こんにちは。
9日の近代陶芸/近代陶芸PartⅡオークションにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
さて、今週の23日(土)は近代美術/近代美術PartⅡ/戦後美術&コンテンポラリーアートオークションを開催いたします。
今回はカタログでも特集を組んでおります、日本画家・竹内浩一(1941-)の作品をご紹介いたします。動物画を描く作家はたくさんいますが、動物の無垢さや生命のみずみずしさをこんなにも優しく細やかに描き出す作家はほかにいないのではないでしょうか。
当ブログでは初めてご紹介しますが、竹内浩一は現代の日本画を代表する動物画・花鳥画の名手です。
京都市の型染友禅の職人の家に生まれた竹内は、京都市立日吉ヶ丘高校日本画科を卒業後、テキスタイルデザインの仕事に従事。デザインコンクールで受賞を重ねる傍ら、日本画を描き始めました。1966年、中路融人の勧めで晨鳥社に入塾し、山口華楊に師事。翌年には第10回日展にて初入選します。1970年代後半からいよいよ写実的な動物画に着手し、第4回山種美術館賞展大賞を受賞。第11回日展では特選(文化庁買上げ)となりました。また、1984年には、横の会の結成に参加し、様々な団体の日本画家たちと研鑽を積むほか、1995年に京都造形芸術大学、2002年には京都市立芸術大学の教授に就任するなど、後進の育成にも力を注いでいます。
近年は、第5回北京ビエンナーレに出品。大徳寺塔頭芳春院の襖絵を制作するなど、京都を拠点に活躍を続けています。
【オークション終了につき、画像は削除いたしました】
57 《降》
116.6×91.1cm
紙本・彩色 額装
2000(平成12)年作
右下に印
共シール
『NHK趣味悠々 動物を描く 竹内浩一の日本画
入門』(2009年/日本放送出版協会)P.60
落札予想価格 ¥400,000~¥600,000
竹内が北海道北見市の牧場で出会ったというキツネが描かれた作品です。
入念に観察し、その姿と動きを写実的にとらえていますが、傍らには江戸の浮世絵師・歌川広重の《名所江戸百景 王子装束ゑの木大晦日の狐火》をイメージした狐火が配されています。まるで作家の目には狐火も見えていたかのようにそれが破綻なく調和していて、近作の「現代版鳥獣戯画」シリーズとの関連性もうかがわせます。
参考図版:
歌川広重
《名所江戸百景 王子装束ゑの木大晦日の狐火》
(左は拡大図)
【オークション終了につき、画像は削除いたしました】
58《玄》
116.7×72.8cm
紙本・彩色 額装
共シール
落札予想価格
¥400,000~¥600,000
小さな花をつけた枝垂れ柳とともに、猿を描いた作品です。猿は、竹内が得意とするモティーフ。山種美術館賞展や第5回日展の受賞作の題材も猿でした。
この作品では見事な毛描きによって、今にも動き出しそうなほど猿が生き生きと表現されていて、その思慮深そうな表情がどこか神秘的です。
【オークション終了につき、画像は削除いたしました】
59 《傘》
99.8×80.3cm
紙本・彩色 額装
左下に印
共シール
落札予想価格 ¥400,000~¥600,000
葡萄の木の下で一羽の鳩がじっとうずくまっています。雨宿りをしているのでしょうか。
ぼかしと胡粉を施した明るく淡い色調により、白昼の雨の場面が抒情的に表現されています。
【オークション終了につき、画像は削除いたしました】
60 《霖》
91.0×65.4cm
紙本・彩色 額装
左下に印
共シール
落札予想価格 ¥400,000~¥600,000
画題の《霖》(りん)は長雨を意味します。
この作品では、雲龍柳の枝に休む鳥が描かれていますが、柳は竹内が特に好み、繰り返し描き続けているモティーフ。曲線的な枝で画面全体を覆い尽くす構成が非常に装飾的です。
対象をつぶさに観察してスケッチし、丁寧な下塗りを何重も重ね、その実在感や生命感、周辺に吹く風や目に見えない気配までをも、緻密な描写と淡く静謐な画面によって描き出す、竹内浩一の動植物画。その魅力をぜひ、会場でご堪能ください。
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皆様のご来場を心よりお待ちしています。
(佐藤)