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オークションの舞台裏 -愛すべき小道具たち-

猛暑もひと段落して朝晩も涼しくなり、ようやく秋の気配が訪れ始めましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?

さて、社内では夏季休暇が終わり9月のオークションに向けて、各部署ともリフレッシュしたメンバーが精力的に働いております。今回の舞台裏は、普段私たちが社内外で使用している色々な道具についてご紹介したいと思います。

風呂敷
もしかすると皆さんの中に、銀座の街中で風呂敷包みを抱えて歩いている人を見かけたことがある方がいらっしゃるかもしれません。風呂敷は美術業界では今でも日常的に使われている道具の一つです。風呂敷、真田紐
風呂敷と真田紐。その柄でどこの画廊かわかることも

 弊社では、入社するとすぐに風呂敷の扱い方を教わります。キチンと包めているかどうかでこちらの美術に対する姿勢や技量が計られることもあるので、たかが風呂敷と侮ることはできません。
この風呂敷、大きさはさまざまありますが、絵画や陶芸作品はもちろん画集や備品などとにかく何でも包んで持ち運ぶことができ、使い終わったら小さく丸めてしまっておけるという大変便利な代物です。営業や鑑定、倉庫から下見会場への移動時など、さまざまなシーンで活用されています。

風呂敷

入社してはじめの頃は、銀座の大通りを風呂敷包み抱えて歩くのが恥ずかしかった覚えがありますが、しばらく使っていると、何でも包めてとても使い勝手がよく、かつ、エコでもあるこの風呂敷の魅力が段々とわかってきて、そのうちに包みを持って歩くことがカッコよく思えてきたから不思議です。

今では私用でも使っており、引っ越しの時に使ったり、旅行のときなどトランクに一つ忍ばせて、旅先などで荷物が増えた時などにとても役立っています。

真田紐
これも、陶芸作品や茶道具などの桐箱に使用されているので、美術品の愛好者ならば一度は目にしたことがあると思います。しかし、ここで私がご紹介するのは、幅約2~3cmのもう少し太い真田紐。どの様な使い方をするのかと言うと、先ほどご紹介した風呂敷で包んだ作品などを更にしっかりと固定するために使います。例えば、風呂敷で大きさの違う陶芸作品を数点包んで運ぶ場合、風呂敷のみだと歩いている間に作品自体の重みで結び目が伸びてきたり、段々と包みが緩んできてしまいます。そうすると、持ちにくくなったり荷崩れしたりするので、作品に危険が及んできてしまいます。そこでこの真田紐を使って全体をくくると、作品がしっかり固定できて包みも緩まなくなり、また、画像でもわかる通り鞄のような具合となり大変持ちやすくなります。
つつむ風呂敷紐完成
なるべく四角くまとめて、クルクルっと完成!

風呂敷同様、使い慣れてくると昔からある日本の日用品がこんなにも便利で使いやすいものであることに改めて驚きを感じます。

メジャー(ART SCALE)
 世の中では、さまざまな業種でそれぞれの用途に合わせて色々なメジャーが使われていると思います。美術業界でも、多くの方に支持され長く使用されているメジャーが存在します。
多聞堂メジャー

 一見ただのグレーの小さな巻尺に見えるこのメジャー、中を引っ張りだすと目盛りの他に絵画の号数が印刷されています。もちろんオークション会社の社員として号数が頭に入っていることは大前提ですが、一度に多くの作品を採寸する場合などには、サッと測ってすぐわかるこのメジャーがとても威力を発揮するのです。
 このスグレもののメジャーは、額装の老舗、岡村多聞堂さんの実用新案登録で、業界では多聞堂メジャーなどとも呼ばれています。裏側にはフランス寸法があり、洋画、日本画、外国絵画いずれも対応可能なのです。メジャーは2mまでですが、号数はなんと500号まで記載されています。私も入社してすぐに渡されたメジャーを常に鞄に忍ばせ、今でも使い続けています。
多聞堂目盛
私のメジャーには尺寸を手書きで入れています


 今回ご紹介した3つは私たちが使っている諸道具のほんの一部ですが、美術業界にはなくてはならないモノと言っても過言ではないものです。私も入社以来、非常に愛着を持って使い続けています。風呂敷などは普段から使用できるものですので、皆さまも是非お使いになってみてはいかがでしょうか?

(平野)

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