日曜の夜に開催となった昨日の近代美術オークションにご来場下さいましたお客様、ありがとうございました。
東京国際フォーラムから丸の内へと続く並木道も、美しくイルミネーションが輝きはじめて、ショッピングの楽しい季節になってきました。
シンワアートオークションのブログでは、これまでにオークションに出品されることが珍しい作家や作品を取り上げてきましたが、今回は、解説担当のIが今、特に気になっている作家・栗田咲子をご紹介します。
栗田咲子
《小豆洗い, 2007》
89.8×145.5cm
Est. 香港$15,000~30,000
栗田咲子は、1997年京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。2000年 VOCA展(上野の森美術館)に作品を出品したほか、年に1・2度の個展を定期的に開催し、力の抜けたどことなくユーモラスな作品を発表してきました。
現在、大阪のギャラリー(11月1日~29日)と神戸アートヴィレッジセンター(11月1日~24日)で新作展を開催しています。
11月のマカオに出品される作品は、《小豆洗い,2007》というタイトル。
茶色の空に星がまたたき、麻雀パイのような立方体の足元でひたすら小豆洗いに勤しむ人間――。言葉に直してしまうと、何が何だか分からないのですが、その作品の強烈な存在感に、一目ぼれしました。
この画面には破たんが無く、空間の表現も、ある平面に必要な要素をぐっと押し込めたかのような密度の高いもので、画家の「絵ごころ」とテクニックが優れているであろうことを感じます。それでいて、伝わってくるものには自分の才能を誇示するような所がなくて、迷いや悩みが立ちこめているのです。
作家の人となりを伺ったところ、描く内容を初めから限定せず、描きながら悩み、模索するように制作していくと聞きました。今回出品される《小豆洗い, 2007》以外の作品でも、栗田咲子のポートフォリオにはそのことがにじみ出ている、密度の高いものがたくさんありました。
シンワアートオークションでは巨匠の描いた代表的作品を取扱うこともしばしばで、一つの様式美の極致を示しているものもあります。しかし、一方では、そうした作家が大成する前に描いた初期の作品にも、魅力があります。
コンテンポラリーアートオークションには、「この作家は今後どのように展開するのだろう」という興奮を感じさせてくれる作品があり、栗田咲子はまさにそのような作家なのです。
作品は既に日本を発ち、マカオで開催されるオークション会場に向かっております。書面での入札も可能です。コンディション等はお気軽にお問い合わせください。
(執筆者:I)
CONTEMPORARY ART AUCTION概要
=Asian Auction Week in Macao=
オークション日時: 2008年11月28日(金)13:00
オークション会場: ザ・ヴェネチアン・マカオ・リゾートホテル フローレンスルーム(マカオ)
下見会 :ザ・ヴェネチアン・マカオ・リゾートホテル ホールD
11月25日(火)~28日(金)