カテゴリー別アーカイブ: 近代美術PartⅡ

シンワブログ開設一周年 ・7月のオークションのご案内

こんにちは。
各地で梅雨入りが発表され、はっきりしないお天気が続く今日この頃ですが、皆さまお変わりありませんか。
お陰さまでこのシンワブログ、開設から一年を迎えることができました。
いつもこのページにお立ちよりくださる皆様に、ブログ執筆チームを代表してお礼申し上げます。
今後も読者の方々に楽しんでいただける記事、お役に立てる情報を掲載していきたいと思いますので、ご愛顧いただけますよう宜しくお願いいたします。

さて、本日は7月のオークションのご案内をお届けします。
7月18日に丸ビルで開催するオークションは、
「ジュエリー&ウォッチ / 近代美術Partll / 近代美術 / 近代陶芸」の4つです。
すっかりお馴染みになりつつありますが、今回も一日でたくさんのジャンルのセールをお楽しみいただけますので、是非会場へお越しください。

また、今月末より名古屋・大阪・東京の3か所で下見会を開催いたします。
こちらも、お誘いあわせの上、お気軽にご来場ください。

カタログは6月25日完成予定です。
カタログがお手元に届くまでしばらく時間がありますので、最後に近代美術Partllオークション出品作品を一点ご紹介させていただきます。
勝川春章「立美人図」です。

勝川春章


 ご存じのとおり、浮世絵は17世紀後半に登場した多色摺り木版画のことで、歌舞伎役者や、巷で評判の美人、相撲取り等を主題とし、そこから風景画や春画へと展開していきました。その洗練された構図は、19世紀の印象派にも影響を与えたと言われています。
 本作品は、役者似顔絵を得意とした春章が遊里の女を描いたものです。浮世絵は当時の一般市民のためのエンターテインメントでしたから、現在の芸能人やモデルにあたる歌舞伎役者や、街で評判の美しい遊女がよく描かれました。
 江戸時代までの日本では、髪の毛の生え際の美しさは、女性を評価する大きなポイントでした。ここでも、作家は額に沿った髪の毛の繊細な筋を、非常に丁寧に描いています。


勝川春章「立美人図」
87.3×29.7cm / 絹本・彩色 軸装
右下に落款・印
落札予想価格:250万円~350万円


~7月のオークション~
ジュエリー&ウォッチ / 近代美術Partll / 近代美術 / 近代陶芸
オークション:7月18日(土)
会場:
丸ビルホール(東京・丸の内) 地図はこちら
時間: 14:00(ジュエリー&ウォッチ / 近代美術Partll)
17:30(近代美術)
18:00(近代陶芸)
下見会:
【名古屋】
6月26日(金)・27日(土)10:00~18:00  DAITEC・SAKAE 6F
【大阪】
7月10日(金)・11日(土)10:00~17:00 御堂会館 南館 B1Fホール
【東京】
7月8日(水)~11日(土)10:00~18:00 シンワアートミュージアム
7月15日(水)~18日(土)10:00~18:00 / 最終日は12:00まで 同上

オークションスケジュールの詳細はこちら

 

 

 


(執筆:N)

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 いよいよ昨日から、近代陶芸と、近代美術PartII、そして中川一政コレクションのオークション下見会が始まりました。

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 近代陶芸オークションに出品されている中から、美しい磁器作品2点をご紹介いたします。
 まず1点目は、楠部彌弌の「彩埏告春香爐」(Lot.74)です。彩埏(さいえん)とは、彌弌が生み出した独自の釉下彩磁技法で、本作品も何ともいえない彩りとやわらかい輪郭線が彌弌らしい特徴を宿した作品といえます。
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 2点目は、板谷波山の「桃香合」(Lot.75)です。薄いヴェールを被せたように、華やかな輝きが包み込まれたおくゆかしい発色が美しい彩磁の名品です。アール・ヌーヴォーの研究に熱心に取り組んだという波山ですが、この作品にも、アール・ヌーヴォーを取り入れながら自己の表現に昇華させた波山独自の造形性を窺うことができます。
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 また、中川一政コレクションでは、近代洋画の巨匠・中川一政が収集した、掛軸を中心とした陶器、硯などが五十数点出品されています。中川一政の趣向に想いを巡らすことのできる展示となっています。
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 そして、来週4月1日(水)からは、コンテンポラリーアートの下見会も始まります。4月4日(土)にシンワアートミュージアムで開催するコンテンポラリーアートオークションと、5月15日に香港で開催するアジアン・オークション・ウィークの出品作品160余点が展示されます。
 4月のコンテンポラリーアートオークションの出品作品は、以下のサイトよりオンラインカタログでご覧いただけます。
<オンラインカタログ>


 来週は、有楽町の国際フォーラムで開催されるアートフェア東京を中心に、アートのイベントも盛りだくさんな一週間になります。

 すっかり春めいて、数寄屋橋交差点の桜も七分咲き、銀座の並木も花開いてきました。
 やわらかい春の日差しの中、銀ぶらついでに下見会場にも足をお運びいただけたら幸いです。
社員一同、お待ち申し上げております。

(執筆者:K)

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3月オークション、東京下見会はじまってます

3月も半ばにさしかかり、銀座の街のショーウィンドーもすっかり春気分の今日この頃。仕事で外に出ると、色とりどりでフワフワ軽やかな春の洋服達に心が奪われてしまいます。日差しが柔らかになると、それにあわせて綺麗な色の服が着たくなるから不思議です。

昨日より当社一階のシンワアートミュージアムでは3月21日に開催する近代美術Partllオークションの下見会を開催しています。
銀座でのお買い物と合わせて、是非お立ち寄りください!

本日は会場の様子と出品作品を少し、ご紹介したいと思います。

鈴木
→「プレイボーイ」「ポパイ」などの表紙イラストでおなじみの、鈴木英人の版画が多数出品されます。



→今回は、広重・歌麿・春信らの浮世絵も揃いました。写真の作品は、鈴木晴信「寄日恋」



→仏像や、色絵食器(なんと、60点組)なども揃うのは、Partllオークションならではです。



→地下には、池田満寿夫・絹谷幸二らの洋画が飾られています。


Partllオークションの下見会は今週末、土曜日までの開催です。
また、来週はいよいよ近代美術オークションの下見会も始まります。
皆さまのご来場を心よりお待ちしております。


≪東京下見会日程≫ 
近代美術PartⅡ            3/11(水)~3/14(土) 10:00~18:00
近代美術・ジュエリー&ウォッチ   3/18(水)~3/20(金) 10:00~18:00
                      3/21(土) 10:00~12:00
会場:シンワアートミュージアム 地図
※3/18以降も、会場でスタッフに声をおかけいただければ、
近代美術Partll出品作品もご覧いただくことができます。お気軽にお申し付けください。
    

≪オークション日程≫ 
ジュエリー&ウォッチ / 近代美術PartⅡ 3/21(土)14:00
近代美術   3/21(土) 18:30

会場:丸ビルホール 地図

(執筆:N)
 

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近代美術PartⅡ 下見会始まりました

 一昨日大寒を過ぎ、毎日天気も悪いのでますます寒く感じますね。でも天気予報によると、今年は最低気温が高いので例年の平均気温に比べるとそんなに寒い年ではないそうですよ。
先日のブログで「風邪などひいていらっしゃいませんか?」と書いたのに、私は早速風邪をひいてしまいました。みなさまはお気をつけくださいね。
 
 さて、ホームページのトップでもお知らせしておりますが、東京での近代美術PartⅡ下見会を、予定より早くオープンいたしました!いつものように下見会の模様をご案内いたします。

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↑ 1Fは日本画と版画を展示しています。
  今回は宝石・時計の下見会が別の日程になったので、いつもよりスペースがゆ
  ったりです。お目当ての作品も探しやすいかもしれませんよ。


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↑ B1Fは洋画、外国絵画、工芸のフロアです。
  以前こちらのブログで長谷川利行の作品をご紹介しましたが、今回は山口長男
  の水彩もたくさん出品されます。お好きな方は、近代美術に出品されるLot.22
  《組形》(油彩)と合わせてチェックしてみてください!


今日も近代美術PartⅡの出品作品から1点ご紹介します。

GALLE

Lot.721 ガレ《蘭文彫花器》
H30.4×W14.6cm
胴部に陰刻銘
エスティメイト \2,000,000.~3,000,000


 
エミール・ガレ(1846-1904)と彼が築き上げた工房がつくり出した逸品です。

 エミール・ガレはフランス東部、ナンシー生まれ。父親もガラス器の製造・卸売業を営んでいました。若い頃から、文学、哲学、植物学などを学び、1866年、マイゼンタールのブルグン・シュヴェーラー商会の工場でガラス技術を研修。(1885-1896年の間、この工場はガレのガラス器の大部分を製造することになりました。)
 1877年、父の会社の経営を引き継ぎ、ガラス器、陶器、家具の製造販売を手掛けます。1889年のパリ万国博覧会で、ガラス部門グランプリ、陶器部門金賞、家具部門銀賞を受賞し、世界中の注目と名声を博しました。1894年には、ナンシーに本格的なガラス窯を設置して「芸術と産業の融合」を理想に掲げ、自社内での一貫生産を始めます。当時流行したジャポニスムの影響が色濃く表現された作風で知られ、アール・ヌーヴォー、ナンシー派の指導者としても活躍しました。1904年に没した後も、会社は彼の精神とともに引き継がれ、1931年までガレブランドを冠した優美なガラス器を生産しました。

 植物に造詣が深かったガレは、たびたび草花をモティーフとしましたが、今回出品される《蘭文彫花器》は、大振りの蘭の花をまるでガラスに閉じ込めたかのような、見事な総手彫りの作品です。ガレの鋭い観察力と巧みなグラヴュールにより、蘭を立体的に描出し、折り重なる花びらや葉の陰影、遠近などを繊細に表現しています。それゆえに、蘭がそこに咲いているかのような存在感や凛とした気品がもたらされているのでしょう。また、全体に、青、緑、茶のサリシュールを大胆に施した緑の透明地にべっ甲色のガラスを被せることにより、微妙に変化する色彩の美を楽しむことができる作品です。


※ 用語解説
グラヴュール… 西洋式の彫刻技法。モティーフをレリーフ上に彫り出すこと。
サリシュール… ガラス素地に、緑青色に発色する酸化銅のような金属酸化物の
          粉末をまぶしつけ、部分的に斑紋を生じさせる技法。
    
                                   (執筆:S)

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《李朝白磁壺》に宿る高潔な精神

 今週は近代美術PartⅡオークションの下見会を開催しております。今日はその中から、韓国の陶磁器についてご紹介いたします。

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Lot813 《李朝鉄砂龍文壷》
H30.2×32.5cm
★¥500,000~1,000,000.


 韓国の陶磁器は、高麗青磁と李朝白磁が世界中に知られております。陶磁器の専門家ではなくても高麗青磁や李朝白磁の価値の高さは、ある程度一般の方々にも知られているようですね。
 韓国の場合、不良の息子が家出をする際に家から必ず盗み出す定番の家宝として、テレビドラマでもよく使われています。今日は、今回の近代美術PartⅡに出品される李朝陶磁壺の魅力を、皆様と一緒に感じていきたいと思います。


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Lot811《李朝白磁壷》
H33.2×D31.2cm
★¥300,000~500,000.


 まず、歴史的な話に少し触れてみると、皆様ご存知のように高麗青磁は、昔の韓国の名称で、高麗時代(10世紀~14世紀末)、李朝白磁は、李朝時代(14世紀末~20世紀初)に作られた焼き物のことを言います。
 両方とも当時は生活の中で必需品としてよく使われたものであったはずですが、芸術品として今まで残されたものは、当時も良質な作品として、名人たちが一生懸命作り残したものと考えられます。


 神秘的な薄い青色を帯びる青磁は、仏教を国教にしていた高麗時代の文化が、どれほど華麗な色使いの文化であったのかをよく見せてくれるものですね。
 しかし、だんだん派手なものに近づきつつあった高麗文化は、腐敗してきた政治に呆れた庶民たちによって歴史の川に流されてしまうのです。それに代わって、清廉潔白の理念を求める儒教が新しい国家の理念として採用されるようになりました。それが李朝文化です。

 この李朝文化を理解していただくためには、まず李朝の基礎理念である「ソンビ精神」という言葉を知っていただきたいと思います。「ソンビ」とは、韓国語で「学識が高くて言動・礼節が正しい、義理・原則を守るが、官職・財産をむさぼらぬ、人格の高潔な人」を意味し、その精神を一生かけて求めることを「ソンビの精神」と言います。
 このソンビ精神は、500年という長い間、李朝を支配していた大事な理念でした。何より大切にされた李朝のソンビ精神、それは、陶磁器にもよく表れております。世俗に染められない美しい白さ、それが李朝に込められた一番大切な精神性です。このようにソンビ精神から生まれたその白さは、「素朴の美」と言われ、今の韓国でも一番大切にされる優美の一つです。

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Lot809《李朝白磁壷》
H20.1×D20.1cm
★¥80,000~150,000.

 厳選されたきれいな高嶺土(カオリン)のみを素材に使用し、1300°cの中で、長い時間をかけて焼き上げられた不思議な白さ、皆様、李朝陶磁壷を絶対!見逃さないでください。

(執筆者:W)

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