9月近代美術下見会@銀座


こんにちは。
今週は銀座で近代美術の下見会を開催しております。
今回も少しだけ会場をご案内いたします。

1Fは日本画を展示しています。
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横山大観や加山又造の作品が充実しています。いろいろな時代とモチーフの作品が出品されますので、お好きな方はぜひご覧ください。

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ホームページのトップにもなっている、Lot.62横山大観の《陶靖節》です。
会場ではこんな風に展示しております。
本当に風が吹いているようにも、山がはるか遠くにあるようにも見え、
額や軸の作品にはない奥行きと広がりを感じさせます。


B1Fは日本洋画・西洋絵画です。
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レオナール・フジタや浮田克躬の作品がたくさん出品されます。
めずらしいところでは、佐野繁次郎の油彩も!

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長谷川利行コーナーです。
今回は小品が多いですが、浅草風景、裸婦、花といろいろ揃っています。
どれも小さなキャンバスの中に利行らしさがぎゅっと凝縮されたような作品です。

今日も1点ご紹介します。

img_129-1のコピー

lot.129 藤島武二(1867-1943)
《臥婦》
30.3×53.2cm
板にキャンバス・油彩 額装
1913年作
右下にサイン
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書つき
『藤島武二画集』掲載 №48(日動出版)
藤島武二遺作展覧会(1943年 東京都美術館/朝日新聞社)出品など
エスティメイト ★2,500,000~3,500,000


 重要文化財の《黒扇》や《東洋振り》で知られる藤島武二の女性像です。  
藤島の制作は、人物画と風景画の二つに大きく分けられますが、主として人物画に取り組んだのは、洋画を学び始めた23歳から、皇居の御学問所に飾る作品の制作のために本格的に風景画に着手する1928(昭和3)年までの間で、様々に作風を変えながら人物、特に女性像を描き続けました。上記の2点のほかにも、装飾的でロマン主義的な《天平の面影》など、日本の近代洋画を代表する女性像の名作を数多く生み出しました。

 4年に渡るヨーロッパ留学を終えて帰国した藤島は、1913年(当時46歳)の第7回文展で《うつつ》(東京国立近代美術館蔵)を発表。この作品は、本作品同様にソファーにもたれる女性をモチーフとしたもので、帰国後の作としては初めて文展という公の場で発表されたものであり、日本的な油絵を表現することに挑んだ意欲作として藤島の代表作の一つに挙げられます。
 
 本作品は同年に描かれたものです。藤島と親しく交流し、画集の編纂にも当たった岩佐新は、本作品について「このソファーに臥す婦人は《うつつ》とは違って洋服の女であるが手の組み方などポーズからして稍々あの絵の空気と共通なものを感じられる作で、《うつつ》以前の作と思ふ。要するに《うつつ》の前奏曲と見てもいいものであらう。」※ と述べています。
 本作品では、滞欧作から作風を大きく変え、フォルムを単純化し、フォーヴィスム風の大胆なタッチと明治期の装飾的な作風を思わせる芳醇な色彩で対象を捉えています。うたた寝をする女性が醸し出す甘美な夢心地や幸福感は、藤島の女性像の重要なエッセンスとも言えるでしょう。古今の西洋絵画を踏まえ、藤島は本作品において東西の融合と日本の油彩画の創造に向け、新たなスタートを切りました。

※『畫論』第22号 造形芸術社 1943年

明日はいよいよオークションです。
みなさまのご来場、心よりお待ちしています。

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(執筆:S)