写真の詩人―アンドレ・ケルテス


本日は、ハンガリー出身の写真家、アンドレ・ケルテスをご紹介いたします。




Lot127 アンドレ・ケルテス 《CHEZ MONDRIAN》

 シート:35.4×27.8cm/イメージ:34.5×26.0cm
 ゼラチンシルバープリント/1926年、printed later
 落札予想価格:60万円~80万円


アンドレ・ケルテス(1894-1985)はハンガリー、ブタペスト生まれ。18歳頃より写真を撮り始め、第一次世界大戦中に従軍した際も、アマチュアカメラマンとして軍隊の生活を撮影。1925年にパリに移住し、フリーの写真家として本格的に活動しはじめます。

当時パリでは、世界各国から集ったエコール・ド・パリと呼ばれる芸術家たちのグループによって華々しく芸術活動が展開されていました。アンドレ・ケルテスもまた、シャガールやモンドリアンらと交流を持ち、彼らのポートレイトなどを撮影しています。また、アンリ・カルティエ=ブレッソンやブラッサイをはじめ、後の世代の写真家に多大な影響を与えたことでも知られています。

その後、1936年に渡米。戦争のためにそのまま移住し、後に国籍を取得しています。1963年にヴェネツィア・ビエンナーレで金賞受賞。同年、パリのフランス国立図書館、翌年にはニューヨーク近代美術館で個展が開催され、世界的な地位を確立しました。

今回の出品作、《CHEZ MONDRIAN》とは、モンドリアン宅にて、の意味。パリ時代の代表作の一つで、パリに移住した翌年、1926年に制作されました(本作品は後にプリントされたものです)。当時のパリの雰囲気を伝える日常の何気ない生活空間でありながら、静謐な世界が作り上げられています。


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