今年で38回目を数えるアート・バーゼルが、6月13日〜17日までスイスのバーゼルで開催された。現在世界では1年間に約100のアートフェアがあると言われている。中でも、質・売上高すべての面においてNo.1とされているのが、このアート・バーゼルである。
参加希望ギャラリーも当然多い。出店申込みは公募制をとっており、過去の展覧会、取り扱い作家などを元に委員会が審査する。約3倍の競争率を潜り抜け、今年は約300軒の選りすぐりのギャラリーが各国から集まった。世界中のコレクターやアート関係者が注目するだけに、バーゼルに出られるかどうかは、ギャラリーにとって大きな意味を持つ。
コレクター達にとっても、新しいコレクションの入手場所は今やアートフェアが中心とも言われている。

今年のアート・バーゼルは特に盛況で、世界中からコレクターやキュレーター、美術関係者やアートファンが約60000人、また約2300人のメディア関係者が訪れ、ともに過去最高となった。周辺のホテルは数ヶ月前から予約でいっぱい。例年話題になるプライベートジェットの数も、今年は特に多かったとか。なかには、近場のミュンヘンからわざわざプライベートジェットでやってきたコレクターもいたという話もある。
コレクターやアートファンだけでなく、世界中の美術館から、収蔵品を決定する権限を持つ「ボード・メンバー」たちも大挙してバーゼルを訪れる。新しい収蔵品に適する作品を探しにやってくるのだ。まさに、今後の美術の潮流が作られる源という面を持っていることが分かるだろう。 ギャラリーもそれを見越して、一押しの作品をバーゼルに持ってくる。
作品の購入を考えている人々にとっては、一般オープン前日のプレビューが勝負となる。会場オープン前には長蛇の列ができ、オープン後数時間で目玉作品はすべて売れてしまうというのが毎年の通例らしい。

今年のプレビューでは、コレクターが目をつけた作品があった場合、実際に購入を決心するまでのいわゆる「取り置き」を10分間しか認めないというギャラリーもいくつかあったようだ。まさに作品との運命の出会い、一期一会の出会いの場なのである。
バーゼルの前月の5月には、ニューヨークのオークションでロスコやウォーホルの作品が80億円以上の値を付けるなど、アートマーケットの過熱ぶりを見せた。その直後だけに、バーゼルでの各ギャラリーの値付も気になったところだが、オークションの価格はある程度の目安にはなっても、バーゼルでの価格がすべてこれに連動しているというわけでもない。
購入者は、オークションでのセカンダリー価格以外に、期待感、需要、歴史、作品のコンディションなど様々な要素を踏まえて適切な価格かどうかを判断する必要があるだろう。

日本からは、小山登美夫ギャラリーギャラリー小柳SCAI THE BATHHOUSEシュウゴアーツの4軒のギャラリーが参加。どのギャラリーもプレビュー日にほぼ完売に近いというほど好調だったようだ。
また、バーゼル市内では同時期に、SCOPEやLISTE、VOLTAなどといったサテライト・フェアが開催され、アート・バーゼル本体にはまだ出展できないギャラリーや、若手ギャラリーなどが集う。扱うアーティストも比較的若手で値段もアート・バーゼルに比べると低い価格帯ものが多いこともあり、こちらも連日多くの人でにぎわっていた。
今年から、版画専門の「Print Basel」も始まった。ロンドンから最多の6軒のギャラリーが出店した他、世界各国のギャラリーが参加し、売れ行きも好調だったようだ。

更に2001年からは、シスター・フェアとして「マイアミ・バーゼル」が毎年12月にアメリカのマイアミで開催され、こちらもコレクターたちの毎年の恒例行事として定着しつつある。