カンノサカン個展「hunch」


 窓の外から見られる華麗なクリスマス・イルミネーションやツリーは今年も相変わらずキラキラと輝いていますね。ちょっとドキドキしてしまう今の季節、皆様いかがお過ごしでしょうか?

 さて、今日は、近年世界から注目を集めている日本の現代アーティストの中でも、躍動感溢れる独特の線による抽象画でよく知られるカンノサカンさんの個展をご紹介したいと思います。

●カンノサカンさんの略歴

1970 東京生まれ。東京都在住。
個展
2008 「spread」ラディウム-レントゲンヴェルケ、東京
「pile」Michael Ku Gallery、台北
2007 「trans.」ヴァイスフェルト-レントゲンヴェルケ、東京
2006 「synchro」ヴァイスフェルト-レントゲンヴェルケ、東京
「fusion」コーネリアス・プレーザーギャラリー、ミュンヘン
2004-5 「trace」レントゲンヴェルケ、東京

グループ展
2006「縄文と現代 ~二つの時代をつなぐ『かたち』と『こころ』」青森県立美術館、青森
2005 「マックス・ヘッドルーム-頭上注意の絵画」 ヴァイスフェルト-レントゲンヴェルケ、 東京

パブリックコレクション
2009 ザ・ペニンシュラ上海、上海
2007 ヒルトン東京、東京


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展示風景

 カンノサカンさんの個展「hunch」が開催されるラディウム – レントゲンヴェルケ・ギャラリー。一階から展示スペースの二階へ上がっていくと、まるで夜空の星のかけらが、外からギャラリーの壁の三面に入り込んだかのような風景が開けます。
 それは、今まで四角のキャンバスの上にウレタン塗装による艶やかな画面作りでよく知られているカンノサカンさんの作品が、なんと円形、つまり凸レンズの形に変わったからでした。


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HUNCH-1002190. mephisto
urethane and acrylic paint on FRP
135×13.5cm

 精巧な技術から得られた円形の支持体、見る角度によって変化を見せるベースの色彩、それに作家の無意識から生じた独特の線たちが発する光は、展示スペースとの美しいコラボレーションで、静かなオーラを発散していました。これが今回の個展で初めて発表するカンノサカンさんの新しいスタイルです。


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HUNCH-2002190. mephisto
urethane and acrylic paint on FRP
135×13.5cm
 
もうちょっと近くから見てみると、例のエッジの効いた緻密な描写は、生成なのか消滅なのか、ある生き物の足跡のような流線で、より不思議な造型を完成させています。また、始点も終点もが存在しないこれらの感性線は、作家のオリジナリティーへの熱望をよく伝えてくれます。

 日本だけではなく、香港アートフェア・台湾での個展・上海と東京のパブリックコレクションなど、世界からの熱い視線を受けているカンノサカンさんは、「円って、一番自然な形ではないかと思い付きました。」と、今後の作品スタイルを耳打ちしてくれました。
 今回の個展以外にも、カンノサカンさんの作品はシンワのコンテンポラリーアート・オークションによく出品されていますので、皆様、次の機会には是非お見逃しのないように。


●展覧会概要
カンノサカン個展
「hunch」
会期:2009年12月4日(金) – 26(土) 11:00 – 19:00 (日・月・祝日休廊)
会場:ラディウム – レントゲンヴェルケ
住所:東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17 TEL 03-3662-2666
http://www.roentgenwerke.com

(執筆:W)