こんにちは。
今週は近代陶芸/近代美術PartⅡ(陶芸)オークションが開催されます。
お客様からのご要望もあり、今回からカタログに重要無形文化財保持者(人間国宝)の表記を取り入れてみました。改めて見ると取扱い作家の多くが認定されていることがわかります。
中でも一番多いのは「色絵磁器」保持者です。富本憲吉、加藤土師萌、藤本能道、十三代今泉今右衛門、そして十四代酒井田柿右衛門の五人です。今回もこれらの作家の作品が出品されます。中でも注目して頂きたいのが藤本能道の「草白釉釉描色絵金銀彩白鷺之図扁壷」です。
とにかく大きい!扁壷でこれだけの大きさは、滅多にお目に掛かれるものではありません。能道はやはり筥や大皿が多いのですが、草白釉で両面に白鷺が配され、風景もしっかり描かれたものというのは珍しいです。初期のころは、面取の作風が多かったのですが、晩年になるにつれ、角が取れ丸みを帯びた形を作り出しています。この扁壷の丸みも美しい曲線を生み出しています。カタログではなかなかお見せしにくい部分ですので、ぜひ実物をご覧ください。
続いて十四代酒井田柿右衛門ですが、今回は4種類の草花文が出品されます。
さらに十二代からも含めますと十二代の花柘榴、十三代の山茶花文、秋海堂文、小手毬文と実にさまざまです。皆さんはどの花がお好きでしょうか?三代に渡る柿右衛門の草花の描き方の違いを見比べてみるのもおもしろいと思います。
最後に富本憲吉の作品をご紹介します。
富本は、第一回重要無形文化財保持者に認定された陶芸家です。弊社近代陶芸の最高額落札作品は、富本憲吉の花瓶なのですが、そのような大作とは違い、今回は小品ながらも身近に使えることのできる作品がいくつか出品されています。煎茶器セット、中皿五枚組み、そして陶板です。そもそも「陶板」という言葉は富本が作った造語です。「白雲悠々」「風花雪月」、そして風景文という富本おなじみの図柄が揃いました。風に舞っているような軽やかな文字と、朴訥な温かい絵柄。日常的にお手元に置くならと考えながらご覧になってはいかがでしょうか。
陶芸作品は、手で触れて感じることのできる美術品です。
今回は326ロットとたくさんの作品が出品されています。ご自分のお気に入りを見つけるためにも、直に触れて作品を味わいながらお探しください。
執筆者:E