加藤泉の「人のかたち」―《Untitled》


こんにちは。
先週の西洋美術オークションにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

前回のブログを更新したときは咲き始めたばかりだった東京の桜も、もうすっかり葉桜になってしまいました。少し寂しい気がしますが、桜の時期が終わると、GWはもうすぐそこですね!
今月はあと2回、「戦後美術&コンテンポラリーアート」と「BAGS/JEWELLERY&WATCHES」のオークションを開催いたしますので、ぜひGWのお出かけの前にお越しください。

今回も今週末のオークションの出品作の中からおすすめの作品をご紹介いたします。
個人的にはこの作家の木彫が大好きなのですが、今回はミュージアムピースといってもよい絵画の大作3点が出品されます。

【オークション終了につき、画像は削除させていただきました】

42 加藤 泉 (b.1969- )
《Untitled》
227.3×162.1cm
キャンバス・油彩
2007年作
裏にサイン・年代


【オークション終了につき、画像は削除させていただきました】

《Untitled》
194.0×130.3cm
キャンバス・油彩
2007年作
裏にサイン・年代


【オークション終了につき、画像は削除させていただきました】

《Untitled》
227.3×162.1cm
キャンバス・油彩
2007年作
裏にサイン・年代

「加藤泉 日々に問う」2010年(彫刻の森美術館本館ギャラリー 彫刻の森美術館)出品
『加藤泉 日々に問う』(2010年/彫刻の森美術館)6-a6-b6-c掲載
『加藤泉作品集 絵と彫刻』(2011年/青幻舎)P.70-71掲載
落札予想価格 ¥15,000,00025,000,000

加藤泉は、1969年島根県生まれ。1992年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。「VOCA展2002」(上野の森美術館)で注目を集め、その後は個展のほか、村上隆がキュレーションを務めた「リトルボーイ:爆発する日本のポップカルチャー」(2005年、ジャパン・ソサエティ、ニューヨーク)や「第52回ヴェネチア・ビエンナーレ国際企画展」(2007年、イタリア館)など、国内外の様々なグループ展に出品し、人気を博しています。現在は海外のギャラリーに所属し、国際的に活躍中です。東京都現代美術館や国立国際美術館など、パブリックコレクションも多数。

加藤泉は、胎児のような宇宙人のような、あるいは妖精のような「人のかたち」をモティーフとした絵画と木彫を制作しています。2007年作のこの3点は、身体的特徴や構図からあたかも親子のようで、画面上から順にお母さん、男の子、お父さんをイメージさせます。しかし、それぞれは孤独な一つの生命体であり、互いの関係性も曖昧です。

裸体の彼らは、表情もなく無防備な様子で、水中の深遠あるいは無限に広がる宇宙のような空間を浮遊しています。透明感を湛え、光を内包した身体は体液のような多層の膜に覆われ、不可思議であるとともにいささかグロテスクです。しかし、その一方、プリミティブでどこかユーモラスな雰囲気をも感じさせます。
そして、それはまるで、人間の特性である知性や理性を獲得する以前の「原初の生命のかたち」のようであり、あるいは、それらを喪失して漂泊する遠い未来の人間の姿のようでもあります。

彼らの醸し出す不思議な空気をぜひ会場で体験してみてください。
この作品は13日からの下見会で展示いたします。
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皆様のご来場を心よりお待ちしています。

(佐藤)