加山又造 水墨画の世界―《鴉》と《鯉》



こんにちは。
今日の天気予報によると、今週は関東でも雪が降る可能性があるようです。
大寒から立春にかけての今の時期は、一年で一番寒い季節です。
風邪などひかないようにお気をつけくださいね。

さて、1月31日(土)は、近代美術/BAGS/近代美術PartⅡオークションを開催いたします。
本日は近代美術オークションの出品作品の中からおすすめの作品をご紹介いたします。
戦後日本画の旗手・加山又造(1927-2004)の《鴉》と《鯉》です。

Lot.47 《鴉》
【 オークション終了につき、画像は削除いたしました 】

60.5×90.5cm
紙本・彩色 額装
昭和44年作
左下に落款・印
共シール
『限定版 加山又造自選画集』本文冊 №64
                    (集英社)
『加山又造 装飾の世界』P.171,№22(京都書院)
『加山又造全集 第四巻 よみがえる水墨』№40(学習研究社)
『アサヒグラフ別冊美術特集 日本編17 加山又造』№35(朝日新聞社)
轟会10周年記念展 1969年(日本橋・髙島屋)
加山又造展 1978年(日本橋・髙島屋/日本経済新聞社)
落札予想価格  ¥20,000,000~30,000,000

 

 
Lot.48 《鯉》
【 オークション終了につき、画像は削除いたしました 】

53.5×72.4cm
紙本・彩色 額装
昭和44年作
右下に落款・印
共シール
『限定版 加山又造自選画集』本文冊 №65
                   (集英社)
轟会10周年記念展 1969年(日本橋・髙島屋)
落札予想価格  ¥20,000,000~30,000,000


 昭和44(1969)年の轟会10周年記念展にて、加山又造は初めて十数点の水墨画を発表しました。加山には、色彩感覚の調整のために彩色の作品とモノクローム調の作品を交互に描く慣習があり、それが水墨画を描くきっかけとなったのかもしれません。
 加山にとって、水墨画は「中国五千年の歴史に輝く、全人類的意味で最高の、絵画表現芸術」であり、それを受容した日本では、古くからたくさんの絵師たちが日本的な水墨画を追求してきました。加山はその中でも室町時代の雪舟、安土桃山から江戸前期の長谷川等伯や俵屋宗達らの作品に漂う「優しい情緒性と生きた装飾感」に注目し、そこに日本的な水墨画の美と新たな可能性を見出して、現代に甦らせようと試みていきました。

今回出品される2点は、この轟会10周年記念展で発表された、初めての水墨画の一つです。
色鮮やかで絢爛豪華な作品もすばらしいですが、モノクロームの作品も凛としてかっこいいですね。
それぞれのモチーフに合った黒が表現されていて、「墨に五彩あり」という言葉がしっくりきます。

Lot.47《鴉》(からす)は、加山の現代的な感覚や装飾性が発揮された作品です。
この作品について、加山は「白い雪の中を鴉が飛ぶ厳しい冬の中、吹雪の中にきーんと泣き声が消えて行く。そのような風景が私は好きだ。」と『加山又造自選画集』の中で述べています。
動物画シリーズの鴉とはまた少し違う魅力がありますが、「加山の鴉が好き」という方にぜひご覧いただきたい一点です。

一方、Lot.48《鯉》は中国の元時代(1271~1368)に江南地方で盛んに描かれた「藻魚図」(そうぎょず)に憧れて制作されたものです。《鴉》とは対照的に、加山の古典への憧れが表われた作品と言えるでしょう。しかし、伝統的な水墨の花鳥画とも異なり、深遠で宇宙的な空間を示唆するような水の表現には加山の独自性が見て取れます。

こちらの2点はただいま下見会場にて展示中です。
ぜひ実物をご覧いただき、奥深い墨の世界をお楽しみください。
下見会・オークションスケジュールはこちら

皆様のお越しを心よりお待ちしております。

(佐藤)