北大路魯山人の色絵―《雲錦鉢》と《椿づくし鉢》


こんにちは。
22日の近代美術/近代美術PartⅡ/戦後美術&コンテンポラリーアート/BAGS/JEWELLERY&
WATCHES/MANGAオークションにご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

さて、今週の29日(土)は、WINE/LIQUOR/初夏特別オークションを開催いたします。
先週同様、緊急事態宣言下となりますので、オークション・下見会ともに新型コロナウイルスの感染予防対策として、会場にご入場いただける人数に定員を設け、予約制にて開催させていただきます。
詳細はこちらをご覧ください。
新型コロナウイルス感染予防対策について

では、今回は、初夏特別オークションの出品作品の中からおすすめの作品をご紹介いたします。
このオークションは、ある蒐集家の方から、北大路魯山人や藤本能道といった近代陶芸の名品を中心に、横山大観や加山又造といった日本の近代絵画など126点をご出品いただいたものです。
特に、陶芸、漆芸、書画、料理、篆刻など、様々な分野で類まれな才能を発揮した北大路魯山人(1882-1959)の作品がたくさん出品されます。その中でもご注目いただきたいのが、二つの色絵《雲錦鉢》と《椿づくし鉢》です。

「食器は料理のきもの」という魯山人の有名な言葉がありますが、この二つの作品はまさに「きもの」と呼ぶにふさわしい美しい図柄。魯山人は国内外の優れた古陶磁に心酔し、それらに造形の理想を求めましたが、「雲錦鉢」や「椿鉢」では、特に好んだ江戸時代の名工・尾形乾山の意匠を手本としました。



125  北大路 魯山人
《雲錦鉢》
H20.3×D37.2cm
高台内に掻き銘「魯山人」
共箱
ナオシ有

落札予想価格
¥8,000,000~¥16,000,000

 



「雲錦」とは、桜と紅葉を配した図柄のことで吉野山の見渡す限りの桜を雲に、竜田川の水面に流れる色鮮やかな紅葉を錦(織物)に見立てています。京焼で好まれた意匠で、仁阿弥道八の乾山写《色絵桜楓文鉢》(MOA美術館蔵)なども知られています。
 魯山人は、桜の花や紅葉の葉にほとんど線を用いず、色面によってそれら鮮やかに表現し                                     
ています。魯山人らしい大胆さと繊細さを併せ持った意匠と言えるでしょう。
                                        
        (別 面)                     





126   北大路魯山人

《椿づくし鉢》
H21.5×D42.4cm
高台内に掻き銘「魯山人」
共箱
ナオシ有

落札予想価格
¥10,000,000~¥20,000,000

 

 

魯山人は、様々な大きさの椿鉢を作陶していますが、こちらは大型の作品です。
鮮やかな赤、黄、緑、青の上絵具と白泥を用いて、椿の花を全体に描き出しています。絵画も描いた魯山人らしく、大胆な筆致と簡略化された造形で椿の華やかさとみずみずしさを見事に表現しており、発色も大変良いものと言えるでしょう。乾山の意匠を巧みに発展させたものであるとともに、精彩に富み、魯山人芸術の魅力である天衣無縫な趣を感じさせます。

魯山人の作品は、これらのほかに織部や備前、山水画なども出品されます。
下見会場でぜひ実物をご覧ください。
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なお、ご入札は、ご来場のほか、書面入札、オンライン入札、電話入札、ライブビッディングなどの方法でも承っておりますので、お気軽にご参加ください。
新型コロナウイルスの感染予防対策をしっかりと行い、皆様のご参加をお待ちしております。

(佐藤)