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今週の近代陶芸/古美術オークション

こんにちは。まだまだ寒暖の差はありますが、ひと雨降る毎に春が近づいて来る気がします。

さて、今週は通常の近代陶芸と共に、「古美術」として厳選された18作品を加え、
近代陶芸/古美術/近代美術PARTⅡ(陶芸)オークションを開催致します。

 今回「古美術」に出品されている作品から何点かご紹介したいと思います。
 
 まず古伊万里、古九谷など江戸時代中期から末期にかけて制作された色絵磁器の作品です。特に注目して頂きたいのはこちらの作品。
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LOT.133「古九谷松鶴文輪花中皿」
D20.5㎝
高台内に描き銘「福(角福)」
『色絵の煌古九谷』掲載 №65(大阪美術倶楽部)
エスティメイト¥8,000,000~¥12,000,000


正保から寛文年間(1644-1661)頃に制作されたと伝えられる古九谷は、大胆な意匠と華麗な色彩感で今なお世界中のコレクターより高く評価されています。この作品は、緑・黄・青・紫・赤の五色を絵付けに用いた五彩手の作品です。吉祥を表わす松と鶴を描き、外側面には宝尽しの文様、高台内には角福が配してあります。
 また古九谷様式で評価されているポイントとしては、皿を斜めにすると虹のような虹彩が見えるかどうかという点があるそうです。この作品は、まさにその虹彩をはっきり見ることができます。これは、釉薬に含まれている銅と炭素が焼成時に結び付き、金属銅に還元し起こるそうです。
 古九谷様式が栄えた後の1690年代末から1700年代初頭に掛けて、古伊万里様式が全盛期を迎えます。金襴手はまさにその頃生まれました。
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LOT.128「古伊万里金襴手獅子大根文兜鉢」
H9.4×D22.3㎝
高台内に「大明萬暦年製」記
エスティメイト¥1,000,000~¥1,500,000


金襴手は色絵に金彩を施した絢爛豪華な磁器を指し、江戸時代元禄期の繁栄と富の象徴として当時の大名や豪商たちを魅了する存在でした。
この作品は鉢の見込みに獅子と牡丹文様、内側には赤の窓絵に大根と人参を描いています。その周囲を埋め尽くす緑地と点描が装飾的であり、金襴手の優れた作例の一つと言えます。


そして、その頃に即位していたのが、東山天皇です。
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LOT.138 東山天皇「震翰御懐紙」
 紙本、軸装
 旧重要美術品認定
 伊達家伝来
エスティメイト¥3,500,000~¥5,000,000
 

東山天皇【延宝3年~宝永6年(1675-1709)】は、霊元天皇の第4皇子で貞亨4年(1687)に即位しました。東山天皇在位期間(23年)は元禄時代に相当し、犬公方と呼ばれた第5代将軍徳川綱吉の在職期間と重なっています。綱吉は皇室を敬ったため、朝廷と幕府との関係は良好で、東山天皇は御料(皇室領)を1万石から3万石に増やし、長く廃絶していた大嘗祭の儀式も復活させました。また、和歌や書をよくし、特に書は元禄という江戸時代の最も華やかな時代を反映した豊かで華麗な作風で知られています。
この懐紙は宝永3年(1706)、東山天皇31歳の時の作で、戦前まで伊達家に伝えられたものです。その後、昭和11年(1936)に伯爵伊達興宗の申請により国の重要美術品に指定されました。300年以上前に書かれたものとしては保存状態も良く、由緒正しき逸品と言えるのではないでしょうか。

また、近代陶芸オークションの見所は、加藤唐九郎、岡部嶺男、加藤重高親子の茶碗がそれぞれ出品される事が挙げられます。

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LOT.87加藤唐九郎「志野茶碗」     LOT.88加藤唐九郎「紅志野茶碗」
H7.8×D13.3㎝               H7.7×D13.2㎝/共箱
高台脇に掻き銘「TK」/共箱        高台内、脇に掻き銘「一ム才」                 エスティメイト                エスティメイト
★¥1,200,000~¥1,800,000     ★¥2,000,000~¥3,000,000
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LOT.86 岡部嶺男              LOT.189加藤重高
「瀬戸黒茶碗」               「志野茶碗 銘 春野」
H8.0×D11.6cm              H7.2×D12.4㎝
高台脇に掻き銘/共箱          高台脇に掻き銘/共箱
エスティメイト              エスティメイト
★¥800,000~¥1,200,000     ★¥50,000~¥100,000


是非、下見会場へ足をお運びください。
近代陶芸/古美術/近代美術PARTⅡ(陶芸)オークション
3/10(土) 16:00~(15:30開場)

下見会日程
 3/8(木) 10:00~18:00
 3/9(金) 10:00~18:00
 3/10(土) 10:00~12:00

ご来場、心よりお待ちしております。

(執筆者:E)

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