ヒューマン・ライツ・ウォッチ チャリティー・ディナー東京 2012


昨年初めてお手伝いさせていただいたチャリティー・ディナー。ヒューマン・ライツ・ウォッチ(以下、HRW)の一年間の活動の成果の発表と、活動資金を募るファンドレイジングのために今年も開催され、ディナー後半でのイベントであるチャリティーオークションのオークショニアを私平野が務めてまいりました。

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各界の著名人が多く集うこのディナーは、「人権」という重いテーマを扱いながら同時にイベントとして楽しめる要素も併せ持つ、国内でも珍しい欧米型のファンドレイジングイベントです。ディナー前のレセプションは、並行して行われるサイレントオークションの下見も兼ねており、装いも美々しい参加者はカクテルなどを片手に出品作品を眺めながら楽しげに談笑していました。


レセプションroom
ディナーの前には、昨年大きなニュースにもなった中東、北アフリカにおける抑圧政治に対する民衆の蜂起、いわゆる「アラブの春」に関するVTRが流されました。アラブの春に際してHRWがいかなる役割を担ってきたか、また国際社会に対してどのように影響力を駆使してきたかを、衝撃的な映像とともに非常にリアルかつ強いメッセージで参加者に訴えてくる印象深いVTRでした。世界で今何が起こっているか、普段は国内のニュースで触れられることのないような出来事を目にして、VTR後の会場は不思議な緊張感と高揚感に包まれていました。
(VTRはこちらから見ることができます)
 Uprising 民衆蜂起

スピーチが続き乾杯の後は、ディナーの始まりです。ホテルオークラの本格的ディナーを食しつつ歓談に移ると、席を立ち知人のテーブルに移って談笑する方などもいらっしゃり和やかなパーティーの雰囲気に。途中、チュニジアのジャーナリスト、シヘム・ベンセドリン氏へのアリソン・デ・フォージ人権賞(自らの危険も顧みず人間の尊厳と権利の保護に奮闘している個人の勇気をたたえる賞)の授賞式や、世界的なダンサー黄帝心仙人さんによるダンスパフォーマンスなどがあり、チャリティーとしての真摯な雰囲気とイベントとしての楽しさが両立され、全体として非常に飽きさせない構成となっていました。なんと、この黄帝心仙人さんのダンスパフォーマンスは「踊ってもらう権利」としてその場でオークションにかけられ、激しい競りの応酬の結果、52万円で落札されました。
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ベンセドリン氏

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黄帝心仙人&タイムマシーンのパフォーマンス


そして、スピーチを挟んでいよいよチャリティーオークションの始まりです。今回のロットは5点。まず始めは「世界に1つだけのヒューマン・ライツ・“ウォッチ”」と題された、ウブロの腕時計。この時計、文字盤にミクロの文字で世界人権宣言の30カ条が刻まれており、このチャリティー・ディナーのために特別にデザインされたもの。破格とは思いましたが、ビッドを引き出すため敢えて30万円からスタート。早速会場の各テーブルからたくさんのパドルが上がります。1万円ずつ競り上げ、40万円後半からは残った2人の1対1。じりじり競り上がり、結果56万円でご落札いただきました。
残りの4点はアート作品。今回のチャリティーにはアーティストやギャラリーからも多くの寄付を受け、他にもサイレントオークションに9点出品されていました。
以下、出品された4点と落札金額です。

 米田知子 「池-地雷でできた池/メシヌリッジ・ベルギー」 20万円
 照屋勇賢 「Color the World」 18万円
 ピーター・マクドナルド 「Cup of Tea」 90万円
 荒木経惟 「花曲」 70万円

上の3点は、アーティスト自らがこのチャリティーにふさわしいものとして自ら選んだ作品です。その思いが来場者にも伝わったのか、オークションは大いに盛り上がりギャラリーでの販売価格を上回る金額で落札されていきました。
オークション


そしてオークション後半は、HRWの活動を支援するためのロット。昨年同様こちらは競り上げではなく、希望者を募る形でのオークションです。今年サポートする活動は、「中東での緊急調査ミッション」、「HRWモスクワ事務所の活動」そして「HRW東京事務所の活動」でした。中東のミッションは一口50万円、モスクワ事務所のサポートは一口20万円でしたが、いざビッドを募ると中東は5名の方、モスクワは4名の方がビッドされました。いずれの方も躊躇なくパドルを上げていらして、HRWをサポートするという強い意志が壇上にいる私にもはっきりと感じられました。最後の東京事務所へは3万円からサポートが可能ということもあり多くのビッドがよせられました。
おそらくこれらのビッダーの中には、昨年の私のようにHRWという国際人権NGOの存在すら知らなかった方々もいたかもしれません。

人権NGOなどと言うと堅いイメージを受けがちですが、このチャリティー・ディナーはこうして参加者がイベント全体を楽しみながら重要なテーマについて考え、そして寄付という形でそれに参加できる非常に意義のあるものだと感じました。
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HRW日本代表の土井香苗さん

2年連続でこのディナーのお手伝いができたのは、弊社にとっても大いに得るべきもののあることでした。こうしたイベントを通して世界の知らなかった部分を知ることができ、自らの世界が広げられたことに私自身も改めて感謝したく思います。微力ながら、シンワアートオークションにもできる社会貢献の形を今後も探り続けていきたいと思います。