こんにちは。連休は秋晴れが続きましたね。
まさに行楽日和、運動会日和でしたが、
みなさまはいかがお過ごしでしたでしょうか。
さて、今週の土曜日はいよいよワイン&西洋美術オークションとなりました。
今日はワインオークションに出品されるワインをご紹介させていただきます。
全260ロットの中で、ご注目いただきたいのはヴィンテージワインの充実ぶりです。しかも今回は、当たり年の希少なものばかりが揃いました。
Lot.91 Chateau Petrus(Pomerol)
1947年 1bottle
液面:アッパー・ショルダー
ラベル:わずかな汚れ、わずかな破れ
エスティメイト \200,000.~400,000.
Lot.92 Chateau Petrus(Pomerol)
1959年 1magnum
液面:ボトム・ネック
ラベル:軽い汚れ、わずかな破れ
エスティメイト \400,000.~700,000
5大シャトーをも凌ぐ人気を誇り、世界で最も高値で取り引きされるワインの一つとなった「ポムロールの王」シャトー・ペトリュスです。格付けのない右岸のワインがこれほどの評価を得るようになったのは、1889年のパリ万博での金賞受賞がきっかけでした。以後、アメリカのケネディー家やロックフェラー家といった名門ファミリーから愛され、上流階級のステイタスとなっていきました。
ポムロールの丘の最上部にあるこの畑の土壌は、黒粘土という膨潤性のある特殊な粘土が表土に出ている珍しいもので、それがワインの決め手となるそうです。メルロー種のブドウとの相性も良く、肉厚でまろやかな味わいのワインを作り出していくのです。
このワインは、年月を経るごとに、トリュフや湿った土を思わせる官能的な香りを増していき、複雑な風味と微妙なニュアンスを持つようになります。しかも素晴らしい果実の濃縮感は、時を経ても失われることなく力強い存在感を保っています。
まさに熟成に向いたワインと言えますね。今回の2点はそれぞれすでに62年、50年が経過しています。どんな香りと味わいなのか、想像するだけでドキドキしますね。
続いてこちら。
Lot.109 Chateau Cheval Blanc(St.Emilion)
1938年 1bottle
液面:ミッド・ショルダー
ラベル:軽い汚れ
エスティメイト \100,000.~200,000.
サン・テミリオンの格付けの頂点に立つシュヴァル・ブランです。シュヴァル・ブランの醸造の特徴は、カベルネ・フランとメルローを同じくらいの割合で使用すること。その組み合わせの効果によって、リッチで完熟感と強い粘性のあるテクスチュアを楽しむことができます。良いワインは飲み頃が長く続くといいますが、このシャトーこそ典型と言っていいでしょう。若い頃から楽しむこともでき、熟成を経て味わいはいっそう深く複雑になっていきます。
こちらはなんと戦前に生産されたワインです。作られた時代に思いを馳せずにはいられないような、ロマンを感じさせるワインですね。
最後はこちら。
Chateau Lafite Rothschild(Pauillac)
1945年 1bottle
液面:ミッド・ショルダー
ラベル:汚れ
エスティメイト \80,000.~160,000.
ワイン愛好家の方はもちろん、初心者の方もご存じかもしれません。
言わずと知れたフランスきっての名門シャトー、シャトーラフィットです。
1855年のパリ万博において、皇帝ナポレオン3世の命で格付け制度ができて以来、第1級格付けワインの中でつねにトップに座に君臨し続けているワインです。
シャトーは1868年にロスチャイルド財閥の所有となり、「シャトーラフィット ロートシルト(ロスチャイルド)」となって以降も、ボルドー地方最高のワインの産地と言われるポイヤック村の葡萄畑、収穫量を限定した健全な苗木の育成、伝統的な醸造方法の遵守といった最高の条件のもと、丹精込めて生産され続けています。その味わいは、5大シャトーの中では最も繊細で優美と称されます。カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高いことから、飲み頃になるまで時間のかかる長期熟成型のワインであり、そのシルクのようなきめ細かさ、エレガントな芳香、酸味とコクのバランスの良さは、赤ワインの理想型と言っても過言ではありません。
今回出品されるワインは、1945年に生産されたもの。第2次世界大戦中、ドイツ軍によってシャトーは解散となりましたが、この年再びロスチャイルド財閥が所有権を取り戻し、シャトー再建に努めました。そんな激動の時代や、このワインにかかわった多くの人々のドラマを想像させる1本です。
今回出品されるヴィンテージワインをご紹介してまいりましたが、伝統も格式もある一流シャトーのワインは、熟成されてこそ本来の魅力を発揮するのかもしれませんね。出来の良い葡萄のジュースを適切な環境で保存する、という一見シンプルな作業が、実はとても難しいことなのでしょう。
ワインの味わいや香りを様々な言葉で形容して表現することがありますが、年代を経て味も香りも複雑に深みを増したワインは例え甲斐がありそうですね。熟成を重ねたワインをグラスに注いだときの香り、口に含んだときの味わいの印象を、みなさまも何かに例えてみてはいかがでしょうか?
(執筆:S)