こんにちは。
関東地方の梅雨入りはまだですが、近畿、東海もいよいよ梅雨入りしましたね。梅雨入り前から警報級の大雨などもあり、初夏の清々しさがあまり味わえませんでしたが、梅雨の風情を楽しめる心のゆとりを持ちたいものだなと思う今日この頃です。
さて、今週末6月14日(土)に「近代陶芸/古美術/近代陶芸PartⅡオークション」を開催いたします。
その中から今回ご紹介するのは、古美術オークションに出品されますこちらの作品です。
LOT.133 乾山《色絵草花大平鉢》
H12.4×D37.0cm
高台内に描き銘「乾山深省」
真塗割蓋・蓋裏水蒔絵:十代中村宗哲製(銘・共箱)
金具:中川浄益製(銘)
・『陶説 14 五月特別号』掲載 No.10(日本陶磁協会)
・「乾山名品展」出品 日本橋白木屋/昭和33(1958)年
・『陶磁体系 第二四巻 乾山』掲載 P.95 No.16(平凡社)【本付】
落札予想価格:¥2,500,000~¥3,500,000
乾山(けんざん)【寛文三-寛保三(1663-1743)】は、本阿弥光悦や樂家と縁戚関係にある京都の高級呉服商・雁金(かりがね)屋の三男として生まれました。兄の光琳は、琳派を大成した江戸中期を代表する絵師です。乾山は、二十五歳という若さで隠居し、悠々自適に風雅な生活を送っていましたが、京焼きの名工と名高い仁清に陶法を学び、元禄十二年(1699)、三十七歳で鳴滝(なるたき)に築窯し作陶を始めました。鳴滝が京都の北西、乾(いぬい)の方角にあることから乾山窯と命名し、本人の通り名となったといいます。京の町衆文化を背景に育った乾山は、自らの高い芸術性を反映した新しい造形や異国趣味の新奇な意匠の作品を生み出しました。
本作は、全面に百合・薊(あざみ)・薄(すすき)・鷄頭等、春秋の野草が圧倒的な存在感で描かれた色絵の大平鉢です。絵付けもさることながら、かなりの大作で、乾山芸術の最高潮ともいえる作品でしょう。
後の所有者が、この大平鉢を水指に仕立てており、千家十職の塗師(ぬし)・十一代中村宗哲(元斎)【明治三十二-平成五(1899-1993)】と、同じく千家十職の金(かな)もの師・中川浄益の合作《真塗割蓋・蓋裏水蒔絵》が添えられています。春秋の草花に流水が取り合わせられて、絢爛豪華な次第が整えられています。
また、乾山を構成する色絵とは別の大きな要素である、乾山が記した漢詩と、その漢詩をもとにした絵付けが施された向付(むこうづけ)も出品されます。
LOT.132 乾山《八角畵替向付 五人》
各H3.3×W13.6cm
各見込みに描き銘、各花押記
・『田村家蔵品展観図録もくろく』掲載 三三一
大阪美術倶楽部/昭和11(1936)年【目録付】
落札予想価格:¥2,700,000~¥3,700,000
このほかにも、紀州徳川家旧蔵の中国北宋第八代皇帝・徽宗(きそう)(1082-1135)が描いた《麝香猫(じゃこうねこ)》の大幅や、重要無形美術品にも認定されている豊臣秀吉【天文五-慶長三(1536-1698)】の自筆の《茶器覚書(ちゃきおぼえがき)》が出品されます。なかなかお目に掛かれない作品も出品されますので、ぜひ下見会場、オークションへ足をお運びください。心よりお待ち申し上げております。
*下見会・オークション会場、スケジュール、そのほかの注目作品はこちら。
オークション前日と当日は、下見会を開催しておりませんので、お気を付けください。
なお、ご入札は、ご来場のほか、書面入札、オンライン入札、電話入札、ライブビッディングなどの方法でも承っておりますので、お気軽にご参加ください。
江口