先週、コンテンポラリーアートオークションの下見会にご来場下さいましたお客様、ありがとうございました。作品はすでに日本を発ち、入口に立っていた野田凪のパンダ君も、丁寧に梱包されて船でマカオへと向かっております。
小林 和作《木曾御岳の秋》
31.8×40.8cm
Est. ★\300,000~500,000
そろそろ秋も深まって参りました。
私は週末、散歩がてら日比谷公園に菊を観に行ってきました。美術品コレクターの中には菊を育てるご趣味をお持ちの方が多く、菊を見ながら、近代美術オークションに出品される花の作品の数々を思い出しました。
さて、今週水曜日からはいよいよ近代美術オークションが開催されます。
今回のオークションには、ピカソが最後の恋人ジャクリーヌを描いた作品の版画や、レオナール・フジタが戦後にパリで描いた自画像など、現在展覧会が開催されている話題の作家が出品されます。
サントリー美術館と国立新美術館では、現在、空前の規模でそれぞれピカソ展が開催されています。また今週15日からは上野の森美術館でフジタ展が開催されます。どちらも楽しみ!展覧会中の作品を間近でご覧頂けるチャンスとなっております。
パブロ・ピカソ《シニヨンの女》(Est.¥2,500,000~3,500,000)は、1957年作のリトグラフ作品です(ピカソのサイン有)。ピカソは1952年にジャクリーヌ・ロックという45歳年下の女性と出会い、それ以来油彩・陶器・素描・版画・彫刻など様々な技法によって繰り返し彼女を登場させるようになりました。理想のモデルを追求して数多くの女性との恋愛を経てきた芸術家が、人生の円熟期に出会い、そしてその後最も長い年月を共に過ごした女性がジャクリーヌでした。
法的な妻であるオルガが1955年に亡くなり、1961年にはジャクリーヌと正式に結婚しているので、原画はその間に制作されたものでしょう。画面右上の文字から、1957年12月28日に描かれたと推測されます。
ジャクリーヌはピカソと同じ身長150センチ強の小柄な女性で、広い額とすらりとした鼻筋、鋭い眼光を持っていたといいます。ピカソは、奥ゆかしく気品ある彼女に、殆どポーズを取らせることはなかったと言います。この作品でも微笑みを湛えた横顔がとても自然で、凛々しく感じられます。
ここで御紹介した作品は全て、下記の日程で当社のシンワアートミュージアムにてご覧頂けます。
銀座では11月に入ると、街にクリスマスのイルミネーションが飾られ始めますし、街歩きも楽しいこの頃。ぜひご来場をお待ちしています。
和田 英作《薔薇》
40.4×53.0cm
Est. \1,000,000~1,500,000
<近代美術オークション概要>
オークション日時:2008年11月9日(日)17:00
オークション会場:丸ビル7階 丸ビルホール
下見会 :シンワアートミュージアム
11月5日(水)~11月8日(金) 10:00~18:00
11月9日(日) 10:00~13:00
(執筆者:I)