パリを描いた画家 増田誠


こんにちは。
11月に入り、東京でもあちらこちらで紅葉が楽しめるようになってまいりました。
いよいよ秋が深まって、冬はもうすぐそこという感じがいたします。

さて、今週17日(土)は、近代美術/近代美術PartⅡ/MANGAオークションを開催いたします。今回は近代美術と近代美術PartⅡ、どちらにも出品されます増田誠の作品をご紹介いたします。



【 オークション終了に伴い、作品の画像は削除いたしました 】

67 増田 誠《街角》
        73.0×60.0cm
        キャンバス・油彩 額装
        右下にサイン

        落札予想価格
       ¥200,000~¥400,000


増田誠(1920-1989)は、パリを拠点にヨーロッパ各地を訪れ、街角や港、市井の人々の暮らしの中に漂う哀歓を親しみを込めて描き続けた画家です。対象のフォルムを平面的に捉え、その詳細を細やかな線描で描き加えるという手法によって生み出された作品は、「パリの庶民へのオマージュ」とも言われています。

山梨県に生まれた増田は、中学校卒業後、教員として働き始めましたが、1941年に従軍。戦後は、北海道釧路に移住し、得意の絵を生かして看板業を営みました。その傍らで画家を志し、一線美術の上野山清貢に師事します。1952年より上野山の勧めで一線美術展に出品し、受賞を重ねるも、次第にヨーロッパへの憧れを強め、1957年に念願のパリに渡りました。
パリでは、1960年にシェルブール国際展でグランプリを受賞し、1963年にサロン・ドートンヌ会員となり、画壇で活躍していきました。1970年からは、日本でも毎年個展を開催しています。

本作はパリの《街角》を描いたものでしょうか。
観光スポットや賑やかな大通りではなく、近くに住む人しか通らない裏道のようで、旅行者ではない、パリに暮らす者としての画家の眼差しを感じさせます。
また、建物をマッスとして捉え、走るような細い線でその詳細を描き込んでいくという増田らしい描法により、長い年月を経た建物が味わい深く表現されています。
道路の先に鑑賞者の視線を誘うような画面構成もドラマティックで、どこにでもある裏通りが特別な風景に見えてくるようです。
  

【 オークション終了に伴い、作品の画像は削除いたしました 】

668 《Bar Basque,Paris》

            46.3×38.1cm
            キャンバス・油彩 額装
            左下にサイン

            落札予想価格
            ¥100,000~¥200,000
         
            下見会は終了しています

こちらも観光客の来るような店ではなく、パリの片隅にあるバーといった雰囲気です。
バーに集う人々の喜びや哀しみに寄り添うように本作を描いたのでしょうか。



【 オークション終了に伴い、作品の画像は削除いたしました 】

671 《アムステルダム》
            38.3×55.1cm
            キャンバス・油彩 額装
            左下にサイン
            裏に署名・タイトル

            落札予想価格
           ¥150,000~¥250,000

          ※下見会は終了しています

増田は、ヨーロッパを中心に世界各地を訪れ、その街や人を描きました。
本作では、オランダ、アムステルダムの街を流れる運河と運河沿いの建物が表わされています。
歴史ある建物群と置時計型の特徴的な屋根に興味を抱いたのでしょう。水に映るもう一つの風景の美しさもまた見どころです。

増田誠はこのほかにも近代美術PartⅡに3点出品されます。
また、下見会では、岡鹿之助や荻須高徳など、増田と同じようにパリで暮らし、その風景を描いた作家たちの作品もご覧いただけます。同時開催いたしますMANGAオークションの作品も、引き続き展示していますので、ぜひ会場にお越しください。


下見会・オークションスケジュールはこちら

皆様のご来場を心よりお待ちしています。

(佐藤)