中東に魅せられた二人の陶芸家―三浦小平二と加藤卓男


こんにちは。

 

この季節は乾燥や花粉、さらに今年は新型ウイルスまで加わり体調管理が何かと大変と思いますが、いかがお過ごしでしょうか?オークションビッドは書面や電話、オンラインでもお受けできますので、 ぜひお気軽にご参加ください。

 

さて、3月7日(土)に行われます「近代陶芸/近代陶芸PartⅡオークション」よりこちらの作品をご紹介します。

 

「青磁」で重要無形文化財保持者【人間国宝】に認定されている三浦小平二(1933-2006)は、新潟県佐渡の無名異焼(むみょういやき)の窯元で生まれました。無名異焼は鮮やかな緋色を特長とする高温焼成で焼締められた陶器です。小平二はその土を使い、上から青磁釉を掛け、土と釉薬の伸縮の違いで美しい貫入を生じさせました。また、釉調も深みのある明るいもので、国内外から高い評価を受けています。更に青磁作品には珍しく白磁で余白部分を作り、そこに豆彩(とうさい)技法で絵付けを行う独自のスタイルを確立しました。

30代半ば頃から旅してきた中近東やアフリカ、中国、インド等で、その際写生した景色をモチーフに絵付けをしています。摘みもオリエンタルな建造物や動物、人物などを丸みの帯びた形で成形し、豆彩技法で淡色を施すことによって、幻想的な作品を生み出しました。

今回出品される4点は、ろば、鳴き兎、らくだ、そして孔雀といった動物の摘みがそれぞれに付いています。異国情緒溢れ、愛らしさは随一。三浦小平二の世界感をどうぞお楽しみください。

 

続きまして加藤卓男(1917-2005)の作品をご紹介します。

加藤卓男も小平二と同じく、江戸時代より続く窯元・岐阜県多治見市の幸兵衛窯の跡取りとして生まれ、伝統的な志野・織部等を作陶する一方、中東の焼き物青釉やミナイ手(色絵)、三彩技法を中心に作品を生み出しました。なかでも、18世紀に途絶えていた幻の名陶《ラスター彩》を復活させた功績は大きく、現地トルコ・イスタンブールでも称賛され、国立トプカプ宮殿博物館で個展が開催されるまでに至りました。また日本においては、宮内庁より正倉院三彩の鼓胴と二彩鉢の復元を依頼され、9年の歳月を掛けて復元に成功しました。その後、「三彩」で重要無形文化財保持者【人間国宝】に認定されています。

 

今回出品される6点の内2点は、上部に鶏と鳳の頭を装飾した花瓶です。特に鳳首瓶は唐三彩でよく見かける柔和な意匠とは異なり、鋭利な眼光と嘴は、日本でおそらく最もなじみのある鳳凰像、宇治平等院鳳凰堂の鳳凰像の厳しさに近しいものがあります。また、三彩の花瓶2点とも胴部の貼花(型取られた模様)は技巧が凝らしてあり、ラスター彩の花瓶の透かしも古陶磁の再現性の高さが伺え見応えがあります。

 

三浦小平二と加藤卓男。中東に魅せられた両作家がそれぞれに極めた陶磁器をぜひご堪能ください。

 

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執筆者:E