今週は銀座のシンワアートミュージアムで、建築家・柳澤孝彦+水墨画家・王子江 二人展を開催しています。
柳澤先生のブース
王先生のブース
出品作家のお二人をご紹介します。
柳澤孝彦(やなぎさわたかひこ)先生
1935年 長野県松本市生まれ
1958年 東京藝術大学美術学部建築科卒業
1958年 株式会社竹中工務店設計部入社
1986年 「第二国立劇場(仮称)」国際設計競技で最優秀賞受賞を機に、株式会社
TAK建築・都市計画研究所を設立し、代表取締役に就任。文化施設を主
軸にした設計活動を展開。
1995年 「郡山市立美術館及び一連の美術館・記念館の建築設計」にて第51回
日本芸術賞受賞
1996年 株式会社柳澤孝彦+TAK建築研究所代表取締役就任
代表作:新国立劇場、東京オペラシティ、東京都現代美術館、郡山市立美術館、
真鶴町立中川一政美術館、有楽町マリオンなど
建築がお好きな方の中にはファンの方も多いかもしれません。柳澤先生は上記の施設以外にもたくさんの美術館を手掛けていらっしゃいますので、このブログをご覧のみなさまなら、先生が設計された施設に一度は行かれたことがあると思いますよ。今回展示されているアートワークは、建築とは違った柳澤先生の別の一面が見られる作品です。
2点とも《光陰・メタモルフォーゼ》というタイトルです。
作品はデカルコマニーの技法で制作されています。デカルコマニーとは、紙に絵具を塗り、別の紙を重ねたり二つ折りにするなどして、不定形で偶然のイメージを得る技法。シュルレアリスムの作家たちが用いた手法としてよく知られています。この技法は偶然性や無意識の表象でもありますが、柳澤先生は作為と偶然性が50%ずつの割合で表出するように制作されています。
今回のテーマは、《光陰・メタモルフォーゼ》というタイトルの通り「時間」。左の画像の作品は、まるで水が飛び散る瞬間を捉えたようにも見えます。そのほか、宇宙や細胞のようにマクロやミクロの世界を思わせる作品が展開されています。
王子江(おうすこう)先生
1958年 中国北京市の文人画家の家系に生まれる。国立北京芸術学校卒業。
1988年 来日
1996年 水墨障壁画《雄原大地》が茂原市立美術館に収蔵される
1999年 水墨障壁画《聖煌》が奈良・薬師寺に収蔵される
2004年 水墨障壁画《出雲勝境図》が島根県・出雲大社に収蔵される
2008年 国際オリンピック委員会中華人民共和国文化部の招待作品として、《農家
喜慶話奥運》がオリンピック芸術センターに収蔵される。「王子江展」(東
京・上野の森美術館)開催。
2009年 NHK「新漢詩紀行」主題画を制作
NHKの「新漢詩紀行」でおなじみの王先生です。王先生といえば100メートルの水墨画ですが、今回は展示会場に入りませんので、お得意のモティーフ、水のある風景を題材とした額装作品がたくさん出品されています。
《人生楽事》
王先生のライフワーク、100メートルの水墨画を思わせる群像です。
《蘇州水郷人家》
中国の水墨画に様々なジャンルの絵画の要素を取り入れた作品です。王先生は油彩画や日本画を学ばれたご経験があり、筆のタッチは油彩画を、墨の濃淡のぼかしは日本画を意識されているそうです。伝統的なモティーフを抒情豊かに表現した作品です。
両先生とも会場にいらっしゃることが多いので、もしお会いできたら直接お話をうかがえるかもしれませんよ!
みなさまのご来場を心よりお待ちしています。
会期:開催中~11月29日(日)
10:00~18:00(最終日は17:00まで)
会場:シンワアートミュージアム 1F
東京都中央区銀座7-4-12 ぎょうせいビル1F
TEL 03-3569-0030
(執筆:S)