芹沢銈介《型絵染 釈迦十大弟子尊像》


こんにちは。
9月に入りましたが、まだまだ真夏のように暑い日が続きますね。
引き続き熱中症にはご注意ください。

さて、16日(土)は、近代美術/コンテンポラリーアート/近代陶芸/近代美術PartⅡ/近代陶芸PartⅡ オークションを開催いたします。
今回は近代美術PartⅡの出品作品の中から、おすすめの1点をご紹介いたします。


【 オークション終了につき、画像は削除いたしました 】

舎利弗(しゃりほつ)  魔訶目犍連(まかもくけんれん) 魔訶迦葉(まかかしょう)


阿那律(あなりつ)    須菩提(しゅぼだい)    富楼那(ふるな)


魔訶迦旃延(まかかせんねん) 優波離(うばり)    羅睺羅(らごら)

阿難(あなん)
(各作品の画題は共箱より)


  165 芹沢銈介
 《型絵染 釈迦十大弟子尊像》
 各102.0×41.5cm(軸装サイズ各173.4×61.5cm)
 各紙・型絵染 
 各軸装
 各共箱
 落札予想価格 ★¥800,000~¥1,200,000

 

芹沢銈介(1895-1984)は、民藝運動を代表する作家の一人、そして型絵染の重要無形文化財保持者(人間国宝)として国内外で高く評価された染色家です。
1895年、静岡県に生まれた芹沢は、少年時代に洋画家を志しますが、実家の全焼によって断念し、1913年に東京高等工業学校図案科に入学します。卒業後は図案の仕事に従事しますが、1927年に民藝運動を提唱した美術評論家・柳宗悦と、翌年には沖縄県の伝統的な染色技法である紅型と出会い、染色家の道に進みました。1939年、民藝の同人たちと初めて沖縄に渡り、紅型の技法を習得。1956年に型絵染*の重要無形文化財保持者に認定されました。1976年、パリの国立グラン・パレ美術館にて大規模な個展を開催し、その後フランス芸術文化功労勲章を受章。動植物や風景、人物、文字、道具など、身の回りにある様々な事物を意匠化し、型絵染や肉筆画によって味わい深く表現しました。

同じく民藝の作家である棟方志功も木版画を制作したことで知られる「釈迦十大弟子」は、仏教の開祖である釈迦の10人の高弟を題材とした尊像です。1982年、芹沢は愛宕一心会(天心社刊行会)から依頼を受け、インド・クシナガラの釈迦本堂に納める目的でこの作品を型絵染によって制作しました。その際、芹沢はインドに贈る縦180cmの作品とそれより小さな縦約102cmの作品という2種類のサイズを制作しており、後者は頒布用などを含め合計75部が作成されました。作品にエディションは明記されていませんが、後者には紙に「天心社刊行会」の透かしが入れられていることから、本作もその一つであるとわかります。
また、制作の工程において、87歳の芹沢は、特に体力と集中力を要する型彫りの作業に満身創痍で挑んだと言われています。晩年を迎えた作家が祈りを込めて取り組んだこの《型絵染 釈迦十大弟子尊像》は、芹沢の最後の型絵染の大作となりました。
本作では、弟子一人一人の人間性や宗教的な思想が細やかに表現されており、白と黒のコントラスト、素朴でありながら老齢を感じさせない充実した曲線が豊かな味わいと品格を感じさせます。

*型絵染…渋紙に模様を彫った型紙を布の上に置き、防染糊を使用しながら染液で模様を染める技法


ぜひ下見会場で実際の作品をご覧ください。
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なお、ご入札は、ご来場のほか、書面入札、オンライン入札、電話入札、ライブビッディングなどの方法でも承っておりますので、お気軽にご参加ください。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

(佐藤)