加藤泉《ヨキカオ No.19.》


本日は、加藤泉の作品、《ヨキカオ No.19.》をご紹介します。

加藤泉は、昨年、ヴェネツィア・ビエンナーレの国際企画展に招待作家として参加したことでも話題となった作家です。個展の他、「リトルボーイ:爆発する日本のポップカルチャー」(Japan Society Gallery N. Y. 、2005年)、「MOTアニュアル 等身大の約束」(東京都現代美術館、2007年)などのグループ展において高く評価され、今後の活躍が期待されています。また、6月28日から原美術館にて開催される「アートスコープ 2007/2008 ―存在を見つめて」にも出品が予定されています。

lot258  加藤泉
  lot258 加藤泉 《ヨキカオNo.19.》
  41.0×53 .0cm/キャンバス、油彩
  1999-2000年作
  落札予想価格:50万円~70万円

1969年、島根県に生まれた加藤は、1992年、武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業後、ブランクを経て、1998年頃より本格的に画家としてのキャリアをスタートさせました。

《ヨキカオ No.19.》は、1999年から2000年に展開された顔のシリーズの一点で、加藤が現在の作風を確立しつつある時期に制作された作品です。

加藤は、宇宙人や胎児、未成熟な生命体を思わせる「生き物」をモティーフとした絵画や彫刻を制作しています。その頼りなげな存在は、羊膜を思わせる何ものかに挟まれて、観る者に虚無的な視線を投げかけています。

「それ」が一体何者で何を考えているのか。同時に、観ている我々は何者で何を考えているのか―。作品と対峙していると、様々な疑問が湧きあがります。

加藤の作品は、現代を生きる我々自身が、空虚で未完成な生命体なのかもしれないという真摯な省察に満ち、観る者の心を強く揺さぶるのでしょう。