こんにちは。今週、東京はまだ桜が見頃ですが、皆様のお住まいの地域はいかがでしょうか。昔は入学式の時期に桜が咲いていた記憶がありますが、4月に桜が咲いているのを見るのは何年ぶりでしょう。いつもより遅めのお花見、どうぞお楽しみください。さて、今週13日(土)は、西洋美術/BAGS/JEWELLERY&WATCHESオークションを開催いたします。今回は西洋美術オークションの出品作品の中からおすすめの1... Read more
カテゴリー別アーカイブ: バッグ・ジュエリー&ウォッチ
HERMES プレミアムバーキン 「ヒマラヤ」
こんにちは。今週20日(土)は、JオークションのBAGS/JEWELLERY&WATCHESオークションを開催いたします。今回も出品作品の中からおすすめの1点をご紹介いたします。Lot.61 HERMESバーキン3025.0×30.0×16.0cm素材:ニロティカスマット色:ヒマラヤ金具:パラジウム 2009年製カデナ・キー・クロシェット・レインカバー・布袋・箱付落札予想価格 ¥7,... Read more
先週の陶芸オークションにお越しいただいた皆様、誠にありがとうございました。
さて、7月に入りました。梅雨が明ければ夏本番を迎えますが、汗ばむこの季節、気をつけていただきたいのが金属アレルギーです。
人間にはもともと、自分の体を構成しているものとは異なったものを排除して、自分の体を健康に保とうとする仕組みが備わっています。異物が侵入した場合、普通は吸収され腸などを経て排泄されますが、何らかの理由で有害物質が入り、リンパ球がその物質を「排除すべき異物」と判断すると、リンパ球はその有害物質を攻撃し、死滅させ液体にします。これが皮膚表面に小さな水庖として現れ、かゆくなるのが「かぶれ」です。更に、リンパ球がその有害物質を覚えていて、再度同じ物質が侵入した時、直ちに過剰な拒絶反応を起こすようになることをアレルギーといいます。一度アレルギーになってしまうと、ほとんど治ることがありません。そして、アレルギーを起こす物質をアレルゲンといいますが、アレルゲンの量がほんのわずかでも拒絶反応を起こしてしまいます。
金属は普通、水には溶けませんが、汗や体液(ピアッシングなどの傷口から出ます)には極微量に溶ける場合があります。これを金属のイオン化といいます。金属イオンは体内に取り込まれ、体の蛋白質と結合します。人によっては、この結合物質が身体の方で異常な物と認識されます。そのため「かぶれ」や「炎症」が起こり、一度炎症が治っても、同じ金属が触れる度に症状を繰り返します。これが、金属アレルギーです。
身の回りの金属で、金属アレルギーを起こす可能性のあるものは20種ほど知られています。そのうち、水銀、ニッケル、コバルト、クロム、パラジウムが、パッチテスト反応が高いとの報告があります。水銀は装飾品に使われることはまずありませんので問題外として、ニッケルとパラジウムは、知らず知らずのうちに身につけている可能性が高い金属です。
現在ニッケルに関しては、(社)日本ジュエリー協会が、ピアスアッセンブリー(針、キャッチ及び、耳たぶに直接接する部分)にはニッケル含有金属を用いないよう、会員メーカーに働きかけています。ただし、ピアス以外のジュエリーで用いるホワイトゴールドには、割り金として微量のニッケルが使用されている場合があります。同協会では、ピアスアッセンブリー以外のニッケルの使用制限は設けていません。ニッケルが全面的に使用禁止であるとの間違った噂により、使用が避けられるようになったのも事実ですが、ホワイトゴールドでは特に、硬さ、ばね性、色調を求めるために、ニッケルの特性を活かすことがあります。また、ピアスでも、海外のものにはニッケルが用いられているものが稀にありますのでご注意下さい(ヨーロッパにもニッケル溶出率での使用制限はあります)。
そして、ニッケル以上に私たちが接することが多いものが、パラジウムです。一般にはあまり馴染みのない金属のように思いますが、実は大変白くて美しいということで20年ほど前に流行った金属です。価格が暴騰したことや、パラジウムによる公害が報告されたことで、ジュエリーに一定量以上を使うことははばかられるようになったとのことですが、今現在でもプラチナの割り金としてパラジウムは使われています。また、前出のホワイトゴールドに、ニッケルの代わりとして使われることも多い金属です。割り金として少量使う事で、見た目により白く、美しい輝きが出せるということから、用いられているようです。
また、非常に少ない割合ですが、プラチナや金そのものに対してアレルギーを示す方もいらっしゃいます。
人によってアレルギー反応を起こす金属が違いますし、実際何の金属が原因でアレルギーが起きているのかは調べてみるまで分かりません。肌が弱く心配な方や、何らかのアレルギー症状が見られた方は、早めに病院へ行き、パッチテストを受けることをお勧めします。アレルギー反応が見られた金属を避けてジュエリーを選ぶことで、より安全に身につけていただけることと思います。商品によっては、「ニッケルフリー」「ノンニッケル」「パラジウムフリー」などの表示があったり、使用している金属が明記されているものがありますので、そういう物を選ばれると良いですね。そして何より、ジュエリー自体を清潔に保っておくことが、金属のイオン化を防ぎます。夏場は特にお手入れには気をつけて、ジュエリーを楽しんで下さい。
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アンティークジュエリー
こんにちは。今週末はBAGS/JEWELLERY & WATCHESオークションを開催致します。
今回、珍しくアンティークジュエリーがいくつか出品されますので、少しご紹介したいと思います。
アンティークジュエリーとは、製作されてから100年以上経過した宝飾品のことを指します。本場はイギリスで、実際市場に出回るアンティークジュエリーは製作から200年以内のものが大半を占めるため、ほとんどがヴィクトリア時代のものと言えます。
ヴィクトリア時代とは、1837年に18歳の若いヴィクトリアが王位についてから、1901年逝去までの長い治世の時代を指します。この時期イギリスでは既に産業革命が成し遂げられており、また、世界中に植民地を広げ、強力な生産力と富を保持していました。ヴィクトリアはジュエリーをこよなく愛したため普段からそれらを身につけ、ジュエリーは以前より頻繁に人々の目に触れるようになります。それまでは権威の象徴だったジュエリーですが、国家の生産力の向上と富の増大により、様々な階級の女性も女王の真似が出来るようになりました。こうしてジュエリーは、いまだかつてないほどの隆盛を極めます。女王は若い頃、赤いガーネットを特に好んで身につけたため、その影響で、19世紀前半にはガーネットが大流行したようです。
今回まさに、初期ヴィクトリアンジュエリーの典型的なデザインを持つ商品が出品されます。
Lot582 ガーネットブローチ(1840年頃)
Estimate ¥50,000~¥100,000
アンティークジュエリーの魅力の一つに、現代では再現することが難しく、失われた技術と呼ばれるほど高度な技術を要する、ミリ単位の金の装飾があります。上記右側の画像を見ていただければ分かると思いますが、本当に細かい細工が施されています。
また、このブローチには、“ルポゼ”という金にふくらみをもたせたデザインが見られます。ルポゼはヴィクトリア初期に頻繁に見られる技法で、ふんだんに金が使えない時代、限られた金をより大きく見せるために編み出されました。薄い金の板を叩き出し、立体感と重厚感をもたせています。1848年にカリフォルニアで、1851年にオーストラリアで相次いで金鉱山が発見され金がふんだんに使えるようになると、ジュエリーはずっしりと重量感を持つようになります。これは鉱山発見以前のものなのでしょう。非常に軽く、着けやすい仕上がりになっています。
ヴィクトリア時代中期には、ジュエリーの世界に特に大きな影響を与える、二つの出来事がありました。
まず、1861年に、ヴィクトリアは最愛の夫アルバート公の死という不幸に見舞われます。女王はその後、約25年間もの長い間喪に服しました。執務中も黒いドレスを着用し、ジェットという黒い宝石を身に着け、側近たちにもそれを強要しました。庶民の間ではモーニングジュエリーが大流行し、彫金したゴールドに黒いエナメルで装飾を施し、パールや小さいダイアをあしらい(パールやダイアモンドは、無色ということで喪中でも身につけることが許されたようです)、遺髪を入れるロケットを持った装身具が、一時期製造が間に合わないほどの人気を集めました。喪が明けても、ロケットタイプのジュエリーは人気を保ち続け、様々なものが製作されていたようです。
今回、ロケットタイプのジュエリーは2点出品されています。
Lot585ガーネット パール ダイアモンドペンダントトップ(1880年頃)
estimate¥150,000~¥250,000
Lot587 ボヘミアンガーネットブローチ(1880年頃)
estimate¥50,000~¥100,000
Lot585の中央に入れられている星の模様は、ヴィクトリア時代の典型的デザインです。この時代、天然パールやダイアモンドで、これと同じデザインを使ったティアラやブローチなど多くの作品が作られています。
そしてもう一つ、1867年に、南アフリカのキンバリーでダイアモンドの鉱山が発見され、ヨーロッパに大量のダイアモンドが流入するようになりました。そして、それまでのローズカットに加えて、新たに発明されたオールドヨーロピアンカットが使用されるようになり、ダイアモンドは一層の輝きを得て人々の間に普及していきます。
Lot590 ダイアモンドブローチ(1860年頃)
estimate¥400,000~¥600,000
こちらは花の部分の裏にコイル状のバネが仕込まれ、細かく揺れる仕組み(トレンブラン)になっています。
ヴィクトリア時代後期に入ると、大量に供給されるダイアモンドを用いたジュエリーが多く作られるようになりました。また、暗いイメージのモーニングジュエリーへの反動も表れ、全体に明るく繊細なものが好まれるようになります。また、自然主義の影響で、小ぶりな花や葉、月や星を象ったものが多くなっていきました。これが、もっと後のアール・ヌーヴォー様式に繋がっていきます。
アンティークジュエリーはボリュームがあるものが目立つため、現代のスタイルには似合わないとお思いの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、着けてみると意外に使いやすいジュエリーです。特に、ヴィクトリアンジュエリーは、一般の人が着けて美しく見えるようにデザインされたものが多いので、着けた時にこそ、その真価が発揮されるのです。ドレスの胸元やジャケットの襟元に映え、現在のシンプルなスタイルのポイントとしても、とても素敵にお使いいただけます。
時を経て私たちの手元に来るアンティークジュエリーは、その個性的なデザインが何かの意思を持っているようで、歴史を知れば知るほど面白く、見る者を感動させる魅力を持ちます。
下見会は4月17日(水曜日)からです。是非手に取って、細部の細かさを確かめ、アンティークジュエリーならではの魅力を感じてみて下さい。
下見会・オークションスケジュールはこちら
(執筆:N)
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1月の誕生石<ガーネット>
こんにちは。
時が経つのは早いもので、年が明けてから既に一月が経とうとしています。ぼやぼやしていたら2013年もあっという間に終わってしまうのだろうなあと、昨日仕事を終えて帰ろうとした時にふと思ってしまいました。皆さんはこの一月をどう過ごされましたか?充実した年になるよう、日々前向きに、様々なことにチャレンジしていきたいですね。
さて、そんな1月の誕生石はガーネットです。ガーネットは、血液などの循環を促し、生命力を高め、私たちにエネルギーを与えてくれるため、寒い1月を乗り切る力になると言われています。また、精神力を高め、努力を実らせ成功に導く石とも言われます。
「ガーネット」という名は、ラテン語の“ざくろ”を意味するグラナトゥムに由来し、日本名も柘榴石(ざくろ石)。その名の通り、一般的にガーネットとして知られているのは深い赤色を持つ石です。
しかし実はガーネットには青を除いたほとんどの色があり(無色・黄・橙・赤・緑・黒など)、色によって様々な呼ばれ方をします。
今回は、赤色のガーネットと同等か、それ以上に人気のある緑色のガーネットの中から、ツァボライト(グリーングロッシュラー・ガーネット)とデマントイドガーネットをご紹介します。
ツァボライトの歴史は、1968年にケニアのツァボ国立公園から発見された緑色のガーネットに、ティファニー社が「ツァボライト」と命名したことにより始まりました。ツァボライトは、光の屈折率がサファイアに近く、硬度もクォーツと同じ程度あるので、宝石としての資質に優れています。色味としては、エメラルドより冴えた、透明度のある緑色をしています。また、インクルージョンの少ないものが比較的多いため、エメラルドのような、オイルを含浸させる処理が行われません。デビューしてまだ30年の新しい宝石で、産出量も少ないため知名度は低いのですが、この石の美しさと宝石としての資質を考えると、今後の需要の増加も予想されます。
同じグリーンのガーネットで、さらに高い屈折率と強い分散を誇る石を「デマントイドガーネット」と呼びます。馬の尾のような、多数の繊維状結晶「ホーステールインクリュージョン」が見られることが特徴です。色は、ツァボライトより黄味がかった若葉色です。デマントイドガーネットは主にロシアのウラル山脈で採掘されています。「デマントイド」には、“ダイアモンドのような”という意味が含まれており、その強い輝きを持つ美しさから、ロシア王室はもとより、イギリス王室やアメリカの上流階級の人々に愛されてきました。ロシア革命によって一時期採掘が中止に追い込まれましたが、1980年代終わりのソ連のペレストロイカで採掘を復活させています。デマントイドガーネットは還流品としてオークションに出され、1カラット当たり1万ドルを超える値がつけられたこともあり、その人気の高さが伺えます。
デマントイドガーネットは次回オークションにも出品される予定です。大きいものが出品されることは稀ですが、小さいものでも鮮やかな若葉色は目に映えます。是非下見会に足をお運び下さいね。
(執筆:N)
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今週はBAGS/JEWELLERY & WATCHESオークションです
こんにちは。
先週の近代陶芸/近代美術パートⅡ(陶芸)オークションにご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
12月に入り、まさに冬!といった寒い日が続くようになりました。寒さにめっきり弱い私には辛い季節の到来ですが、クリスマスからの冬休み、お正月とイベントが続く、賑やかな季節でもあります。
さて私は、冬休みを先取りして、先週フランスに行って参りました。日本と同じような気温のパリは、木々が黄色に色づき、とても美しい景観を作りだしていました。
また一方、クリスマスに向けたイルミネーションも施され、シャンゼリゼは一層華やかさを増しています。
外を歩けばその美しさに寒さもしばし忘れ、散歩を楽しんだり、長いこと立ち止まったりすることもしょっちゅうですが、体は確実に冷えてまいりますので、やっぱり寒い!!と感じたら美術館へ足を運びましょう。
フランスの美術館というと、ルーブル美術館、オルセー美術館、国立近代美術館が三大美術館として知られていますが、大きな美術館を巡るのは一日がかり。気分的にも準備が要りますよね。でもパリには、多様な趣を持った小さな美術館も数多くあります。中でも、サンドウィッチを持ちこんで、美しい庭で気ままなランチが楽しめるロダン美術館、独特な雰囲気をもつマレ地区の邸宅を改修したピカソ美術館、東洋の彫刻やレリーフが充実し、さながらテーマパークの中にいるような気分にさせられるギメ美術館などは私のお気に入りで、以前パリで暮らしていた頃は、その日の気分に合わせて気軽に訪れていましたが、とりわけ16区のマルモッタン美術館は一番のお勧めです。
< マルモッタン美術館 外観>
マルモッタン美術館は、ブーローニュの森にほど近い閑静な住宅街に佇んでおり、モネの息子が多数、モネの作品を寄贈したことで有名です。モネの作品というと、オランジュリー美術館を思い浮かべる方が多いかもしれません。2000年から2006年の長きに渡る大改装によって、「陽光が降り注ぐ一室を『睡蓮』の壁画で飾る」というモネの晩年の夢を叶え、大きな話題になりました。でも実は、世界最大級のモネのコレクションを誇るのはマルモッタン美術館なのです。かの有名な『印象-日の出』もこの美術館のコレクションであり、館外不出のためここでしか見ることが出来ません。通常は地下が一室モネ専用の展示室となっていますが、先日は地下で別の展覧会が行われていたためか、モネの作品は一階の展示スペースに移されていました。そこでは、作品は透明のアクリル板にかけられており、漂っているように見える作品からは、それが有する風の流れや水の透明感、光の層が一層引き立つようでした。その中でも特に私の心に残っているのが『ルーアンの大聖堂』です。通路の突き当たり、緑の庭に面した大きなガラスの前のこの作品は、私が訪れたのがちょうど夕暮れ時で薄暗かったからでしょうか、スポットライトに淡く照らされ、優しく、しかし厳かに浮かび上がっていました。今回の訪問では、作品群の素晴らしさを改めて感じると共に、展示方法も美術の重要な要素だと改めて考えさせられました。マルモッタン美術館では館内撮影が禁止されているため、お見せできないのが残念です。美術館巡りで、こういった展示方法を含めて自分好みの場所を見つけていくのも楽しいですね。
ところで、ご案内が遅くなりましたが、忘れてならないのが今週末のBAGS/JEWERELLY & WATCHESオークションです!
今回は、際立った美しさを持つだけでなく、とっても貴重なTypeⅡBのダイアモンドが出品されます。
LOT690 ダイアモンド(TypeⅡB)
8.003ct D VVS2 蛍光性なし
エスティメイト¥30,000,000~¥40,000,000
このダイアモンドについて、ジュエリーコンシェルジュの原田信之さんもご紹介下さっています。
http://harada.ho-seki.com/archives/2012-11.html
こちらのダイアモンドは下見会でどなたでもご覧いただけます。滅多にないダイアモンドですので、この機会を逃さぬよう、是非足をお運び下さいね。
社員一同、皆さまのお越しを心よりお待ちしております。
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(執筆:N)
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10月の誕生石 オパール
こんにちは。空を流れる淡い雲が、秋の訪れを感じさせます。一年のうちでも過ごしやすいこの季節、食に、読書に、運動に、存分に秋を満喫したいですね。
今週末はBAGS/JEWELLERY & WATCHESオークションを開催します。下見会は3日(水)からですので、是非お越しください。
さて今回は、10月の誕生石「オパール」についてご紹介します。
「それはまるで、赤や緑や青や様々の火が烈しく戦争をして、地雷火をかけたり、のろしをあげたり、又いなづまが閃いたり、光の血が流れたり、さうかと思ふと水色の焔が玉の全体をパッと占領して。今度はひなげしの花や、黄色のチュウリップ、薔薇やほたるかづらなどが、一面風にゆらいだりしてゐるように見えるのです。」
宮沢賢治は著書『貝の火』の中で、オパールについてこう言及しています。まるで自分が美しい色彩の世界に漂っているかのように思わせるこの描写は、オパール独特の煌めきと特徴を見事に表現しています。オパールは、一つの石の中にいくつもの色が共存する、魅惑的な美しさを持つ宝石です。見る角度によって色が変わったり、内部で虹色の光がちらついたりする「遊色効果」は、実は非結晶体である石の内部が、シリカゲルのような球状の粒子の集合体であるために現れます。ほとんど同じ大きさの球状粒子の集合ですが、ほんの少し小さい粒子では紫、中間が緑、少し大きな粒子では赤といったように、粒子のサイズに対応して波長が変わった反射光が、様々な色となって私たちの目に入ってきています。
『貝の火』では、主人公が与えられたオパールは、最後には曇って砕けてしまいます。さすがは鉱物が大好きだった宮沢賢治ですね。オパールの脆さまでしっかり作品に入れ込んでいます。オパールは水分を含んでいるため、熱や乾燥によって曇ったり、亀裂が入ったりしてしまうことがあります。弊社の下見会にいらした事のある方の中には、オパールが入っているショーケースに、水を張ったグラスが置いてあることに気付かれた方がいらっしゃるかもしれません。現在では、ある程度の水抜きに耐えた石のみが市場に出されていますし、そもそも高温多湿な日本では、普通に取り扱っていて割れることはほとんどありません。しかし、ショーケースに陳列する際は、石がライトによって熱せられ、乾燥してしまわないよう、念のために水を置いているのです。
そんなオパールですが、弊社オークションでは大きく分けて4種類のオパールが出品されています。オパール・ブラックオパール・ボルダーオパール・メキシコオパールです。
10月6日開催のBAGS/JEWELLERY & WATCHESオークションに出品されるものの中からいくつかをご紹介します。
< オパール>
弊社がオパールと表記しているものはライトオパール、或いはホワイトオパールとも呼ばれ、地色(ボディーカラー)が乳白色から白色のオパールのことをさします。
LOT273 オパール ダイアモンドリング
エスティメイト¥100,000~¥200,000
< ブラックオパール>
ブラックオパールはその名の通り地色が黒いため、ライトオパールに比べて遊色効果が際立ちます。日本人は特にブラックオパールを好む国民だと言われ、最近まで産出量の半分以上が日本に輸入されていたと言われています。
(左)LOT276 ブラックオパール ダイアモンドリング
エスティメイト¥150,000~¥250,000
(右)LOT277 ブラックオパール ダイアモンドリング
エスティメイト¥150,000~¥250,000
< ボルダーオパール>
ボルダーオパールはしばしばブラックオパールと似ているものも見かけますが、母岩がオパールの一部となっているところに特徴があります。そのため石の裏面には褐色の母岩が確認できます。
LOT278 ボルダーオパール グリーントルマリンペンダントトップ
エスティメイト¥50,000~¥100,000
< メキシコオパール>
メキシコが産地で地色がオレンジ~赤色のオパールをファイアオパール、水色~無色透明のオパールをウォーターオパールと呼び、それら2つを合わせてメキシコオパールと呼びます。メキシコオパールは他のオパールに比べて透明度が高く、品質の良いものは、まるで水面に映る虹や夕日のような瑞々しい美しさを持っています。
LOT349 メキシコオパール ダイアモンドリング
エスティメイト¥120,000~¥200,000
何れのオパールも、一般的に赤色の光を持つものの価値が高いと言われています。しかし、遊色のバランス、モザイク模様の大きさ、輝きの冴え、地色の明度など、美しさを決める要素が多々あるのがオパールです。二つとして同じ輝きを持つ石はありませんので、ご自身の目で見て惹きつけられる一石を選ばれると良いと思います。今回のオークションでは、上記以外にも出品されます。是非お手にとってそれぞれの個性をお楽しみください。
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皆さまのお越しを心よりお待ちしております。
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世界五大ジュエラー
先週の近代美術・近代美術PartⅡオークションにご参加の皆さま、誠にありがとうございました。
いよいよ夏本番といった暑い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしですか?熱中症の予防を心掛ける他、室外・室内の気温差も大きくなって参りますので、体調を崩されないようお気をつけ下さいね。
夏といえば海外旅行にお出かけになる方も多いのではないでしょうか?その際は、現地のジュエラーを是非巡ってみて下さい。特に欧米ではジュエリー文化がしっかりと根付いているため、日本ではあまり見られないような大振りで華やかなものがショーケースに飾られていたりします。高価なものは店頭には置いていない場合がほとんどですが、陳列してあるジュエリーのラインナップやデザインの傾向を見るだけでも楽しめるかと思います。
ということで、今回は世界5大ジュエラーについてご紹介します。
世界5大ジュエラーとは、その名の通り、世界中で非常に有名なハイジュエラー5つの総称です。その5つとはHARRY WINSTON(米)、Cartier(仏)、TIFFANY & Co.(米)、BVLGARI(伊)、Van Cleef & Arpels(仏)です。
・HARRY WINSTON
以前、弊社ブログでもご紹介しましたハリー・ウィンストンは、「キング・オブ・ダイアモンド」と呼称され、特にダイアモンドジュエリーで圧倒的な人気を誇っています。石の選別には、質を見極める際に通常使われる4C以外にも、社独自の非常に厳しい基準を設けているそうです。芸能人が結婚指輪にハリー・ウィンストンを選んだという話は良く聞きますね。アカデミー賞でハリウッド女優がよく身につけることでも有名です。弊社オークションでも時々出品されますが、毎回注目を集めています。
ハリー・ウィンストン本店 ニューヨーク
・Cartier
フランス・パリ発祥のカルティエは、その洗練されたデザインで、創業当初から王侯貴族をとりこにしてきました。社会の要求に見合った、実用的なものをカルティエ風に装飾して制作する、という信条の元に作られた作品は、ジュエリーにとどまらず、色石の色彩と質感を存分に活かした時計やオブジェ・ダール(美術品)にまで及びます。カルティエはしばらくの間、特権階級の一部の人のみを顧客としていましたが、一般市民の手に渡るようになった後も、その気品あるデザインや作りの精巧さは群を抜き、今でも世界中の王室から御用達店の指名を受けています。
カルティエ本店 パリ
・TIFFANY & Co.
高級感のあるブランドながら、比較的お手頃なシルバーの定番ジュエリーから高価なハイジュエリー、文具、食器まで、取り扱い商品に幅をもたせているティファニー。それだけに、幅広い層に夢を与え、人気があります。『ティファニーで朝食を』では、いつかあの商品を、あの生活を、といった夢が見事に描かれていますね。ティファニーが考案したダイアモンドのセッティング方法である、6本の立て爪によるティファニーセッティングは、現在のエンゲージメントリングで主流となっています。
ティファニー本店 ニューヨーク
・BVLGARI
ギリシャ建築にヒントを得ているブルガリのジュエリーはボリュームのあるデザインが多く、様々な色石を駆使した個性的で華やかなものが多く見られます。その豪華さが女性の強さを感じさせるためか、世界中のセレブに非常に人気があります。ブルガリ・ブルガリが1977年に発売されて以来、時計も大変高い評価を得ました。以来、時計メーカーとしても確固たる地位を築いています。
ブルガリ本店 ローマ
・Van Cleef & Arpels
フェミニンで繊細、エレガントなデザインが特徴的です。ブランドコンセプトが「愛・夢・美」であるという通り、動植物からインスピレーションを得た商品や、リボンモチーフの商品を多様に展開し、とても可愛らしい世界が表現されています。また、ミステリー・セッティングという留め金が見えないセッティング方法を考案するなど、既存の技術だけに頼らない職人の精神と技術力がその豊かな世界観を支えてきました。2009年~2010年にかけて、森アーツセンターギャラリーで、創造の100年を辿る大規模回顧展が開催されました。その軌跡は正に芸術と呼ぶにふさわしいものでした。世界5大ジュエラーの中で唯一、パリのヴァンドーム広場を拠点とするグランサンク(パリ五大宝飾店)にも名を連ねており、モナコ王室御用達のジュエラーでもあります。
ヴァンクリーフ&アーペル本店 パリ
以上が定番の世界五大ジュエラーですが、ふと通りすがったその土地土地のジュエラーを覗くのも面白いと思いますので、是非足を運んでみてくださいね。
パリのヴァンドーム広場及びグランサンクについては、またの機会にご紹介します。
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BAGS/JEWELLERY&WATCHESオークション下見会
先週の「近代陶芸 / 近代美術PartII(陶芸)オークション」にお越しいただいたお客様、誠にありがとうございました。
つづきまして、今週はBAGS/JEWELLERY&WATCHESオークションが開催されます。
いつもシーズンに合わせた品揃えで充実するシンワのBAGS/JEWELLERY&WATCHESオークション。今回も、夏を目前に控えたこの季節に相応しい商品がたくさん出品されます。今日は、本日から銀座でスタートする下見会の様子を少しだけお伝えいたします。
<正面からの風景>
<シャネル>
まず、下見会場に入って奥の右側には、今回たくさんの点数が出品されます、シャネル・コレクションが皆様をお迎えします。いろいろな形や色のバッグからお好みのスタイルを是非お試しください。
<エルメス他>
こちらはバッグオークションで毎回注目を浴びるエルメス・コレクションです。バーキンを始め、ケリーや人気のガーデンパーティなどが今回もたくさん出品されます。他にもルイ・ヴィトンのビステンや書類カバンなどのメンズ商品はもちろん、レディース向けの様々なブランドのバッグも幅広く揃えております。
<小物>
こちらは、小物コーナーです。今回のバッグオークションの特徴は、いろいろな種類の小物が用意されているところです。エルメス、ルイ・ヴィトンのベルトやカルティエのボールペン、またエルメスのスカーフとハンカチセット、そしてルイ・ヴィトン、シャネルのサンダルなどが揃っております。
時計とジュエリーの商品もお見逃しなく。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。
下見会・オークションスケジュールはこちら
<執筆:W>
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6月の誕生石 真珠
先週の浮世絵/近代美術PartⅡオークションに参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
間もなく梅雨の季節がやってまいります。梅雨と聞くとなんとなく憂鬱な気分になってしまいますが、菖蒲や紫陽花等、雨雫の似合う花々を愛でるのは、この季節ならではの楽しみです。
さて、そんな6月の誕生石といえば、こちらも水を連想させる「真珠」です。今回は真珠についてご紹介いたします。
私たち日本人にとって、最も身近で馴染みのある宝石と言えば真珠ではないでしょうか。冠婚葬祭どの場面でも使い勝手が良いため、ファーストジュエリーとして親から娘へ贈られることも多いようです。
真珠は、日本書紀や古事記、万葉集において既に記述されており、『魏志倭人伝』にも邪馬台国の台与が曹魏に白珠(真珠)5000個を送ったと記されています。しかし、真珠が今日のように身近になったのは、19世紀も後半に入ってからのことです。現在世界屈指のパールメーカーとして君臨している御木本真珠店(現・ミキモト)の創始者、御木本幸吉(みきもとこうきち)が、世界に先駆けて養殖真珠の産業化に成功したことがその要因です。
真珠は基本的に真珠層を持つ貝ならばすべて生成可能ですが、天然で生まれることが非常に稀であることから、養殖技術が発達する以前は、現在とは比較にならないほど珍重されていました。現在は養殖技術による量産が可能になりましたが、品質の良いものは未だ高値で取り引きされています。
真珠の品質基準としては、主に「大きさ」「色」「形」「キズの有無」「照り」「巻き」の要素があります。その中でもお客様からよくご質問をいただく、「照り」と「巻き」について少しご説明致します。
< 照り>
「照り」とは、真珠の輝きや光沢のことです。真珠の光沢は真珠層の結晶構造によって決まり、結晶が規則正しく並んでいるものほど美しい光沢を見せます。真珠の一粒一粒に映り込むライトの光やご自身のお顔をご覧ください。照りが良いものは真珠に映り込むものがシャープに見え、照りの悪いものはぼやけて見えます。選ばれる際は複数の商品を手に取り比べてみることをお勧めします。
< 巻き>
真珠はドブ貝を加工して作った核を貝の中に埋め込み、その周りを貝自身が分泌物で覆うように巻いていくことによって作られます。その覆っている分泌物の厚さが厚いことを「巻きが厚い」と言います。巻きの厚い真珠は内側から力強い輝きを発します。巻きの良し悪しは、照りに比べて分かりにくいかもしれません。しかし数多くの真珠を見ていると、照りや質感に重量感のあるものと、そうでないものがあることがお分かりいただけるかと思います。
真珠は、生成する母貝の種類によって、さまざまな特徴があります。
最もポピュラーな真珠は、アコヤ貝に生成する「アコヤ貝養殖真珠(和珠)」です。
貝自体の大きさが10センチ程度なので、9mm以上の和珠は滅多になく、非常に貴重です。ピンク系、シルバー系、イエロー系、ブルー系等、様々な色調がありますが、日本ではピンク系を好む人が多いようです。さりげなく身につけられる和珠に纏うピンクの光は、上品さに加えて可愛らしさをも感じさせるからでしょうか。
6月23日開催BAGS/JEWELLERY & WATCHESオークション
LOT293 アコヤ貝養殖真珠ネックレス(エスティメイト¥350,000~450,000)
こちら、一粒の大きさは9.0~8.5mm。大きさ、照り、巻き共に非常に優れたロングネックレスです。
白蝶貝から産出するものは、一般に「南洋真珠」と呼ばれ、主にオーストラリア、インドネシア、フィリピン、ミャンマーで養殖されています。この貝は真珠貝の中では最も大きく、成貝は30センチにも達します。よって真珠自体も大粒のものが多く、身につければそれだけで目を引く、ゴージャスな装いを可能にします。産地によって色合いに違いがあり、オーストラリア産のものは青みの強い白色、フィリピン産は金色のものが多いのが特徴です。
6月23日開催BAGS/JEWELLERY & WATCHESオークション
LOT227 白蝶貝養殖真珠ネックレス(エスティメイト¥200,000~300,000)
美しいゴールドの輝きを持った真珠の連です。色味がしっかりしており傷も非常に少ないため、近くで見た時はもちろん、遠目でも華やかさが際立ちます。
6月23日開催BAGS/JEWELLERY & WATCHESオークション
LOT297 白蝶貝養殖真珠(エスティメイト¥200,000~300,000)
こちらは真円ではありませんが、これだけの大きさのものは白蝶真珠の中でも大変貴重です。
黒蝶貝から産出される真珠は、「黒蝶真珠」と呼ばれます。黒蝶真珠のタンパク質には、赤、黄、緑の三つの色素が含まれており、これらが重なり合うことによって、それぞれ実に多彩で個性的な色合いを生み出します。黒蝶真珠は主にタヒチや沖縄県などで養殖されています。黒蝶真珠の中でもピーコックカラーと呼ばれる一級品は、その名の通り、黒色の地色の上にクジャクの羽根のような光を纏い、その神秘的な光は観るものの心をとらえ、シンプルな装いにも、妖艶な美しさを加えます。
6月23日開催BAGS/JEWELLERY & WATCHESオークション
LOT298 黒蝶貝養殖真珠(エスティメイト¥500,000~700,000)
黒蝶貝養殖真珠でこれだけの大きさ、色、形、照り、巻きが揃ったものは滅多にありません。非の打ちどころのない逸品です。
カリブ海に生息する巻貝、コンク貝から採れる「コンクパール」は、珊瑚のようなピンク色で、炎のような火焔模様が見られるのが特徴です。コンク貝は巻貝なので、人工的に核を入れることは不可能です。そのため出回っているもののほとんどが天然のものと言われ、非常に希少性が高いとされています。
4月21日開催BAGS/JEWELLERY & WATCHESオークション
LOT59 コンクパール ダイアモンドリング by MIKIMOTO
(エスティメイト¥200,000~300,000)
次回オークションにはコンクパールは出品されませんので、前回のオークションからのご紹介です。可愛らしいピンクがとても印象的でした。27万円で落札されております。
その他、淡水性の池蝶貝から採れ、ビーズの材料として人気のある「淡水パール」、マベ貝を母貝とする半球の「マベ真珠」も稀に出品されますので、形や輝きの違いをお楽しみください。
鉱物から成る宝石に比べて、有機質である真珠はとてもデリケートな宝石です。クレオパトラが酢で真珠を溶かしたという話がある通り、汗や酢、果汁などには非常に弱いので、身につけた後はやわらかい布で拭いていただくようお願い致します。香水を使う方は、直接ふきかけないように注意が必要です。保管する場所は、光の当たらないところが最適です。
正しいお手入れとメンテナンスにより、真珠の劣化のスピードは格段に遅くすることが可能です。目に留まる一品を手に入れた際は、コンディションに気をつけ、真珠の持つ包み込むような美しい輝きを存分にお楽しみ下さいね。
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皆さまのお越しを心よりお待ちしています。
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