カテゴリー別アーカイブ: 中国

市民の憩いの場にアートが集結!

上海万博も残すところあと数日。先日はついに入場者数が7000万人を達成し、閉幕前に足を運んでおこうという観光客でさらに賑わいをみせています。

さて、今回は上海の中心地にある静安彫塑公園にて開催されている、「2010世博静安国際彫塑展」(世博:世界万国博覧会の意味)をレポートいたします。この展覧会は公園の管轄区である静安区人民政府が主催、世博局等の協力で開催されています。テーマは「都市幻想」。上海万博のテーマである「より良い都市、より良い生活」に関連しており、「幻想」、「記憶」、「生活」を通して上海の過去、現在、未来を解釈するとともに、芸術と生活が重なり合って文化的な生活を築き上げることを目的としています。彫刻作品は公園内に35作品設置されている他、その近辺の公共の場や文化施設などにも設置されており、アーティストの国籍も中国、フランス、アメリカ、ベルギー、スペイン等国際色に溢れています。平日の昼間に訪れたからか、子供を連れた家族や年配の方が多く、芸術に囲まれた中でくつろぐ人々の姿に微笑ましく感じました。

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ではその中から、中国人アーティストの作品をご紹介いたします。

≪Naughty Boy≫ 羅氏兄弟(Luo Brothers)

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羅氏兄弟(ルオ・ブラザーズ)は、羅衛東(Luo Weidong 1962年-)、羅衛国(Luo Weiguo 1964年-)、羅衛兵(Luo Weibing 1972年-)の3兄弟からなるグループで、1996年より共同制作を開始しています。代表作に『歓迎世界名牌(Welcome, Welcome)』シリーズがあります。これは「年画」と呼ばれる中国の新年を祝う際に家に飾られる、伝統的な吉祥の図柄をモティーフにした民衆絵画をベースに、中国人の生活に急速なスピードで根付いていったコカ・コーラ、ペプシコーラ、マクドナルド、ケンタッキーなどの商品やロゴを組み合わせ、中国の現代の消費社会を風刺した作品です。この年画は文化大革命の時代には、政治経済や平和に対するスローガン付きで大衆への宣伝媒体として利用されており、羅氏兄弟はその歴史的背景も引用し、独自の作品を展開しています。

≪Our Generation―No≫ 高孝午(Gao Xiaowu)
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高孝午は1976年福建省生まれのアーティストです。代表作『標準時代』では、機械的な笑み、決められた角度でお辞儀をするサラリーマンをモティーフとした作品を展開しています。同シリーズの作品は、上海の超高層ビル、上海環球金融中心内にあるパークハイアットホテルのエレベーターホールにも展示されています。

≪中国風景No,1≫ 陳文令(Chen Wenleng)
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陳文令は1969年福建省出身、北京を拠点にするアーティストで、人物や動物などの巨大な立体作品やインスタレーションを手掛けています。特に豚をモティーフに、富や欲望などを風刺したユーモア溢れる作品で知られています。『中国風景』のシリーズでは、ステンレス素材を用い、自然や伝統と現在の風景を混在させた不思議な立体作品を展開しています。氷が解ける氷山のようであり、鹿の頭のようであり、中国の伝統的な庭園にある亭のようにも見える奇抜な風景を作り上げることで、変化に富んでとらえがたい世の中や現代社会の冷淡さを表現しています。

(執筆:M)

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上海は今、アートイベントが目白押し!

今年も上海がアートで賑わう季節がやってきました。
ただでさえ上海万博で活気に溢れる上海において、第14回目の歴史を誇る「上海アートフェア」、現代アートに特化した「Shコンテンポラリー」が同時期に開催され、また来月下旬からは「上海ヴィエンナーレ」が始まるなど、アートイベントが目白押しです。今回はその中からShコンテンポラリーについてレポートいたします。

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Shコンテンポラリー(上海芸術博覧会国際当代芸術展)は今年4回目を迎える若いアートフェアですが、アジアで最大規模の国際的なアートフェアとしての地位を確立しています。今年も昨年同様、1955年に当時のソ連から中国へ贈られたスターリン式の豪華な建築物、上海展覧中心で開催されていました。メインとなる「ベストオブギャラリーズ」、企画展「ディスカバリー」、また特別展としてイタリアのアーティスト、ジョルジオ・モランディ(Giorgio Morandi)の作品展という構成で成り立っており、「ベストオブギャラリーズ」ではアジアを中心とした83のギャラリーが参加。その他、美術館、オークションハウス、出版社等のブースも設けられていました。
                           歴史を感じさせる建物内は豪華に装
                           飾され、エキゾチックな雰囲気が漂う。


Sh+5_convert_20101001225309.jpg Sh+3_convert_20101001224331.jpgベストオブギャラリーズ」の様子         メディア等のブース

昨年のフェアでは大成功を収めたとレポートしましたが、今年は上海万博が開催中の開催ということもあり、これまで以上に数多くのアートとアート関係者が集結し、今年も3万人を超える観客とコレクターが来場したと報告されています。

今年の「ディスカバリー」では「Re-value」というテーマの下、アートの価値とは一体何なのかを見出すべく、22のブースが設けられ、計26名のアーティストの作品が展示されていました。そのうち日本人アーティストでは、青山悟、Chim↑Pom、金川晋吾、満田晴穂が招待されていました。天井の高いホールでは、韓国人アーティスト崔正化(Choi Jeong Hwa)の風船を用いた巨大な作品が圧倒的な存在感を見せつける一方、満田晴穂の自在置物という江戸時代の伝統工芸に倣った原寸大の昆虫は、本物かと見まがうほど細部に至るまで精巧に作られており、インスタレーション、絵画、彫刻、映像、写真等、バラエティに富んだ展示となっていました。

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「ディスカバリー」の様子。手前の巨大なバルーンは崔正化の作品

個人的に興味深かったのは、札幌市立大学の専任教員を務めるドイツのアートユニット、ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・サニ(Nina FISCHER & Maroan el SANI)の映像作品、≪Spelling Dystopia≫(2008/09年、カラー、ステレオ、17分)。かつて炭鉱によって栄え、今や無人の廃墟と化した端島(はしま、通称軍艦島)を舞台とし、その現実を映し出しながら、学生が無人島で殺し合いをする映画『バトルロワイヤル』を絡めており、現実とフィクションの間で観る者を惑わす衝撃的な作品でした。

年度を重ねる度に人々の注目と充実度を増していくShコンテンポラリー。
上海万博でさらなる発展をみせる上海において、来年以降は一体どのように展開していくのか、期待は高まります。

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上海芸術博覧会国際当代芸術展 亜太地区当代芸術展
会期:2010年9月9日~12日
会場:上海展覧中心
http://www.shcontemporary.info/(中国語、英語のみ)


【 展覧会のお知らせ*榮榮&映里(RongRong & inri)展 】

北京を拠点に活動する中国人と日本人のアーティストユニット、榮榮&映里(RongRong & inri)の日本での初個展がMEM(東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F)にて開催されています(~10月22日まで)。
榮榮&映里はアーティストとしての活動の他、北京の草場地芸術区にThree Shadows Photography Art Centre(三影堂映像芸術中心)という、ギャラリー、図書館、レジデンス施設、暗室、カフェレストランなどを有した複合写真センターを設立し、写真展の企画や教育、普及にも力を入れています。詳細は下記ウェブサイトを参照ください。
http://mem-inc.jp/

(執筆M)

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【上海万博】会場を彩る野外アート②

 先日、上海万博会場内に設置されたアートをご紹介いたしましたが、今回も引き続き、数あるアートの中から、中国人アーティストにより制作された作品を数点ご紹介いたします。

 万博会場中央に位置する中国国家館のはす向かいに佇む2体の巨大パンダは、張洹(Zhang Huan)による作品です。張洹は今月よりはじまる「あいちトリエンナーレ」にも参加する、国際的な活躍が目覚ましい中国人アーティストの一人で、巨大なインスタレーションや大胆なパフォーマンスで知られています。ステンレススチールの鏡が使用された、2体のパンダが向き合う作品≪Hehe, Xiexie≫は、中国語の「大和平、大和谐(hexie)」、すなわち「大きな平和、大きな調和」よりそれぞれのパンダの名が付けられています。この「和谐」とは近年、中国でスローガンなどによく使われる言葉の一つであり、本作品においても、調和のとれた社会や世界を表現しています。

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張洹≪Hehe, Xiexie≫


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 また、同じく中国国家館のそばには陳長偉(Chen Changwei)による、12の動物の頭が連なった作品が設置されています。タイトルや作品解説によると、古代中国から伝統的に伝わる12支における哲学や神話をモティーフとし、都市の発展は自然と調和すべきだという理念のもと制作されているとあります。しかし実際作品を見ると、明らかに12支には属さない動物の頭が多く、作家が中国の伝統を現代風に置き換え、その理念を表現していることが窺えます。

陳長偉≪十二生肖柱≫
※生肖とは12支によって唱える生まれ年を意味する。

 続いて、万博会場の公園内の歩道に突如として現れる巨大なチューインガムのごみくずは、焦興濤(Jiao Xingtao)の作品です。焦興濤は包装紙やごみくず、ビニール袋など身近にあるものをモティーフとした立体作品を制作するアーティストです。環境保護をテーマとした本作品においても、日常生活でなおざりにしがちなものをモティーフとしながらも、誇張されたインパクトのある形態と明るい色彩により、ごみを捨てるという行為、増え続けるごみの量、また過剰に包装する消費社会といった社会問題が浮き彫りにされているかのようです。

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焦興濤≪Yellow & Green≫

 同じく公園内の歩道に佇む3体のかかし。こちらは安然(An Ran)の作品、≪都市草人≫です。作者は農村でよく見かけるかかしを現代の工業化された姿へと置き換え、現代の生活理念や審美眼を表しています。急速なスピードで都市化が進んでいく中で、「都市を守る人」を次の世代へと引き継いでいこうというユーモア溢れる作品となっています。

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安然≪都市草人≫

 他にも、ダン・グラハムのコンセプチュアルな作品や、インド人アーティストSubodh Gupta の作品などもありました。ここに作品のすべてをご紹介できず残念ですが、万博会場に展示されるに相応しいテーマやコンセプトが垣間見られる作品が多く、アートを通じて改めて万博のテーマ、「よりよい都市、よりより生活」を再認識することはもちろん、今の中国の発展に伴う様々な問題を考えさせられました。

 各国のパビリオンは並んでも見たいですが、野外のアートを見てまわるのも楽しそうですね。今年の夏休み、上海万博にお出かけになる方は、ぜひご紹介した作品を探してみてください。

(執筆:M)

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【上海万博】会場を彩る野外アート①

 上海万博が始まってもうすぐ3カ月。早くも折り返し地点を迎えようとしています。
梅雨が明けて猛暑が続いているのにも関わらず旅行客は日を追うごとに増えており、入場者数はすでに3000万人を突破しました。
 
 さて、万博会場内では、奇抜なデザインのパビリオンを見て歩くだけでも楽しめるのですが、各パビリオンに設置された野外アートの他、会場内のあちこちにも彫刻作品が設置されており、それらを発見する楽しみも味わうことができます。

 フランス館では、パビリオンの入口周辺の池に中国人アーティスト厳培明(yan pei ming)の作品、≪Enfants de Shanghai≫が展示されています。厳培明は上海出身、フランスで約30年間活動しており、オークションで高額落札されるアーティストとしても知られています。池に浮かぶように設置された作品は、子供の笑顔や泣き顔など様々な表情がすべてモノクロで描かれており、入場を待つ観客に親しみを感じさせる雰囲気が漂っています。
 日本産業館のトステム株式会社のブースでは、推定3億円ともいわれるアニッシュ・カプーアの黄金の門をモティーフにした作品が展示されており、話題を集めています。

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厳培明 ≪Enfants de Shanghai≫


 また、会場内の各公園や、中国館付近にある中央の通りには中国、アメリカ、オーストラリア、日本、フランス、イタリアなどのアーティストによる合計36体の彫刻作品が設置され、その一部は万博閉幕後も永久に展示されます。

日本からは藤井浩一朗の≪父子情≫が万博公園内の川のそばに展示されています。これは約2mの透明アクリルによる作品で、「浦江城市―上海 生命的紐帯(川沿いの都市―上海 生命のつながり)」をテーマに制作されています。

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藤井浩一朗 ≪父子情≫ 


 「世博軸」と呼ばれる万博会場中心に位置するアーケードには、19作品が設置され、それらと記念写真を撮影する観客の姿が目立ちました。
今回の上海万博のシンボル的建築物である中国国家館を背景に設置されているのはジュリアン・オピーの作品です。LEDが用いられ、電光パネルの中を等身大の人がそれぞれの方向へ歩いていく、ユニークな作品となっています。

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ジュリアン・オピー≪Jennifer walking, Orange≫他


 続いて、中国のコンテンポラリーアートにおいて、ポリティカル・ポップを代表する作家として世界的に人気が高い王広義(Wang Guangyi)の作品≪水・東風・金龍≫は、鉄製の車をモティーフにしています。1958年、中国で最初に生産された乗用車は毛沢東の言葉「東風圧倒西風(東風が西風を圧倒する)」から「東風金龍」と名付けられ、毛沢東が中南海で試乗したといいます。このエピソードをもとに制作された本作品は、王広義作品の特徴である、社会主義的な理想への複雑な思いが垣間見られるのではないでしょうか。

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王広義 ≪水・東風・金龍≫

(執筆:M)

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上海万博、各国の芸術作品が集合!

 上海万博がはじまって約2カ月が経ちました。
市内の至る所に上海万博のキャラクター、海宝の姿や、ボランティアスタッフが常駐する案内スタンドが設置され、また地下鉄等の交通機関や公共の場のテレビでも、時間毎の入場者数や各パビリオンでのイベントなどが常に報道されており、万博会場外であっても市内は万博色で染まっています。

 さて、過去の万博を遡ると、1867年のパリ万博では日本の工芸品や浮世絵が紹介されて印象派の画家たちに影響を与えたことや、1889年のパリ万博ではエミール・ガレのガラス工芸がグランプリを受賞し、国際的に評価されるきっかけとなったこと、また1937年のパリ万博、スペイン館にパブロ・ピカソの『ゲルニカ』が展示されて観衆に衝撃を与えたことなど、万博で紹介される芸術は、その後の芸術に多大な影響を与え得る重要な役割を担っていたことが窺えます。
今回のこの上海万博においても、世界の秘宝や芸術作品が一堂に会し、話題を集めています。

 フランス館では、フランス・オルセー美術館が所蔵する印象派の作品を中心に7点の作品が出展されています。(ミレーの『晩鐘』、マネーの『バルコニー』、ヴァン・ゴッホの『アルルのダンス・ホール』、セザンヌの『Woman with Coffee Pot』、ポール・ゴーギャンの『ミール(バナナとも呼ばれる)』、ピエール・ボナールの『化粧室』、オーギュスト・ロダンの彫刻『青銅時代』)
これらの作品は国外で同時に展示されるのは初めてで、総額10億ユーロ(約1230億円)もの保険が掛けられているそうです。

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フランス館


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デンマーク館では、アンデルセンの童話で有名な人魚姫の彫刻が展示されています。この彫刻は1913年にデンマークの彫刻家エドワード・エリクセンが制作したもので、コペンハーゲンのシンボル的存在として愛されてきました。その彫刻がはじめて国外を出て上海万博に登場したということで、大きな話題を呼びました。

 メキシコ館では、アステカ文明やマヤ文明の時代から、現代に至るまでの歴史を芸術作品を通してひもとく試みがなされており、文明時代の石像彫刻の他、現代芸術作品としては、メキシコの著名な現代画家でその人生が映画化されたことでも知られるフリーダ・カーロの自画像が展示されています。

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マヤ文明石像彫刻                       フリーダ・カーロ
900~1200年代のもので、178×494×30cm     《自画像》 キャンバス・油彩
という迫力ある逸品。                            64×84cm


 また各国家館が並ぶ会場(浦東エリア)とは川を挟んだ別会場(浦西エリア)にある都市足跡館と万博博物館においては、世界各国の博物館や美術館から借りた330点もの文化財が展示されています。
前者の都市足跡館では、日本の江戸時代を紹介したコーナーがあり、江戸の町を再現した模型と共に、葛飾北斎や歌川広重の浮世絵を発見!過去の万博を紹介した後者の万博博物館には、宮川香山の重要文化財『黄釉錆絵梅樹文大瓶』、鈴木長吉の彫刻『鷹』、涛川惣助(なみかわそうすけ)の七宝焼きで描かれた日本画『七宝焼富士山図』等が紹介されています(共に東京国立博物館所蔵)。
また1900年のパリ万博に出展されたというロダンの『考える人』をはじめとする7点の作品も展示されています。

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都市足跡館                   万博博物館
歴史ある都市を再現したパビリオン      万博の歴史を紹介したパビリオン
江戸の町の模型や浮世絵を展示       手前のオブジェは中国の伝統工芸
                            「中国結び」をモチーフとしたもの


 万博会場内には他にも、前述したピカソ『ゲルニカ』のスケッチ手稿、レンブラントの『手を腰に置く男性の肖像』、レオナルド・ダ・ビンチの手稿など、普段なかなか見ることのできないお宝の数々を鑑賞することができます。またもちろん、中国の秘宝も数多く展示されており、それらの展示の前では人だかりが絶えないようです。この機会にぜひ実物を鑑賞したいものです。

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岡本太郎《太陽の塔》 (万博博物館内)
1970年大阪万博のシンボルの模型
上部の液晶には、塔が360°回転する映像が流れる。

(執筆:M)

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中国コンテンポラリーアート、30年の歴程

 5月1日、ついに上海万博が開幕しました。早速会場に足を運んできましたが、スケールの大きさ、奇抜なデザインのパビリオンの数々に驚かされました。昼間はもちろん、夜はライトや映像を駆使した演出が美しく、違った風景を楽しむことができます。また彫刻プロジェクトとして園内に36体の彫刻作品が設置されているなど、アート関連イベントも行われています。これに関しては後日お伝えいたしますのでお楽しみに。

民生現代美術館 
 美術館の外観

民生現代美術館入口
 さて、以前ご紹介した上海のアートスポット、紅坊国際文化芸術社区(レッドタウン)内に位置する民生現代美術館では現在、「中国当代芸術30年歴程 絵画篇1979-2009」が開催されています。民生現代美術館は昨年夏にオープンしたものの、不定期でしか展覧会が行われていなかったのですが、今回の展覧会は美術館の正式な開館展として開催されています。その記念すべき展覧会に相応しく、中国コンテンポラリーアート30年の歴史を客観的かつ公正に示すだけでなく、今後の中国コンテンポラリーアートを新たに構築する重要な起点とすることが本展の大きな狙いのようです。

会場入口ポスター
 会場入り口にずらりと並んだポスター

 本展覧会では、文化大革命が終結し、改革開放以降に活躍しはじめた中国を代表する80名のアーティスト、約100の絵画作品が展示されています。
 80年代初期に農村の人々の姿をありのままに描く表現でセンセーションを巻き起こした陳青丹(チェン・チンタン)や羅中立(ルオ・ジョンリー)の「郷土絵画」と呼ばれる写実主義からはじまり、90年代以降の王広義(ワン・グワンイー)、方力釣(ファン・リジュン)、岳敏君(ユエ・ミンジュン)等の「ポリティカル・ポップ(政治波普)」、「シニカル・リアリズム(玩世現実主義)」の代表作、劉小東(リュウ・シャオドン)の三峡ダムで働く労働者を描いた大作、また曾梵志(ズン・ファンジー)等海外のオークションでも人気が高いアーティストや、ここ数年活躍が著しい若手アーティストの作品もずらりと並び、見応えのある展覧会となっています。
 特に、家族の肖像を描いた血縁シリーズで世界的に知られる張暁剛(ジャオ・シャオガン)に関しては、全く作風が異なる80年代の作品と、血縁シリーズの作品、両方を比較することができ、大変興味深かったです。

本
展覧会カタログとは別に制作された本。充実した内容に展覧会への熱意を感じる。

王広義ポスター
レッドタウンの至る所にポスターが。写真は王広義の作品のポスター。 

 この展覧会は映像、インスタレーション、彫刻等シリーズ化されており、2012年までの3年に渡って開催されていくようです。中国のコンテンポラリーアートの歴史を俯瞰できる貴重な体験になるのではと期待に胸が膨らみます。

(執筆:M)


「中国当代芸術三十年歴程 絵画篇1979-2009」
会期:2010年4月18日~7月18日
会場:民生現代美術館

 

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尹秀珍、ニューヨークMOMAにて個展開催中

 今回は世界を舞台に活躍する中国人女性アーティストをご紹介します。

 中国のコンテンポラリーアート界を牽引する尹秀珍(イン・シウジェンYin Xiuzhen)。現在、ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art, New York 、以下ニューヨークMOMA)において1971年から続く「Projects」シリーズの92回目として、個展が開催されています(『Projects92:Yin Xiuzhen―Collective Subconscious』~5月24日)。尹秀珍にとって初のアメリカでの個展であるとともに、ニューヨークMOMAにおける中国人女性として初の個展である今回の展覧会。サイトスペシフィックなインパクトのあるインスタレーションで世界のアートファンを魅了しています。
 
 尹秀珍は1963年北京生まれ。1989年首都師範大学美術学院油画系を卒業後、中央工芸美術学院付属中学校で教鞭を執っていましたが、90年代初期より北京を拠点にインスタレーションやパフォーマンス、彫刻作品の制作等を行っています。2000年には中国当代芸術賞(CCAA)を受賞。中国国内で開催される各国際展(広州トリエンナーレ、上海ビエンナーレ等)をはじめ、主な国際展にアジアパシフィックトリエンナーレ(オーストラリア、1999年)、光州ビエンナーレ(2002年)、福岡アジア美術トリエンナーレ(2002年)、シドニービエンナーレ(2004年)、ヴェネチアビエンナーレ(2007年)等があります。ミュージアムピースも多く、日本では福岡アジア美術館、森美術館に所蔵されています。また夫である宋冬(Song Dong)も中国を代表するアーティストの一人であり、夫婦で活躍するアーティストとして知られています。

 文化大革命が始まる3年前に生まれ、激動の時代を体験してきた尹秀珍。彼女は自分の経験や記憶と時代との関係に関心を持ち、家族や生活環境など個人的問題を反映させる一方、中国現代社会を客観的に見つめ、社会の発展および都市化の過程を表現した作品を展開しています。代表的な表現方法として、古い衣服をつなぎ合わせたインスタレーションがあります。この衣服は世界中の異なる国や地域から集めてきた、かつて人が袖を通していたものであり、そこには人々のたくさんの物語が含まれています。同時に、無数の時代の痕跡と文化的特徴に関連しており、グローバル化した現代においても共通性のあるものだといいます。

 「現在、急速に変化し、発展を遂げる中国社会において、人々は考える時間すらなくなっている。だからこそ、人々にゆっくりと腰を落ち着かせて考えてもらいたい。」と語る尹秀珍は、アート界の成功者でありながら、北京の郊外に家族と共に静かに暮らしつつ、制作をしています。布という視覚的にも感触的にも柔らかい素材の中に、私的かつ社会的な問題を織り交ぜた作品は、中国国内に限らず、世界の多くの人々の共感を呼ぶのでしょう。

 中国人アーティストが世界で活躍している中、そのほとんどは男性が占めているように、中国アート界は未だに男性中心であるように見受けられますが、こうして女性アーティストの活躍も注目されるようになってきました。女性の社会進出が顕著な中国社会において、これからもその活躍の場が広がることを願ってやみません。
(執筆:M)


展覧会情報
『Projects92:Yin Xiuzhen―Collective Subconscious』
会期:2010年2月24日~5月24日
会場:ニューヨーク近代美術館 プロジェクトギャラリー
http://www.moma.org/visit/calendar/exhibitions/1034


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『飛行機』インスタレーション 2008(画像提供CCAA)
1520(l)x12 00(w)x353cm(h)

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上海アートスポット:紅坊国際文化芸術社区

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上海万博まであと約1ヶ月。相変わらず街のあちらこちらで開発や工事が続く中、空港の新しいターミナルのオープンや、新しい地下鉄の開通などインフラが整いつつあり、万博に向けて急ピッチで準備が進められているのを感じます。万博に合わせて上海へ、という方のためにも、今回は上海のアートスポット、紅坊国際文化芸術社区(通称紅坊、レッドタウン)をご紹介いたします。


紅坊は1950年代に造られた製鉄工場を利用したアートスポットです。46,000㎡の広々とした敷地内の中央には15,000㎡もの緑地が広がり、数々の野外彫刻が展示されています。そして緑地を囲むようにして、ギャラリーやアトリエ、美術館、カフェ、企業のオフィス等の建物が並んでいます。

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紅坊の中心を担う施設として、レンガ造りの建築を利用した「上海城市彫塑芸術中心」があります。展覧会用の広々とした空間と中小のオフィスやギャラリー、ブックショップ、絵画教室等が入居する棟で成り立っており、館内には立体作品が所狭しと展示されています。展覧会用の空間は、仕切りのない一つの空間でありながら、左右にある緩やかなスロープを昇ると2階へ、中央の階段を下がると半地下という構成になっており、スケールの大きな展示を体感することができます。
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オフィスが入居する館内のあちらこちらに彫刻作品が。

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アート関連の本屋や絵画教室が並ぶ

また2009年に民生現代美術館がオープンしました。これは民生銀行が創設した現代美術館で、アーティストの周鉄海が副館長を務めています。昨年夏に行われたオープニングの展覧会「熱身 WARM UP!」では、中国を中心としたアジアのアーティストの作品が展示されており、日本人アーティストでは金氏徹平やオノデラユキ、アキルミの作品が紹介されていました。その他、今月21日まで「未来総動員 英国文化協会当代芸術珍蔵展」と題して、イギリスのターナー賞受賞作家12名とノミネート経験者21名の展覧会が開催されており、ダミアン・ハーストやグレイソン・ペリー、ヴォルフガンフ・ティルマンス等イギリスを代表するコンテンポラリーアーティストの作品が紹介されていました。

その他、敷地内には独立した建築物のギャラリーも多数見られます。各スペースで美術や彫刻、デザイン関係の展覧会が開催されている他、文化、芸術関係のイベントなども随時開催されています。

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また以前ご紹介した上海のアートスポット、莫干山路50号とは対照的に、紅坊は中心地にほど近い場所に位置している上、古い工場と新しい建築物をうまく融合させてアートを中心とした一つの街を作り上げているといった印象で、初めて訪れる方にもわかりやすいのが特徴です。地下鉄の駅も比較的近く、さらに近々新しい路線も開通する予定とのことですが、現時点では観光地化されているというわけでもなく、静かでゆったりとした雰囲気が漂っています。万博の開催に合わせて各種展覧会やイベントも開催されるようなので、これからの発展が期待されるアートスポットといえるでしょう。


紅坊国際文化芸術社区
http://www.redtown570.com

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今注目の中国若手映像作家

中国は旧正月である春節を14日に迎え、街頭や百貨店には巨大な縁起物が設置されたり、夜になると華やかなイルミネーションが点灯するなど、お正月の賑やかな雰囲気が街中に溢れています。上海当代芸術館(上海MOCA)では周鉄海が個展を、また上海美術館では巨大なインスタレーションで国際的に活躍する張洹(ジャン・ホァン)、日本からは日野之彦が個展を開催するなど、アート界も多いに盛り上がっています。


梁月《まだ宵ながら 明天》2006/35分

さて、今月19日より28日までの10日間、東京都写真美術館にて「第2回恵比寿映像祭 歌をさがして」が開催されています。これは映像とアートの祭典で、東京都写真美術館全館をはじめ、恵比寿ガーデンプレイスのセンター広場、渋谷街頭のモニターを用いて世界各国のアーティストや専門家による展示、上映、ライヴ・イベント、講演、トーク・セッションなどが行われます。その中で「上海派対(パーティ):中国若手作家特集」と題して上海を拠点に活動する30代の若手作家、楊福東(ヤン・フードン)、梁月(リィアン・ユエ)、宋涛(ソン・タオ)の作品が紹介されます。

先日のブログでもご紹介した楊福東は、原美術館での個展が現在も開催されている他、最近はプラダの広告映像に起用され話題になりました。この広告は《First Spring》という9分間のモノクローム映像で、公式サイトにて配信されています。ファッションブランドの新作のプロモーションでありながら、1930年代の上海の華やかな時代を想起させる設定が新鮮であり、楊福東の世界観を味わうことができます。また今年8月からはじまる「あいちトリエンナーレ」にも参加が決まっており、ますます今後の活躍が期待されるアーティストの一人といえます。
PRADA – First Spring
http://www.prada.com/firstspringmovie
今回上映される《シティ・ライト City Light》(2000年7分)は国際的な映像作家としてスターダムにのしあがる前の楊福東の初期作品のひとつで、上海をモティーフに様々な伏線が絡み合い、後の楊の作品世界を予想させるようなこだわりの強い作品となっています。

一方、梁月(リィアン・ユエ)は1979年上海生まれの女性作家です。2001年上海大学美術学院卒業後、第3回上海ビエンナーレにおけるグループ展への参加を機に、写真や映像作品を中心に活動しています。主な国際展に「China Now」(2004年、ニューヨーク近代美術館)、第2回広州トリエンナーレ(2005年、広東美術館)、「The Thirteen: Chinese Video Now」(2006年、P.S.1)、「南京インディペンデント映像祭」(2009年、南京)などがあります。
今回の映像祭では《愛しの夾竹桃 I love Oleander》(2007年22分)、《まだ宵ながら 明天》(2006年35分)が上映される他、22日(月)にトークイベントが開催されます。
前者は身近な人間関係をテーマにした日常のひとコマを描いた作品です。タイトルの夾竹桃とは、上海では街路樹としてよく知られていますが、作家によると、上海の排気ガスにまみれ、汚れた空気の中でも存在している姿がなぜか愛おしく、自分の仲間たちの姿と重なってしまうところからつけたとのことです。
後者は数々の映画祭や映像祭に取り上げられた初期作品でもあり、恋愛やパートナーとの生活、結婚や性について、考えさせられる作品となっています。
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梁月《愛しの夾竹桃 I love Oleander》(2007年22分)

宋涛(ソン・タオ)は1979年上海生まれ。1998年上海美術工芸学校卒業後、2004年からジー・ウェイユーとのユニット「Bird Head」として映像作品や写真作品を制作する一方、個人での活動も活発に行っています。国内外の展覧会に多く出品する他、2004年にはCCAA(中国当代芸術賞)にて評議員特別賞を受賞しました。
今回の上映作《フロム・ラスト・センチュリー From Last Century》(2004年34分)は宋涛がかつて住んでいた浦東という地域をテーマにしています。ここは新興開発地として大きな道路や高層ビルが立ち並ぶエリアではありますが、その「陳腐な」都市開発に違和感を覚え、生命力のない浦東をテーマにしたといいます。

東京都写真美術館の石田留美子さんによると、今回は上海の都市としての魅力と、上海が抱える問題を提示するプログラムとして、70年代生まれで、中国現代アートの隆盛期に国際的に活躍した50~60年代生まれの世代と、超現代的な80年代以後世代の“はざま”にいる世代に注目して、この3名を選ばれたとのことです。楊福東作品については、当初から上の世代とは異なる独自のスタイルをとっている楊福東が、後に世界的スターになる要素を含んでいる初期作品を紹介する機会を作るため、この作品を選んだそうです。また、いずれも2000年から2007年まで、オリンピック開催前の中国の姿を映した作品という点も意識しているとのことでした。

急速に経済が発展している上海の状況は新聞やニュースでも度々取り上げられていますが、彼らの作品を日本で見られるこの機会に、上海のリアルな一面をアート作品から感じ取ってみてはいかがでしょうか。(執筆:M)


展覧会情報
『第2回恵比寿映像祭 歌をさがして』
会期:2009年2月19日(金)~28日(日)
開催時間:10:00~20:00
会場:東京都写真美術館 全フロア、恵比寿ガーデンプレイス センター広場 他

「上海派対 シャンハイ・パーティ:中国若手作家特集-梁月(リィアン・ユエ)、宋涛(ソン・タオ)、楊福東(ヤン・フードン)」
2月22日(月) 19:00~21:00 ※トークイベント付き/梁月(リィアン・ユエ)
2月26日(金) 11:00~13:00

出品作品■梁月(リィアン・ユエ)《愛しの夾竹桃 I love Oleander》2007/22分■宋涛(ソン・タオ)《フロム・ラスト・センチュリー From Last Century》2004/34分■梁月(リィアン・ユエ)《まだ宵ながら 明天》2006/35分■楊福東(ヤン・フードン)《シティ・ライト City Light》2000/7分

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コンテンポラリーアートの新しい傾向「アニマミックス」に注目

上海当代芸術館(MOCA,The Museum of Contemporary Art Shanghai)では現在、「アニマミックス・ビエンナーレ(Animamix Biennial、動漫美学双年展)」が開催されています。

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上海当代芸術館は2005年にオープンしたコンテンポラリーアートを専門としたガラス張りの建築が美しい美術館です。上海の中心地にある人民公園内にありますが、幅広いジャンルのアートを取り扱う歴史的建造物、上海美術館が人民公園脇の大通りに面しているのに対し、当代芸術館は公園の入り口からさらに奥へ進んだ先にあり、公園の木々に囲まれてひっそりと佇んでいます。

「アニマミックス(Animamix、動漫美学)」とはアニメーションとコミックを合わせたもので、上海当代芸術館のクリエイティブディレクターであり、この展覧会のキュレーターであるビクトリア・ルー(Victoria Lu)による造語です。ビクトリア・ルーは、アジアのコンテンポラリーアートにおいてアニメや漫画の影響が見られる作品が増加しており、この新しい美術傾向を表現する言葉として2006年に「アニマミックス」を提起しています。

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今回のビエンナーレは2007年に次いで2回目にあたり、上海(上海当代芸術館)、北京(今日美術館)、台北(台北当代芸術館)、広州(広東美術館)で同時開催または巡回される大型展覧会で、キュレーターにより選出されたグローバルに活躍する世界20カ国100以上のアーティストが参加しています。その多くはアニメや漫画と共に育った1970年代~80年代生まれの若手アーティストであり、日本人アーティストの作品も多く展示されています。

ビクトリア・ルーは、アジアの新しい世代のアーティストは日本のアニメや漫画、ゲーム等の影響を受けてきていますが、1960年代、70年代のポップアートの世代が漫画やアニメから視覚的象徴を単に取り入れたのと異なり、アニマミックスのアーティストは、根本的にそれらのメディアが彼ら自身の美的感覚の中に深く浸透しているといいます。彼らの作品は高尚な芸術とサブカルチャーとの境目を曖昧にしており、また様々な創作領域、例えばブランドとのコラボレーションやオリジナルグッツの制作等のクリエイティブな活動にも従事し、度々それらの活動と自身の作品を融合しているアーティストもいます。

上海展においては、日本人アーティストでは金田勝一、北川宏人、松浦浩之、長沢郁美、渡辺おさむ、吉田朗、森本めぐみ等が参加。また昨年、アーティストインレジデンスのプログラムで上海にて制作活動をしていた龍門藍の作品も3作品展示されていました。
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自然光が差し込む、吹き抜けのある空間に展示された作品は、わかりやすくかつ親しみやすいものが多く、「アニマミックス」というコンセプトゆえ当然なのかもしれませんが、キャラクター的要素の強い作品が多いのが特徴的でした。日本人アーティストに関しては当社のオークションでも取り扱い歴のある馴染みのある作品もあったのですが、「アニマミックス」というコンセプトで作品を見直す良い機会となりました。

またこの展覧会の出展作品に限らず、このコンセプトに相応するアーティスト、作品が見受けられるのも事実であり、今後、「アニマミックス」という言葉がコンテンポラリーアートの傾向として一般的になるのか、注目していきたいものです。(執筆:M)


非/現実のメタファー アニマミックス・ビエンナーレ2009-2010
(Metaphors of Un/Real – Animamix Biennial 2009-2010、
寓意 非/現実―2009動漫美学双年展)
会場:上海当代芸術館
会期:2009年12月12日~2010年1月31日
http://www.mocashanghai.org/

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