こんにちは。
春めく陽気となったかと思えば、また冬の天気に逆戻り。今年はこの三寒四温の温度差が激しいために、体調を崩される方も多いと聞きます。感染症や花粉症と相まって何かと気持ちも落ち込みがちですが、心の滋養にどうぞオークション作品をお楽しみください。
さて、現在東京都は緊急事態宣言の期間中につき、オークション当日はご予約制とし、会場にお入りいただける人数に定員を設け、感染予防対策に取り組みながら開催させていただきます。
ご来場以外に書面、電話、オンライン、ライブビッディングなどでもご入札いただけますので、そちらもぜひご活用ください。
今週末に開催されます「近代陶芸/近代陶芸PartⅡオークション」からこちらの作品をご紹介します。
酒井田柿右衛門(1906-1982)は、江戸時代初期に輸出用の色絵磁器として繁栄した有田焼の「柿右衛門様式」を継ぐ十三代目にあたります。父・十二代柿右衛門と共に、『濁手(にごしで)』技法を現代に蘇らせ、スケッチを元にした型にとらわれない模様を生み出し、“近代柿右衛門”を確立しました。作品のみならず、日本伝統工芸展を始めとする多くの展覧会にもすすんで出品し、佐賀県の陶磁協会の会長を務めるなど多くの人々と交流を図るなかで、現代作家としての確固たる地位を得ました。
本作は、十三代の初期の頃の作品と言われています。「東海道五十三次画」をモチーフにした作品は、江戸期の伊万里作品でも人気があり、十二代の時代にも大型作品の代表として挙げられています。十四代も制作したということで、この「染錦東海道五拾参次画花瓶」は、近代の柿右衛門にとっては、技量を示す重要な作品と言えるようです。
また、今回は柿右衛門の置物も多く出品されます。十二代から続く型物なかでもLOT.99 十三代柿右衛門窯の「飛龍置物」は、ロボットアニメを彷彿とさせる形で作られており、新たな試みが伺い知れる一品です。
そして、今回北大路魯山人(1882-1959)の作品で特に注目していただきたいのが、こちらの額装された染付皿です。
「福」の字はやはり根強い人気がありますが、「雅」「美」「生」「活」は、魯山人が星岡茶寮を追われて心機一転出版した雑誌『雅美生活』の表紙の為だけに制作したと思われます。「雅美(がび)」であることは、魯山人に取って藝術上、さらに言えば生きていく上で何よりも重要でした。それは、自身が興した「大雅堂古美術店」や「魯山人雅陶藝術研究所」に”雅(みやび)“が使用されていたことからも想像が付きます。
「雅美に親しめる風雅人は人一倍幸福だといふことである。」
『雅美生活』の創刊号に寄せた魯山人の言葉です。魯山人の哲学が生んだとも言える作品をぜひご覧ください。
下見会はご予約なしでご入場いただけますが、マスクの着用、検温・手指の消毒にご協力をお願いいたします。
皆様のご参加を心からお待ちしています。
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執筆者:E