6月の誕生石 真珠


先週の浮世絵/近代美術PartⅡオークションに参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
間もなく梅雨の季節がやってまいります。梅雨と聞くとなんとなく憂鬱な気分になってしまいますが、菖蒲や紫陽花等、雨雫の似合う花々を愛でるのは、この季節ならではの楽しみです。
さて、そんな6月の誕生石といえば、こちらも水を連想させる「真珠」です。今回は真珠についてご紹介いたします。

私たち日本人にとって、最も身近で馴染みのある宝石と言えば真珠ではないでしょうか。冠婚葬祭どの場面でも使い勝手が良いため、ファーストジュエリーとして親から娘へ贈られることも多いようです。
真珠は、日本書紀や古事記、万葉集において既に記述されており、『魏志倭人伝』にも邪馬台国の台与が曹魏に白珠(真珠)5000個を送ったと記されています。しかし、真珠が今日のように身近になったのは、19世紀も後半に入ってからのことです。現在世界屈指のパールメーカーとして君臨している御木本真珠店(現・ミキモト)の創始者、御木本幸吉(みきもとこうきち)が、世界に先駆けて養殖真珠の産業化に成功したことがその要因です。
真珠は基本的に真珠層を持つ貝ならばすべて生成可能ですが、天然で生まれることが非常に稀であることから、養殖技術が発達する以前は、現在とは比較にならないほど珍重されていました。現在は養殖技術による量産が可能になりましたが、品質の良いものは未だ高値で取り引きされています。

真珠の品質基準としては、主に「大きさ」「色」「形」「キズの有無」「照り」「巻き」の要素があります。その中でもお客様からよくご質問をいただく、「照り」と「巻き」について少しご説明致します。
<照り>
「照り」とは、真珠の輝きや光沢のことです。真珠の光沢は真珠層の結晶構造によって決まり、結晶が規則正しく並んでいるものほど美しい光沢を見せます。真珠の一粒一粒に映り込むライトの光やご自身のお顔をご覧ください。照りが良いものは真珠に映り込むものがシャープに見え、照りの悪いものはぼやけて見えます。選ばれる際は複数の商品を手に取り比べてみることをお勧めします。
<巻き>
真珠はドブ貝を加工して作った核を貝の中に埋め込み、その周りを貝自身が分泌物で覆うように巻いていくことによって作られます。その覆っている分泌物の厚さが厚いことを「巻きが厚い」と言います。巻きの厚い真珠は内側から力強い輝きを発します。巻きの良し悪しは、照りに比べて分かりにくいかもしれません。しかし数多くの真珠を見ていると、照りや質感に重量感のあるものと、そうでないものがあることがお分かりいただけるかと思います。

真珠は、生成する母貝の種類によって、さまざまな特徴があります。
最もポピュラーな真珠は、アコヤ貝に生成する「アコヤ貝養殖真珠(和珠)」です。
貝自体の大きさが10センチ程度なので、9mm以上の和珠は滅多になく、非常に貴重です。ピンク系、シルバー系、イエロー系、ブルー系等、様々な色調がありますが、日本ではピンク系を好む人が多いようです。さりげなく身につけられる和珠に纏うピンクの光は、上品さに加えて可愛らしさをも感じさせるからでしょうか。
6月23日開催BAGS/JEWELLERY & WATCHESオークション 
LOT293 アコヤ貝養殖真珠ネックレス(エスティメイト¥350,000~450,000)

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こちら、一粒の大きさは9.0~8.5mm。大きさ、照り、巻き共に非常に優れたロングネックレスです。


白蝶貝から産出するものは、一般に「南洋真珠」と呼ばれ、主にオーストラリア、インドネシア、フィリピン、ミャンマーで養殖されています。この貝は真珠貝の中では最も大きく、成貝は30センチにも達します。よって真珠自体も大粒のものが多く、身につければそれだけで目を引く、ゴージャスな装いを可能にします。産地によって色合いに違いがあり、オーストラリア産のものは青みの強い白色、フィリピン産は金色のものが多いのが特徴です。
6月23日開催BAGS/JEWELLERY & WATCHESオークション 
LOT227 白蝶貝養殖真珠ネックレス(エスティメイト¥200,000~300,000)

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美しいゴールドの輝きを持った真珠の連です。色味がしっかりしており傷も非常に少ないため、近くで見た時はもちろん、遠目でも華やかさが際立ちます。

6月23日開催BAGS/JEWELLERY & WATCHESオークション 
LOT297 白蝶貝養殖真珠(エスティメイト¥200,000~300,000)

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こちらは真円ではありませんが、これだけの大きさのものは白蝶真珠の中でも大変貴重です。


黒蝶貝から産出される真珠は、「黒蝶真珠」と呼ばれます。黒蝶真珠のタンパク質には、赤、黄、緑の三つの色素が含まれており、これらが重なり合うことによって、それぞれ実に多彩で個性的な色合いを生み出します。黒蝶真珠は主にタヒチや沖縄県などで養殖されています。黒蝶真珠の中でもピーコックカラーと呼ばれる一級品は、その名の通り、黒色の地色の上にクジャクの羽根のような光を纏い、その神秘的な光は観るものの心をとらえ、シンプルな装いにも、妖艶な美しさを加えます。
6月23日開催BAGS/JEWELLERY & WATCHESオークション 
LOT298 黒蝶貝養殖真珠(エスティメイト¥500,000~700,000)

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黒蝶貝養殖真珠でこれだけの大きさ、色、形、照り、巻きが揃ったものは滅多にありません。非の打ちどころのない逸品です。


カリブ海に生息する巻貝、コンク貝から採れる「コンクパール」は、珊瑚のようなピンク色で、炎のような火焔模様が見られるのが特徴です。コンク貝は巻貝なので、人工的に核を入れることは不可能です。そのため出回っているもののほとんどが天然のものと言われ、非常に希少性が高いとされています。
4月21日開催BAGS/JEWELLERY & WATCHESオークション
LOT59 コンクパール ダイアモンドリング by MIKIMOTO
(エスティメイト¥200,000~300,000)

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次回オークションにはコンクパールは出品されませんので、前回のオークションからのご紹介です。可愛らしいピンクがとても印象的でした。27万円で落札されております。

その他、淡水性の池蝶貝から採れ、ビーズの材料として人気のある「淡水パール」、マベ貝を母貝とする半球の「マベ真珠」も稀に出品されますので、形や輝きの違いをお楽しみください。


鉱物から成る宝石に比べて、有機質である真珠はとてもデリケートな宝石です。クレオパトラが酢で真珠を溶かしたという話がある通り、汗や酢、果汁などには非常に弱いので、身につけた後はやわらかい布で拭いていただくようお願い致します。香水を使う方は、直接ふきかけないように注意が必要です。保管する場所は、光の当たらないところが最適です。
正しいお手入れとメンテナンスにより、真珠の劣化のスピードは格段に遅くすることが可能です。目に留まる一品を手に入れた際は、コンディションに気をつけ、真珠の持つ包み込むような美しい輝きを存分にお楽しみ下さいね。

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