こんにちは。
先週のBAGS/JEWELLERY&WATCHESオークションにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
先週の22日、下町の新名所、東京スカイツリーが開業1ヶ月を迎え、展望台の見学者だけで35万人、スカイツリータウン全体では、なんと来場者580万人を突破したそうです。
皆様はもうお出かけになりましたか?
展望台のチケットは入手困難だそうですが、タワーを近くでご覧になったことはありますでしょうか。
三角形の足元からゆるやかに反りながら、上部にいくほど円筒形になるという形は、「空に向かって伸びる大きな木」をイメージしたものだそうです。この反りのある形や、古くから五重塔に使われてきた「心柱」を採用した構法によって、634mの高さを実現できたと言われています。
こうした伝統的な日本建築の要素を取り入れたデザインを監修したのは、彫刻家の澄川喜一氏です。
7月14日(土)の近代美術PartⅡオークションには、澄川氏の彫刻作品が出品されますので、今回はそちらをご紹介いたします。
【オークション終了につき、図版は削除いたしました】
lot.695 澄川喜一 《そりのあるかたちL》
H23.2×W61.1×D4.0㎝
木彫 下部に銘
自筆証明書つき
エスティメイト \100,000~200,000
まずは澄川氏について。
1931年島根県生まれ。1952年東京藝術大学彫刻科に入学し、平櫛田中教室に学びました。1960年同大学彫刻専攻科修了。在学中から現在にいたるまで新制作協会で活躍を続け、様々な彫刻展において数多くの賞を受賞しています。1976年文化庁在外研修員として渡欧。1981年東京藝術大学教授、1995年同大学学長に就任。(2001年に退官し、現在は名誉教授) 1998年紫綬褒章、翌年に紺綬褒章を受章。2004年日本芸術院会員、2008年文化功労者となりました。日本の抽象彫刻の第一人者として知られ、このたび東京スカイツリーのデザインを監修したことでいっそう注目を集めています。
本作品はライフワークである「そりのあるかたち」シリーズの一点。
これは澄川氏が1979年から着手したシリーズで、長い木彫制作の経験から生まれたものです。
木は人間と同じように生きて呼吸をしているので、それぞれの性格や美しさがあり、作り手の思うように切り刻もうとするとうまくいかないそうです。そのため、澄川氏は素材となる木との対話を通して、そりやゆがみ、木肌といった木の個性を見出し、それを抽出するように意図する造形を作り上げていきます。
本作品に表われた「そり」は、日本刀や寺院の屋根、和船などに見られるデリケートなカーブを想起させます。また同時に、この「そり」によって鋭い空間を提示しています。モダンでシャープでありながら、自然の息づかいや日本的な美意識を感じさせる、多面的な魅力に富んだ作品です。
この作品は7月11日(水)からの下見会で展示いたします。
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皆様のお越しを心よりお待ちしております。
(佐藤)