痛みを描くアーティストKwon, KyungYup


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「My heart」 162.2×112.0cm


「純粋な空間、無菌状態の人工的なこの空間に、たった一人で、自分自身の内面を見つめている少女は、身に刻まれた過去の痛みを持つ現代人の肖像です。」(作家ノートより)

桜の花びらの舞い落ちる季節、皆様いかがお過ごしでしょうか?
今日は、この季節にふさわしい桜色の奇麗な絵をお見せすることから始めてみました。上の作品は、近年韓国を中心にアジアの各地からラブコールが高まっている韓国人女性アーティスト、コン・ギョンヨプ(Kwon, KyungYup)さんの作品です。

体の一部を包帯に捲かれた少女たちを通して人の魂を表現するコン・ギョンヨプさん。パステル風のやさしい空間から染み出す不思議な雰囲気は観る者に何気ない悲しみを感じさせます。また、絵の中の弱々しそうな人物は漫画やアニメに登場するような、傷つきやすい少女を連想させ、憐憫の感情を生じさせます。


●Kwon, KyungYupさんのプロフィール

【個展】
2010 Last Letter (Unseal Contemporary, 東京)
2009 Space of Memory(Gana Art Gallery, ソウル)
2008 Art Seoul 2008(ソウルアートセンター, ソウル)

【グループ展】
2010 The more, the better(Sun gallery, ソウル)
2009 Korea International Art Fair(Coex, ソウル)
HongKong International Art Fair(HongKong Convention Center, 香港)
2008 Opening Show(Times Art Gallery, 台北)
Blue Dot ASIA (Seoul Arts Center, ソウル)
MicroART69-Heart (In-Sa Arts Center, ソウル)
2007 Team preview “Art Show” (Gallery Indeco, ソウル)

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〈作業に夢中になっているコンさん〉


ご覧のように、コンさんが作品の中に象徴的なモチーフとして良く使っているのが、「包帯」と「眼」です。
中でも、必ず登場する包帯は、身体的・精神的な傷の象徴、すなわち、人間としての存在論的意味を含むすべての「傷」を表します。外からの刺激を遮断しながら、既に身に染み込んだ過去の傷を抱き込んでくれる包帯。それは、強い御守りであり、同時に優しい慰めです。

韓国ではアートフェア、オークション、展示会などでもうその人気を集めているコン・ギョンヨプさんは、その活躍の場を広げ、最近香港・台北での展示会を経て、アジア各地のオークションでもめざましい結果を見せています。中でも今度の5月8日からはいよいよ日本での初個展が開かれる予定で、皆様との初対面を楽しみにしているようです。

若い時によく感じたことがある根拠のない悲しみ、その中からまた生じてくる強い自己愛。韓国の若手の女性アーティスト、コン・ギョンヨプの作品、皆様いかがでしたか?


「Kwon KyungYup / LAST LETTER」Tokyo展
会期:5月8日(土)~29日(土)
レセプションパーティ:5月8日 17:00~20:00
会場:unseal contemporary
〒103-0026東京都中央区日本橋兜町16-1第11大協ビル2F
Tel&Fax:03-5641-6631 http://www.unseal.jp


<執筆:W>