こんにちは。
夏休みはいかがお過ごしだったでしょうか?年々暑さが増している気がしますが、まだまだ残暑が続きますのでどうかご自愛くださいませ。
さて、9月10日(土)に近代陶芸/近代陶芸PartⅡオークションが開催されます。
オークションスケジュールのページでご覧になられた方もいらっしゃるかと思いますが、注目の作品のご紹介です。
LOT.307楠部彌弌
「彩えん(土へんに延)春近し花瓶」
H24.0×D19.4cm
高台内に印銘「彌」
共箱 1974年作
「いろづちの美六十年 楠部彌弌彩えん展」出品 東急百貨店本店他/1974年【図録付】
「日本の美・彩えんの至芸 楠部彌弌作陶展」出品 ルーブル宮・パリ装飾美術館/1977年
落札予想価格:¥1,000,000~¥2,000,000
楠部彌弌は、明治30年(1897)に京都で貿易陶器工場を営む家の長男として生まれました。特定の師匠を持たなかった彌弌は、古典陶磁器をはじめ様々な技法に挑戦しましたが、その中でも「彩えん」(薄く溶かした色つけの磁土を堆朱の手法で何回か塗り重ねて文様化したもの)という独自の技法に辿りつき、近代陶芸界に確固たる地位を築きました。
本作は、昭和49年(1974)・74歳で制作したものです。円熟味を増したその技術は衰えることなく、同年に彩の新作展を開催するに到りました。この「春近し」というタイトルからも分かる通り、草木が芽吹く頃の情景を切り取ったものです。他の作品では芽が拡大され描かれているものもありますが、本作は遠くから木々を望んでいる風景であり、器体全面に図柄を張り巡らせています。よく見ればそこには青と茶の芽が混在し、春へと移ろいゆく時間の流れが見て取れ、シンプルな形と色の美を追求した集大成ともいうべき作品です。
またこのほかに、
加守田章二「壷」や、北大路魯山人「於里遍長板鉢」なども出品されます。
LOT.303加守田章二「壷」
H24.0×D14.5cm
底部に掻き銘「章」、「一九七六」刻
共箱(1978年)
1976年作
落札予想価格:¥800,000~¥1,200,000
加守田の1976年作のものでは、久々に出品される図柄です。
ドットと波形の線文といい、色調といい、加守田らしさが随所に現れています。
LOT.317北大路魯山人
「於里遍長板鉢」
H7.2×W36.0cm
高台内に掻き銘「ロ」
共箱 友斎箱
落札予想価格:¥3,000,000~¥4,000,000
魯山人らしいしっかりとした長板鉢です。
織部の釉薬がつややかに綺麗に出ている点と、斜格子の交わるところに丸紋を配置し幾何学的な図柄を力強く描いている点が魅力の逸品です。
ぜひ、実際に作品をご覧ください。
執筆者:E