(美術年鑑社)
エスティメイト 
★¥2,000,000.~3,000,000.



 まずは川合玉堂について、簡単にご紹介します。
 玉堂は1873年愛知県生まれ。1887年京都の望月玉泉門下に入門。1890年幸野楳嶺の画塾に入門し、菊池芳文、竹内栖鳳らとともに学びました。1895年幸野楳嶺の逝去にともなって、翌年から橋本雅邦に師事。1898年雅邦らに従い日本美術院の設立に参加。1907年第1回文展に出品。以降文展・帝展を中心に活躍します。1917年帝室技芸員、1919年帝国芸術院会員となり、1940年文化勲章を受章。1951年には文化功労者となりました。日本の伝統的な狩野派・四条派の技を極め、四季折々の日本の自然を描きつづけた日本画家です。自然とともに生きる人々の暮らしへの共感を素直に表現した詩情豊かな作風は、現在も高い人気を誇ります。

 本作品は、文化勲章を受章した1940(昭和15)年、67歳の時に制作された作品。玉堂が、まだ終の棲家となった奥多摩に移住する前、東京・新宿区に居を構えていた時代の作です。この時期、制作は成熟期を迎え、色彩と墨とが見事に調和した傑作が次々に生み出されていきました。
 題材となった山渓と瀑布は、玉堂が得意としたモチーフ。卓抜した技術で表現された風景は、写実に基づいたものでありながら「日本の美しい自然」として理想化された風景です。勢いよく流れ落ちる滝と、険しい岩壁を彩る鮮やかな紅葉には、厳しくも美しい自然の姿が生き生きと表されています。雄大な自然美とともに、大きな荷物を背負い橋を渡る点景人物を描き込むところがいかにも玉堂らしく、心を和ませます。詩情豊かな秋の情景としてまとめ上げた佳作と言えるでしょう。

(執筆:S)