ザ・ジョージアンクラブ コレクション


こんにちは。
先週のBAGS/JEWELLERY&WATCHESオークションにご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

今週25日(土)はワインオークションを開催いたします。
今回の目玉は何といっても「ザ・ジョージアンクラブ コレクション」です。フレンチがお好きな方なら「ザ・ジョージアンクラブ」の名前はよくご存知でしょうか。もし東京にお住まいならば「思い出の場所!」という方もいらっしゃるかもしれません。今回のオークションでは、憧れのグランメゾン旧蔵のワインが194ロット出品されます。
というわけで、今日は「ザ・ジョージアンクラブ」のお話をさせていただきます。


「とあるディレッタントの英国紳士が自分のタウンハウスを開放し、
同好の志が集まるクラブを結成しました。
その紳士の名はジョン・ラッカム。
そしてクラブの名は ザ・ジョージアンクラブ。」


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かつて東京・西麻布にあったザ・ジョージアンクラブは、このような雰囲気を理想として建設された一軒家のグランメゾン。設計から竣工まで10年の月日を費やした建物は、「Age of Elegance」と称された18世紀後半から19世紀前半にかけてのイギリスのジョージ王朝様式を忠実に再現した白亜の洋館です。この様式は古代ギリシア・ローマ美術を基に生み出され、その調和のとれた威厳漂うデザインが英国貴族たちの間で流行し、彼らの邸宅へ取り入れられたもの。ザ・ジョージアンクラブは、イギリスのレストランではもう体験することのできないこの古き良き英国の貴族文化を蘇らせるべく、本場の建築家に設計を依頼し、シャンデリアや燭台、絵画といった様々な家具や調度を輸入して当時の内外装を見事に実現させました。特に、螺旋階段の階下に広がるメインダイニングは、まるで近世のヨーロッパにいるかのような豪奢で気品溢れる空間として演出され、訪れるゲストに優雅な時間をもたらし、非日常の世界へと誘ったといいます。
 
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豪華なメインダイニング。日本にいることを忘れてしまいそうです。

レストランの主役である料理は、フランスの三つ星レストランで部門シェフを務めたシェフによるもので、西洋の美意識が貫かれた伝統的な味つけに目新しい西洋野菜やフレッシュハーブ、複雑にミックスしたスパイスを使用したモダンなスタイル。その多彩な味わいに合わせ、ワインは6000本以上収容可能な地下のワインセラーでつねに充実した質量が用意され、日常の保管はもちろんのこと夏期に納品させないなど、徹底した温度・湿度管理で品質が保持されました。
 そのセレクションの秀逸さには定評があり、ワインを目当てに訪れる愛好家も多く、Krug前当主・Henri Krug氏と現当主・Olivier Krug氏、Taittinger前当主・Claude Taittinger氏、Domaine de la Romanee-Conti当主・Henri-Frederic Roch氏、ヌーヴェル・キュイジーヌ界で最も影響力のあるレストランガイド『Gault Millau』を創刊した料理評論家・Henri Gault氏、英国王室御用達のワイン商Berry Bros. & Ruddのマスター・オブ・ワインなど、そうそうたる顔ぶれも料理とともにワインを楽しんだそうです。また、それらを提供するサービスも料理や建物同様に一流で、ゲストにとって心地よい空間づくりやぬくもりを重視した接客で知られました。

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Bar(左)やSalon(右)もステキです。随所にオーナーのこだわりが見て取れます。

こうしたすべてのもてなしは、このレストランに集う人々に幸福が訪れるようにというオーナーの願いが反映されたもので、建物の正面に刻まれた「FORTUNA DOMUS MEA(我が幸福はこの家と共に在り)」というラテン語の銘文にもそれが見て取れます。日本屈指のグランメゾンとしてフランス料理界にその名を轟かせたザ・ジョージアンクラブは、2007年秋に発表された『ミシュランガイド東京2008』で一つ星を獲得。しかし、2008年3月、このレストランを愛した多くの紳士や淑女たちに惜しまれながらその歴史に幕を下ろしました。

特別な日に、あるいはザ・ジョージアンクラブの思い出とともに、世界中のワイン通に愛された名店のワインを楽しまれてはいかがでしょうか?

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※下見会は予約制になります。

みなさまのご来場を心よりお待ちしています。

(佐藤)