ノンコウ・片桐石州の黒茶碗


こんにちは。

先週の「WINE/LIQUR」オークションにご参加いただきました皆様、ありがとうございました。さて、今週末は、「近代陶芸/古美術/近代陶芸PartⅡ」オークションが開催されます。

 その中から、LOT.130樂道入、LOT.131片桐石州の黒茶碗をご紹介いたします。

 

樂道入(らく どうにゅう)【慶長四-明暦二(1599‐1656)】は「ノンコウ」の異名を持ち、利休の孫・千(元伯(げんぱく))宗旦の指導を受けて作陶しました。樂家の黒茶碗はノンコウによって完成したと言われるほど、名工として名高い人物です。道入の釉薬は、奥深く鮮麗な黒色で、夜の闇のように艶やかで光沢があり、「ノンコウの玉虫釉」と呼ばれています。本作は、釉薬も立ち上がりの形も美しい出来栄えで、裏千家八代・又玄斎一燈(ゆうげんさいいっとう)により「細道」と銘打たれています。

 また、一説に、こちらも道入の作品ではないかと言われているのが、LOT.131片桐石州「手造黒茶碗 残雪」です。

片桐石州(かたぎり せきしゅう)【慶長十-延宝元(1605-1673)】は、道入と同時代を生きた江戸前期の大名茶人で、小堀遠州の後を継ぎ徳川家茶道指南役になりました。京都知恩院の普請奉行をつとめ、「石州三百ヶ条」は、将軍家の元で行われる茶道・柳営(りゅうえい)茶道の指針とされ、各地の大名にも茶道を指導したことで知られています。当時の大名茶人の手造り茶碗が存在しないことから、近代の茶道評論家・佐々木三味(さんみ)【明治二十八-昭和三十九(1893-1964)】は、”ハサミ跡を見るからにして、道入に焼成させたのではないか”と記述しています。そのような説が出るほどに、本作の出来はよく、白鶴美術館の優品を集めた『白鶴帖 第五集』に、長次郎の黒茶碗とともに所載されたほどです。ぜひ、下見会で二つの茶碗を見比べて、その説をご一考ください。

 

さて、そのほかにも古美術オークションでは、黒織部沓茶碗、作家ものでは、光悦、近衛文麿の黒茶碗が、また近代陶芸では、九代と十代の大樋長左衛門の黒茶碗も出品されますので、ぜひそれぞれの「黒釉」をご堪能下さい。

下見会・オークションスケジュールはこちら。

なお、ご入札は、ご来場のほか、書面入札、オンライン入札、電話入札、ライブビッディングなどの方法でも承っておりますので、お気軽にご参加ください。

引き続き、感染予防対策をしっかりと行ってまいりますので、皆様のご参加を心よりお待ちしております。