現代の写実画―森本草介、中山忠彦、藤井勉の女性像


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さて、今週の20日(土)は近代美術/近代美術PartⅡオークションを開催いたします。
今回も出品作品の中からおすすめの作品をご紹介いたしますが、今回は現代写実画のトップランナーたちの作品を集めてみました。

写実は、「現実的な主題をありのままに描くこと。あるいは、対象を細部まで正確に描く手法」です。ご存じの通り、絵画の伝統的で基本的な手法の一つですが、2010年頃から、国内ではにわかに現存作家たちによる「写実画」の人気が高まってきました。
以来、画壇の重鎮から平成生まれの若手まで、才気溢れる作家たちが凌ぎを削るジャンルの一つとして、作品の質や作家の層ともに充実した様相を見せています。

その中でも、長きにわたりこの写実画を牽引してきた森本草介は、亡くなった今もなお名実ともにその頂点に君臨する作家と言えるでしょう。

s-136のコピー

 136 森本 草介(1937-2015)
《裸婦》

72.7×90.9cm
キャンバス・油彩 額装
1985年作
左下にサイン
裏に署名・タイトル
「森本草介―敬虔なる写実―」
2001年(日本橋髙島屋/日本経済新聞社)出品

落札予想価格
¥10,000,000~¥18,000,000

 

「女性像の画家」として名高い森本が女性を描き始めたのは、1980年頃のこと。それは、一人の女性との運命的な出会いがきっかけだったと言われています。
1985年(当時48歳)に制作された本作は、その「創造のミューズ」となった女性をモデルとした裸婦像です。目を伏せてソファーにもたれる女性のしっとりとした肌の質感と頭髪の一本一本、布の素材感と室内に注ぐ光など、そこにあるすべてが圧巻とも言うべき写実技法により、きわめて精緻に描写されています。そして、できるだけ筆触が目立たないように、絵具を薄く丹念に塗り重ねた滑らかな絵肌と施されたスフマート(ぼかし)技法の効果により、女性を包む柔らかな空気と静謐さ、作家の抒情までもが豊かに表わされています。

特筆すべきは、このように手を伸ばせば触れられそうなほど克明に表現されていながら、女性が決して触れてはならない、聖なる者のような気品と清らかさを湛えていることでしょう。それは、森本が女性の一瞬の輝きを描き留めるとともに、それを自身が抱く理想の女性美へと昇華させたためであり、この点に森本芸術の精華が見て取れます。


また、現代の写実画といえば、白日会の作家たちがよく知られていますが、若手作家の憧れの存在といえば、白日会会長を務めるこの作家でしょう。

s-122



122 中山 忠彦(1935-)

《エマイユのイヤリング》

33.5×24.3cm
キャンバス・油彩 額装
左下にサイン
裏に署名・タイトル

落札予想価格 ¥1,000,000~¥1,500,000


 


中山忠彦の主要なテーマは、女性像とヨーロッパのアンティークドレスです。
そして、主に作品のモデルを務めているのは、画家の夫人だといいます。
本作のモデルも夫人と思われますが、イヤリングとドレスの水色のコーディネートが爽やかですね。中山は最も身近で大切な人の姿を通して、普遍的な女性美、すなわち「永遠の女神」を追求しているのでしょう。


s-92

92 藤井 勉(1948-)
《清心》

72.7×60.7cm

キャンバス・油彩 額装
右下にサイン
共シール

落札予想価格 ★¥300,000~¥400,000

 

 

藤井勉は1980年代から活躍している写実の実力派。
そのテーマは少女像で、画家の3人の娘たちがモデルとなっています。
それは、愛娘の成長していく姿を愛おしみながら、あるいは幼き日を懐かしみながら記録したものですが、圧倒的な細密描写によって、少女の凛とした佇まいと今ここにいるかのような実在感が巧みに描き出されています。

女性の様々な美しさを描いたこれらの作品は、現在開催中の下見会にてご覧いただけます。
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皆様のご来場を心よりお待ちしております。

(佐藤)