カテゴリー別アーカイブ: 近代美術PartⅡ

日本画家たちの「版画」

こんにちは。 今週の24日(土)は近代美術PartⅡオークションを開催いたします。 近代美術オークションは6月28日の開催予定ですので、いつもご参加いただいている皆様はお間違えありませんように。オークション・下見会スケジュールはこちらさて、今日は今週の出品作品の中から日本画家たちのオリジナル版画をご紹介します。 これらは、画家たちが版画工房と協力し、岩絵具による本画をもとに版を作り、刷ったもの... Read more

初競り開催!!

年が明け、はや2週間が経ちました。暦の上では間もなく大寒ということもあり、寒い日々が続いております。巷では風邪や胃腸炎が蔓延しているようですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?    さて、外は寒くても本年もオークションは熱く盛り上がってまいりたいと思います。2014年の初オークションは1月25日、近代美術PartⅡ/近代美術オークションを開催いたします。近代美術PartⅡは本日1月... Read more

オノサトトシノブ 「S-A」

 こんにちは。本日より、近代美術PartⅡオークションの下見会が始まりました。例によってどの作品をご紹介しようかとカタログを繰りながら思案していたところ、ふと目に止まった作品がありました。
 
 その作品はカタログ製作の作業中に目にして覚えていたのですが、小品なのに妙に惹きつけられる作品でした。今回近代美術PartⅡオークションに出品されている、lot732 オノサトトシノブの「S-A」です。

 この作品をご紹介するに当たり、社内にある資料を改めて読んでみました。そうすると、オノサトトシノブについて恥ずかしながら知らなかったことばかり。作家名が本名であることは知っていましたが、漢字で「小野里利信」と書くことや、太平洋戦争に徴兵され終戦後シベリアに抑留されていたこと、帰国後は絵を描きながらも1962年に職業画家となるまでは養鶏場を営んでいたことなど、意外に思われることを数多く知りました。

 この絵の描かれた1965年と言うと、オノサトは53歳。養鶏場を止めてから3年、個展を開催し、美術展で賞を取り、’64年にはベネチアビエンナーレに出品(’66年にも出品)という、オノサトのキャリアの中でも充実していたといえる時期です。
 作品に関して言えば、1950年代まではフリーハンドで描かれていた「丸」のモチーフが(オノサト自身は「モチーフ」ではなく「ルール」と呼んでいますが)、’60年前後よりコンパスを使うようになり、色も一色で塗りつぶされていたものが四角や三角で分割されるようになります。
  今回出品されているこの絵も、サムホールと言う小品ながらオノサト独自の幾何学的な法則に則った図柄。額装もシンプルな木の枠で、規則正しい模様やその色合いともうまくマッチしています。

 戦前より独自の視点で抽象画を模索し続け、ついには「絵画を離脱する」ところまで突き詰めたオノサトトシノブ。「丸」はモチーフではなく、「絵を描くことの面白さがモチーフ」であるという彼の主張が、この小さな絵を眺めていると静かに伝わってくる気がします。

 この作品は、近代美術PartⅡオークション下見会でご覧いただけます。
 下見会、オークションのスケジュールはこちらから。
下見会場1 


 皆様のお越しを心よりお待ちしております。

 (平野)

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関西洋画壇の雄・黒田重太郎の代表作《ケルグロエの夏》

こんにちは。
先日は彫刻家・澄川喜一氏の立体作品をご紹介しましたが、今日も近代美術PartⅡオークションの出品作品の中から一点ピックアップしてお話しいたします。
今、当社のホームページのトップやミュージアムのウィンドウを飾っている作品です。


【オークション終了につき、図版は削除いたしました】



Lot.675 黒田重太郎《ケルグロエの夏》
64.8×80.8cm
キャンバス・油彩 額装
右下にサイン・年代
裏に署名・タイトル・年代
1917年作
第6回二科展 1919年
第20回二科展 1933年
第24回二紀展 1970年
黒田重太郎遺作展 1971年(京都市美術館)
エスティメイト ★\100,000~200,000

まずは作家について。
滋賀県大津市に生まれた黒田重太郎(くろだ じゅうたろう・1887-1970)は、17歳のとき鹿子木孟郎に入門し、のちに関西美術院で浅井忠に学びました。1916年初めてヨーロッパに留学。1923年二科会会員となり、1947年には二紀会創設に参加するなど、中央画壇でも活躍しましたが、1924年小出楢重らと信濃橋洋画研究所を設立、戦後は京都市美術大学教授となるなど、京都を拠点に活動し、関西の洋画壇で指導的地位を務めました。印象派やキュビスムを取り入れながら、写実的で親しみやすい作風を確立した作家です。また、美術関係の著述を多く残し、美術史家としても知られています。

本作品は1917年(当時29歳)、ヨーロッパ留学中に制作されたものです。この年の7月から2ヶ月間ほど、黒田はブルターニュ地方のクレゲレックに滞在していますので、画題の「ケルグロエ」とはクレゲレックを指すものでしょうか。留学中はフランス各地を転々とし、美術館や画廊で様々な作家の作品を見て学びましたが、特に心ひかれたのは印象派のカミーユ・ピサロだったといいます。

ピサロが得意とした主題、田園風景を描いた本作品にはその影響がよく表れています。細やかなタッチを重ねて畑と農作業をする人々を捉え、遠近法を用いて風景全体に奥行きをもたらしています。明るい陽光が降り注ぐ様子は、戸外での制作を重視した印象派のスタイルを取り入れたものでしょう。
 
黒田は帰国後、本作品を第6回二科展に出品し、二科賞を受賞。それがきっかけとなり、中央画壇でも高く評価されるようになっていきました。その後、本作品は黒田の代表作として第20回二科展に再出品、没後は第24回二紀展の遺作室や作家の遺作展にも出品されました。

この作品は今週11日(水)からの下見会でご覧いただけます。
オークション・下見会スケジュールはこちら

皆様のお越しを心よりお待ちしております。

(佐藤)

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東京スカイツリーのデザイン監修―澄川喜一《そりのあるかたちL》

こんにちは。
先週のBAGS/JEWELLERY&WATCHESオークションにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

先週の22日、下町の新名所、東京スカイツリーが開業1ヶ月を迎え、展望台の見学者だけで35万人、スカイツリータウン全体では、なんと来場者580万人を突破したそうです。
皆様はもうお出かけになりましたか?
展望台のチケットは入手困難だそうですが、タワーを近くでご覧になったことはありますでしょうか。

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634mという自立式の鉄塔としては世界一の高さは、見上げてみるとやはり圧巻ですね。
三角形の足元からゆるやかに反りながら、上部にいくほど円筒形になるという形は、「空に向かって伸びる大きな木」をイメージしたものだそうです。この反りのある形や、古くから五重塔に使われてきた「心柱」を採用した構法によって、634mの高さを実現できたと言われています。

こうした伝統的な日本建築の要素を取り入れたデザインを監修したのは、彫刻家の澄川喜一氏です。
7月14日(土)の近代美術PartⅡオークションには、澄川氏の彫刻作品が出品されますので、今回はそちらをご紹介いたします。


【オークション終了につき、図版は削除いたしました】



lot.695 澄川喜一 《そりのあるかたちL》
H23.2×W61.1×D4.0㎝
木彫 下部に銘
自筆証明書つき
エスティメイト \100,000~200,000


まずは澄川氏について。
1931年島根県生まれ。1952年東京藝術大学彫刻科に入学し、平櫛田中教室に学びました。1960年同大学彫刻専攻科修了。在学中から現在にいたるまで新制作協会で活躍を続け、様々な彫刻展において数多くの賞を受賞しています。1976年文化庁在外研修員として渡欧。1981年東京藝術大学教授、1995年同大学学長に就任。(2001年に退官し、現在は名誉教授) 1998年紫綬褒章、翌年に紺綬褒章を受章。2004年日本芸術院会員、2008年文化功労者となりました。日本の抽象彫刻の第一人者として知られ、このたび東京スカイツリーのデザインを監修したことでいっそう注目を集めています。

本作品はライフワークである「そりのあるかたち」シリーズの一点。
これは澄川氏が1979年から着手したシリーズで、長い木彫制作の経験から生まれたものです。
木は人間と同じように生きて呼吸をしているので、それぞれの性格や美しさがあり、作り手の思うように切り刻もうとするとうまくいかないそうです。そのため、澄川氏は素材となる木との対話を通して、そりやゆがみ、木肌といった木の個性を見出し、それを抽出するように意図する造形を作り上げていきます。

本作品に表われた「そり」は、日本刀や寺院の屋根、和船などに見られるデリケートなカーブを想起させます。また同時に、この「そり」によって鋭い空間を提示しています。モダンでシャープでありながら、自然の息づかいや日本的な美意識を感じさせる、多面的な魅力に富んだ作品です。

この作品は7月11日(水)からの下見会で展示いたします。
下見会・オークションスケジュールはこちら

皆様のお越しを心よりお待ちしております。

(佐藤)

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PartⅡオークションに出品される韓国人作家、金春子・崔錫云

こんにちは。
今週は、「浮世絵 / 近代美術PartⅡオークション」が開催されます。
まず、下見会とオークションの情報は以下の通りです。

【下見会】
日程:11月9日(水)~11月11日(金) 10:00~18:00
   11月12日(土) 10:00~12:00
場所:シンワアートミュージアム

【オークション】
日程:11月12日(土) 
14:00 - Lot. 501 ~ Lot. 774(近代美術PartⅡ)
17:00 - Lot. 301 ~ Lot. 390(浮世絵)
場所:シンワアートミュージアム

版画・日本画・洋画・外国絵画・工芸など、毎回多様な作品をお楽しみいただけるシンワの近代美術PartⅡオークション。今回は、歌川広重・葛飾北斎・東洲斎写楽の優れた浮世絵と共に「浮世絵 / 近代美術PartⅡオークション」として開催されます。
どうぞお楽しみに。

今日は、その中から外国絵画の作品2点をご紹介したいと思います。

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Lot 682
金 春子(キム・チュンジャ)
 
『Growing Earth』
53.5×41.1cm
キャンバス・アクリル 中央下にサイン・年代(2011)
エスティメイト:\50,000~\100,000

上の作品は『Growing Earth』のシリーズを通して生命のメッセージを強いインパクトで表現する韓国の作家、金春子(キム・チュンジャ)の近作です。1957年韓国の釜山で生まれ、新羅大学校美術学科で西洋画を専攻し、1983年釜山青年ビエンナーレを始め、2003年韓国現代美術交流展(東京・元麻布ギャラリー)、2006年Pre-国際インチョン女性ビエンナーレ、2011年Art stage Singapore (シンガポール)の他、160回以上のグループ展や個展を開き、精力的な活動を見せてきた金は、人間と自然の調和をテーマに独自の生命力溢れる画面を作り出します。作家の想像力から生み出された植物と動物の混在するイメージは、まるで太古の地球に存在したかのような神秘的な生き物を思わせます。
本作品では、きわめて純潔で美しい草食動物の頭上に角のような生命体が加わり、この地球上に力強く新しい生命が誕生したことを謳っているようです。作家は、それぞれの生き物が持つ独自の生命力をこのように一つに束ねる作業を通して、「生」自体の、あるいは生きているこの瞬間への感謝の気持ちを語ろうとするのでしょう。


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Lot 684
崔 錫云 (チェ・ソッウン)
『秋』
45.7×53.2cm
キャンバス・油彩 左下にサイン・年代(’95)
エスティメイト:\50,000~\100,000

もう一人の韓国人の作家、崔錫云(チェ・ソッウン)の作品、『秋』です。
1960年韓国の釜山で生まれた崔錫云(チェ・ソッウン)は、釜山大学校芸術大学美術学科を卒業し、弘益大学校美術大学院で絵画を専攻しました。30回以上の個展と、韓国を始め、中国・アメリカ・オーストリア・ロシアなどでの国際的なグループ展を中心に多数の作品を発表してきた崔は、親しみやすい色鮮やかな画面に、日常生活での出来事や個人的な所感を淡々とした視線で描き出します。作家が持つ詩的な感覚やユーモラスな画面作りは、韓国朝鮮時代の風俗画を連想させると評価され、韓国ではすでに高い人気を集めています。
本作品では、各モチーフの間に一定の空間的な距離を置くことで、画面への視線を一ヶ所に集中させず、登場する人物やモノに分散させています。それは、モチーフが持つイメージを観賞者それぞれの記憶や感覚に沿って解釈してもらおうという作家の意図を感じさせます。また、画面の中央に用いた鮮やかな黄色の絵具はタイトルである「秋」のイメージを提示し、鑑賞者が持つ様々なノスタルジアの感覚を蘇らせるのでしょう。

9日(水)から始まる銀座での下見会にて、皆様のお越しを心よりお待ちしております。

(執筆:W)

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PARTⅡオークションに出品される韓国人作家、全惠苑・方靖雅

先週、BAGS/JEWELLERY&WATCHESオークションにお越しいただいたお客様、誠にありがとうございました。
今週は、4週間連続オークションのラストを飾る近代美術PartⅡオークションが開催されます。6日(水)にスタートする銀座での下見会に、皆様のまたのお越しを心よりお待ちしております。

【下見会】
日程:7月6日(水)~7月8日(金) 10:00~18:00
    7月9日(土) 10:00~12:00
場所:シンワアートミュージアム

【オークション】
日程:7月9日(土) 14:00~
場所:シンワアートミュージアム

版画・日本画・洋画・外国絵画・工芸など、毎回多様な作品を楽しむことができるシンワの近代美術PartⅡオークション。今回もルノワール・モネ・ピカソなどの優れた版画作品や、梅原龍三郎・小磯良平・児島善三郎の絵画などがたくさん出品されます。

今日は、その中から外国絵画の作品2点をご紹介したいと思います。


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LOT 756
全 惠苑 (ジョン・ヘウォン)  B.1978
『ピンク色の顔』
53.0×45.5cm
キャンバス・油彩 側面にサイン・年代(2011)
エスティメイト:\50,000~\100,000

LOT 756 『ピンク色の顔』は、韓国人の若手作家・全惠苑(ジョン・ヘウォン)の作品です。海が綺麗な韓国の釜山(ブサン)で生まれた全は、釜山大学校美術学科・同大学院を修了し、現在韓国を中心に制作活動続けている作家です。作家自身を含む人間の内面に閉じ込められた「記憶」をモチーフとして描き続けてきた全は、きわめて個人的で抽象的である「記憶」の、現在と過去との間に生じる感覚的な「隙間」に焦点を合わせています。その「隙間」とは、ある事件が起きた時点から現在までの間に起こった感情の変化、またはその事実に対する受容態度の変更をいいますが、このような過去と現在の感覚の微妙な不一致を彼女は「曖昧な差」と呼びます。もう忘れてしまった過去の感情、あるいは当時は気付かなかった気持ちにまでを改めて向き合おうとする作家の姿勢は、単なるノスタルジアではないのでしょう。本作品の、画面の中からこちら側を見つめるピンク色の顔は、どんな時代のどんな物語を語りかけているのでしょうか。


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LOT 757
方 靖雅 (バン・ジョンア) B.1968
『Chicken house』
53.0×33.4cm
キャンバス・アクリル 左下にサイン・年代(2011)
エスティメイト:\50,000~\100,000

上は、もう一人の韓国人の作家、方靖雅(バン・ジョンア)の作品『Chicken house』です。韓国では最も有名な美大である弘益大学校美術学科を卒業し、東西(ドンソ)大学のDesign&IT専門大学院・映像デザイン科を修了した方(バン)は、2002年釜山青年作家賞、光州市立美術館・河正雄(ハ・ジョンウン)美術賞を受賞するなど、故郷である釜山を中心に情熱的な制作活動で注目を集めてきた若手の作家です。パブリック・コレクションとしては、国立現代美術館、釜山市立美術館などに作品が収蔵されています。方靖雅は、日常の風景の中、瞬間的に目に入ってきたある場面を独自の淡々とした感覚をもって描き出してきました。何気なく、あるいは無関心にも見える作家の視線は、「客観的な瞬間」から感じることができるユーモラスなイメージを観る者に与えます。
本作品は、最近「生」と「死」の対比に興味を持つようになったという方(バン)の最新作。画面には、キッチンでの料理には相応しくない服装の女性が鶏を手に握ったまま考え込んでいます。生命力溢れる豊かな肉体をもつ女性は、食材となった鶏が持つ「死」のイメージと強く対比されるようにも見えます。しかし、その対比とは「生」に対する「死」の排斥ではなく、むしろ生と死がわかちがたく存在するということに対する素直な受容を表すものではないでしょうか。

(執筆:W)

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1月PartⅡ下見会@銀座

 皆様、お元気に新年をお迎えでいらっしゃいますか。
シンワアートオークションとシンワブログを本年もよろしくお願い申し上げます。

本日より、シンワアートミュージアムでは近代美術PartⅡオークションの下見会を開催しております。1月29日にオークションを迎える東京では新年初めての下見会となります。
版画・日本画・洋画・外国絵画・工芸に至るシンワの近代美術PartⅡオークション、今年もより豊かな出品コレクションに力を注ぎます。
今日は、その下見会の風景を一部ご紹介いたします。


1階は日本画を展示しております。堂本印象の彩色画、片岡球子の版画など、人気作家の作品が出品されます。

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左下の画像は、棟方志功の彩色画と板画の作品3点揃いです。棟方志功鑑定委員会鑑定登録証が付いた全ての作品が、魅力的なエスティメイトで皆様をお待ちしております。


地下は日本洋画・西洋絵画・工芸です。
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こちらは、山口薫やオノサト・トシノブの作品などが展示された日本洋画コーナーです。


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また、その向こう側には、ロバート・ロンゴやシャガールの優れた版画作品を見ることができる版画・工芸セクションが用意されております。中でも、村上隆の2010年新作コレクションは、今だからこそお得なお値段で手に入れる良いチャンスに違いありませんね。


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最後にミレーのエッチング3点組やレルミットの素描もお見逃しなく。

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Lot 427
Léon – Augustin L’hermitte
Les Dégustateurs d’eau-de-vie de Marc ou L’almbic
31.2×46.7cm(58.5×73.5cm) 額装
紙・木炭
M.Le Pelley Fonteny, Léon Augustin Lhermitte, catalogue raisonné, Paris, 1991, No.659 P.439
第三回松方氏蒐集繪書展覧會 東京府美術館(昭和五年) No.40
エスティメイト:\1,000,000~\1,500,000

レオン・オーギュスタン・レルミット(1844-1925)は、クールベ風のリアリズムにセンチメンタルな風味を加えた農民画や宗教画で良く知られるフランスの画家です。バルビゾン派の第2世代にあたります。ルコック・ド・ボワボードラン(Horace Lecoq de Boisbaudran)に師事し、1864年初めてサロンに出品した後、1872年にロイヤル・アカデミーに出品しました。その後、第2のミレーと呼ばれて人気を集めながら1900年にはパリ万国博覧会に出品し、注目を浴びます。
木炭やパステルのような柔らかなメディアと優れた素描力による作品を得意とする、センチメンタルな感覚が溢れるレルミットの絵画世界。ゴッホは、彼のデッサン作品を見て「理想的」という言葉を使って称賛したそうです。デッサンがお好きな方はぜひご覧ください。

また、この作品は「第三回松方氏蒐集繪書展覧會」に出品されており、かつては「松方コレクション」の一点でした。
額の裏にそれを証明するシールが貼付されています。
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「松方コレクション」は、総理大臣を務めた松方正義の三男で実業家の松方幸次郎氏が、大正から昭和の初めにかけて蒐集した、近代を代表する美術品の大コレクションです。
国立西洋美術館が建設されるきっかけとなったことでもよく知られています。
膨大なコレクションの多くは松方氏の生前から売却されていましたので、この作品はそのうちの一点と思われます。また、現在コレクションの一部は、西洋絵画や彫刻が国立西洋美術館とブリヂストン美術館に、浮世絵が東京国立博物館に収蔵されています。
デッサンとして秀逸なだけでなく、大コレクターを魅了した一点としても美術史的に貴重な作品と言えるでしょう。

銀座の下見会と丸ビルのオークションで、みなさまのお越しを心よりお待ちしております。


【下見会】
2011年1月19日(水)~21日(金) 10:00~18:00
2011年1月22日(土) 10:00~17:00
会場:シンワアートミュージアム
【オークション】
2011年1月29日(土) 15:00~
会場:丸ビルホール

オークションスケジュールはこちら

〈執筆:W〉

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9月PartⅡ下見会@銀座

こんにちは。
今週は銀座で近代美術PartⅡ下見会を開催しておりますので、少しだけ会場をご案内します。

今回のオークションは江戸時代の作品が多く出品されます。
エントランスを入ると、まずこちらの屏風がお迎えします。

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Lot.626 《東海道図屏風》
各107.3×263.6cm
紙本・彩色
エスティメイト ★\1,000,000~2,000,000


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江戸と京都を結ぶ東海道の情景を描いた屏風です。
右の「を多はら」という金色の短冊のあたりは小田原の城下町です。往来する町人や旅人の姿、箱根の険しい山々と相模湾に囲まれた町の情景が細かく描き込まれています。このほかにも、東海道五十三次の宿場町や五十三次ではない町も描かれていますので、会場にお越しの際はぜひ江戸から京都まで、順番に辿ってみてください。


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伊藤若冲の《鶏図》です。               
若冲は極彩色の作品もすばらしいですが、水墨もたくさん描いています。左幅の鶏は足元にいるネズミも気にせずどっしりと構え、右幅の鶏は縁台の上に高くジャンプしたように羽を広げ、尾を翻しています。鶏を題材に、静と動を大胆でユーモラスに表現した作品です。


Lot.627 伊藤若冲
《鶏図》
各紙本・水墨 
印あり
エスティメイト ★\600,000~1,000,000



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 悪夢のような奇想の絵から細密描写による歴史画、軽妙洒脱な山水画までを自在に描いた「無頼の絵師」曽我蕭白、呉春という雅号でも知られ、俳人としても活動した松村月渓などの掛け軸も出品されます。




近代の日本画では、美人画が充実しています。

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 こちらは、鏑木清方、伊東深水、伊藤小坡の美人画コーナーです。
3人が得意とした風俗美人画です。いろいろな季節のものがありますので、お探しの季節の軸にぴったりの作品があるかもしれません。このほかに、深水に師事した横尾芳月の屏風《手古舞「三社祭」》も出品されます。
                     

B1Fには日本洋画、外国絵画を展示しています。
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下見会はいよいよ明日までとなりました。
オークションスケジュールはこちら

みなさまのお越しを心よりお待ちしています。

(執筆:S)

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PartⅡ下見会@銀座

こんにちは。
シンワの7月のオークションは、「JEWELLERY&WATCHES・近代美術PartⅡ」(17日・土)と、「近代美術」(24日・土)に分けて開催いたします。

「JEWELLERY&WATCHES・近代美術PartⅡ」の下見会を、銀座・シンワアートミュージアムにて現在、開催中です。
JEWELLERY&WATCHESが167点、近代美術PartⅡが383点という多数の作品が出品される今回のオークション。本日は、その中からいくつかの作品をご紹介したいと思います。

まず、日本の戦後美術を代表する前衛芸術家、斉藤義重(1904-2001)の作品です。
ご覧下さい。
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Lot 754 斉藤義重
《ドリル(青)》
17.1×13.3cm(40.3×36.7cm)
合板(ドリルを使用)・油彩 裏に署名
★¥250,000~¥500,000

斉藤義重(1904-2001)は、日本のコンテンポラリーアートのパイオニア的な作家です。早くから抽象表現に取り組み、1960年第30回ヴェネチア・ビエンナーレに出品、グッゲンハイム国際美術賞展で優秀賞を受賞するなど、国際的にも高く評価されています。
《ドリル(青)》は、斉藤の代表的なシリーズのひとつ、電動ドリルを使用した作品です。ドリルで板に点や線を刻み、青の絵具を塗って仕上げることで、作品は絵画と彫刻、平面と立体という境界を越えています。また、制作の際、斉藤はドリルで板を刻むという行為を大切にし、その過程も作品の一部と考えました。こうした前衛的でユニークな作風は、制作からおよそ50年がたった今も新鮮で刺激的な感覚を与えてくれます。

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Lot 838 清水多嘉示 「裸婦」
H50.0×W15.6cm / 下部に銘 共箱
★¥100,000~¥200,000

1923年絵画を学ぶためパリに渡った清水多嘉示(1897-1981)は、「サロン・デ・テュイルリー」でオーギュスト・ロダンの高弟、アントワーヌ・ブールデルの作品と出合い、強い感銘を受けました。その影響で彫刻家に転向した清水多嘉示は、レオナール・フジタ、イサム・ノグチ、小山敬三らとの交遊を持ちながら、エコール・ド・パリの日本人作家、第1世代として堅実な制作活動を続けます。
余談ですが、1949年、当時武蔵野美術大学で教鞭を執っていた清水多嘉示は、韓国からの留学生、權鎭圭(コン・ジンギュ、1922-1973)と出合い、今度は師匠の立場でコンに強い影響を与えるようになります。コンは、韓国では天才彫刻家と称された作家で、昨年には、日本の東京国立近代美術館・武蔵野美術大学、そして韓国のソウル市立美術館での回顧展が大々的に開催されました。日本の彫刻家の第1世代である清水多嘉示、そして、韓国の彫刻家の第1世代となるコン・ジンギュ。ブールデルからコンまでのこのような縁の繋がりは、まさに「美術史」そのものと言えるでしょう。
作品《裸婦》は、力を抜いた自然なポーズ、胴体から漂う生命感、そして夢見るようにどこかを見つめる女性の視線までを、よく捉えた肉感溢れる作品です。

そして最後に、草間彌生の版画コレクションをご紹介いたします。

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Lot 536 草間彌生
《ハンドバッグ》
シート53.3×61.1cm
下余白にサイン・Ed.90/100
草間彌生全版画集No.80(阿部出版株式会社)
★¥50,000~¥100,000

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Lot 525 草間彌生
《富士》
シート55.2×68.7cm
下余白にサイン・Ed.23/75
草間彌生全版画集No.24(阿部出版株式会社)
★¥50,000~¥100,000

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Lot 531 草間彌生
《金魚》
シート53.4×60.9cm
下余白にサイン・Ed.19/100
草間彌生全版画集No.80(阿部出版株式会社)
★¥50,000~¥100,000

今回の「JEWELLERY&WATCHES・近代美術PartⅡ」では草間彌生の42点の見事な版画群が皆様をお待ちしています。色鮮やかなこの作品たちは、彼女のモチーフとしてよく知られる南瓜・帽子・ネットから、富士・貝・金魚など、ちょっと珍しいモチーフまで、草間のファンである方々にはとても楽しむことができる内容です。それにエスティメイト¥50,000~¥100,000、¥80,000~¥150,000という魅力的なお値段は、今度こそ草間を手に入れることができる絶好の機会になるかもしれません。

皆様のお越しを心よりお待ちしております。


<執筆:W>

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