12月近代陶芸、古美術、好み物特集開催


こんにちは。

先週は関東地方も雪に見舞われ急に寒くなりましたが、いかがお過ごしでしょうか?

 

さて、今週は近代陶芸/古美術/近代陶芸PartⅡオークションが開催されます。今回はさらに、裏千家歴代宗匠の「好み物」特集が組まれておりますので、まずはそちらをご案内致します。

 

 

 「好み物」とは、まさしく各歴代の宗匠が“好んだ”茶道具のことです。茶道具の場合、単なる箱書のあるものとは違い、道具そのものや箱書に「好」と記され区別されていることが多く、千利休の時代より始まりました。今でいう「いいね!」と同じようなことを日本の茶人達は江戸時代以前から行っていたのですね。歴代の“好み物”を実際にご覧になることで、それぞれの家元の美意識や茶の湯の変遷を窺い知ることができる良い機会になりますので、先匠の茶の世界をぜひ味わいにいらしてください。

LOT.107

 

 

また今回の「古美術」は、江戸時代に活躍した大家たちの作品が多数出品されます。

江戸時代前期の俳人・松尾芭蕉、江戸中期の文人画家・池大雅、蘭学者であり画家でもあった渡邉崋山、琳派の代表的な画家で乾山の兄でもある尾形光琳、そして江戸末期の禅僧、歌人、書家でもあった良寛。特に尾形光琳は三幅対に仕立てられた見応えのある作品です。

LOT.128 尾形光琳

本作の中幅に描かれた蘇東坡(そうとうば)(蘇軾そしょく)は、中国北宋の士大夫(文人官僚)。驢馬にまたがり、左手に手綱を持つ飄々とした姿が表わされており、左幅には梅の枝に休み、天を見上げる雀、右幅には竹の枝に降りようとする雀を対比させて描き出しています。軽やかで巧みな筆致、そして墨の濃淡、線の太さと細さのバランスを生かした洒脱な画面構成が見事であり、光琳の洗練された美的感覚を窺わせてくれます。

 

そして今回の「近代陶芸」では、板谷波山の彩磁呉須繪の香爐が1点と氷華磁の香爐が2点、富本憲吉の金銀彩の大皿と香爐、楠部彌弌の彩えんの花瓶、加守田章二の彩色壷、そして加藤唐九郎のぐい呑と、各大家の代表作とも言えるべき名品が出品されます。特に加藤唐九郎の志野のぐい呑は弊社でのお取り扱いは初めてです。紫匂(むらさきにおい)を彷彿とさせる色味としっかりとした絵付。「陶玄」とはっきり入った掻き銘は、1981年頃のものです。それぞれの作家の最高峰と呼ばれる技法を、ぜひご覧ください。

LOT.168 唐九郎

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執筆者:E