10月13日の西洋美術オークションには、ロココ調、ヴィクトリアン、バロック調など様々な様式の家具が約40点出品されます。なかでも、「ルイ]X鍍金ブロンズ飾キャビネット」(LOT 273)は、ロココ様式の装飾家具として芸術的頂点を極めた最高級の作品です。
この繊細にして華麗な家具が生まれた“ロココ”とはどんな時代だったのでしょうか。

  漫画「ベルサイユのばら」などのイメージからか、ルイ王朝が栄華を極めた時代全体をロココと思いがちですが、正確には、“ロココ”とはルイ15世統治時代の一時期、1725〜1750年頃を指します。

  この時期のフランスは、後に「大革命前に生きた者だけが、生きる楽しさを知っている」といわれるように、富める者にとって生の楽しさを存分に満喫できた時代でした。

  1715年9月、72年の長きに渡ってフランスを支配した太陽王ルイ14世が逝去し、ルイ15世が王位につきました。15世が即位すると、これまでの格式を重んじる宮廷文化は陰をひそめ、儀礼や宮廷の作法にとらわれない自由で優雅な社交生活を楽しむために、ヴェルサイユやパリ市内にサロンが多く構えられました。

  それらのサロンでは知性と文化的教養をもつ貴婦人が主人であることも多く、(特に有名なのは、王の寵妃ポンパドゥール夫人、ネッケル夫人のサロンなど)、哲学、文学、音楽、恋愛から政治まであらゆることが語られました。そこでは、威厳ある、格式ばった作法の代わりに、自由で、軽快、洒脱な振る舞いが好まれました。

  椅子に座る姿勢ひとつとっても、それまでの“背筋をピンと伸ばし、両足を揃えて座る姿勢”は消え、男性も女性も自由に足を組み合わせるポーズをとるようになりました。

  エスプリと恋愛遊戯、甘い砂糖菓子、知的で洒脱な会話、小さくてかわいらしい小物入れ・・・そんな美しく、楽しく、心地よいものに人々は夢中になったのです。

   そして、時代の空気を反映し、室内を飾る家具も、同じ曲線的であっても男性的な力強さを備えていたバロック様式より一層、繊細で女性的なものが求められるようになりました。こうして、ロココ様式の家具が生まれたのです。


  そもそもロココ以前の時代は、家具を置く室内空間そのものが巨大であったために、自然と、家具も大型のものが好まれました。しかし、サロン文化の舞台はそれまでの室内より、ずっとこぢんまりした親密な空間でしたから、そこを彩る家具も小型になります。

  また、サロンの楽しい雰囲気を演出するためか、フォルムはやわらかく、体の線にしたがって曲線を描き、まるで人間の体の一部のようになりました。また、花や植物、貝殻などのモティーフがいたるところに飾られるなど、そのデザインも繊細で優美なものとなりました。このような家具は、サロンや宮廷を優雅に彩り、貴族の間で大流行しました。流行はフランスだけにとどまらず、18世紀末にはヨーロッパ全土に広がりました。


  今回出品される「ルイ]X鍍金ブロンズ飾キャビネット」も、ロココ様式のキャビネットであり、その全体は官能的な曲線で構成され、各々の面に組み込まれた寄木は、高度な技術をもった指物師の手により丁寧に象嵌されています。さらに、中央表面にはギリシャ神話をモティーフとしたレリーフ、両端には透かし彫りの花輪と獅子頭が金で焼き付けられ、全ての金具が丹念に仕上げられています。永遠の美を体現しているといもいえるこの美しい家具は、ロココ様式の装飾家具として芸術的頂点を極めた最高級の作品です。

   ところで、いくら西洋家具が美しくとも、日本という国にある自宅にはあわないとお思いの方は多いのではないでしょうか。
しかし、本物のアンティークは空間にすっと馴染む気品や、長い年月を経てきたものだけが持つ輝きがあるものです。
また、自分が心地よいと感じるものを集めるという“ロココ的”精神を持てば、おのずと家具やインテリア、そして空間全体がしっくりくるようになるもの。“麗しきロココ”を皆さん流に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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下見会のお知らせ■
10月13日(土)開催/西洋美術オークションの下見会は下記の日程で開催いたします。
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シンワアートミュージアム (全作品展示)
10月11日(木)・12日(金)  10:00〜18:00
10月13日(土)  10:00〜12:00

入場は無料です。 どうぞお気軽にお越し下さい。

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