長谷川利行《カフェ・パウリスタ》


 こんにちは。今週はいよいよ今年初めてのオークションです。
近代美術オークションの出品作品の中からおすすめの1点をご紹介します。


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長谷川利行 (1891-1940)
《カフェ・パウリスタ》
40.7×60.3cm
キャンバス・油彩 額装
1928-29年作
右下にサイン
木村東介シール
長谷川利行遺作油繪鑑賞展(1974年・東京美術會館)
生誕100年記念 長谷川利行展(1991年・新宿小田急百貨店)
没後60年長谷川利行展(2000年・神奈川県立近代美術館)
鬼才長谷川利行と二人―熊谷登久平・矢野茫土 一関ゆかりの画家生誕百年―(2001年・一関市博物館)
エスティメイト ¥3,500,000~5,000,000



 長谷川利行は、「リコウ」の愛称と放浪の画家として知られる画家です。その激情的な生き様と作風から「日本のゴッホ」とも称されています。利行は1891(明治24)年、京都に生まれました。中学時代から詩や短歌を創作し、28歳の時、私家版歌集『木葦集』を刊行。やがて独学で始めた油絵に夢中になり、1921年頃上京した後は公募展への出品を始めました。関東大震災を機に京都に戻りましたが、1926年再び上京。1927年第14回二科展で樗牛賞、翌年に第3回1930年協会展奨励賞を受賞します。住居を定めなかった利行は、簡易宿泊所などを転々としながら東京の下町を描き続けました。1936-37年には、新宿の天城画廊で集中的に作品を発表。1940年行き倒れとなり、49年の破天荒な生涯を閉じました。

 本作品のモティーフとなった「カフェ・パウリスタ」は、現在も銀座8丁目にあるカフェです。100年近い歴史を持つこの老舗のカフェは、岸田劉生、高村光太郎、永井荷風、芥川龍之介といったそうそうたる芸術家や文化人たちが通った知的社交場として名高いお店です。当時のカフェは1Fにバーやサロン、2Fに食堂があるのが普通で、現在の喫茶店とはまったく別物だったそうです。利行は銀座の街をしばしば描きましたが、その中でも特にこの「カフェ・パウリスタ」を好んでいたようです。
 本作品を描いた時期、利行は二科展と1930年協会展でたて続けに受賞を重ねた直後であり、人生で最も野心と夢に溢れていました。大震災から急速な復興を遂げたモダンな銀座、文化の香り高いカフェで夢を描く画家の姿を想像させる作品です。

 近代美術、Jewellery&Watches下見会は明日から開催いたします。
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 銀座7丁目にありますシンワの下見会場とカフェ・パウリスタはすぐ近くです。
作品をご覧になった後は、コーヒーを楽しみながら利行の時代に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

(執筆:S)