アブラアン・ルイ・ブレゲ(1747-1823)が開発した機構。現在時刻のみならず、月、日、曜日、暦年が表示でき、4年に一度の閏年も補正の必要が無いカレンダー機構である。携帯電話や電波時計などの正確なデジタル機器が世界の潮流となる中、高価で整備にも時間のかかるこのような機械式の複雑時計は時代遅れと言われるかもしれない。しかしゼンマイと歯車だけで、大小の月や閏年までを表示する機構はまさに人の作り上げた小宇宙であり、かつその複雑さは人の技術の極みであり、私たちの心を魅了してやまないのである。
本セールに出品される永久カレンダーは3ロット。1995年創業の新鋭ロジェ・デュブイ2本と、1839年創業、時計界の最高峰パテック・フィリップref.3940である。
ロジェ・デュブイは現在のジュネーブを代表する時計師で、ロンジン、パテック・フィリップを経て自らの名を冠したブランドを立ち上げる。独特のケース・デザインは一見奇抜だが、「伝統に根ざした芸術的な時計製作」をスローガンとして掲げ、次々と伝統と革新を融合させた時計を製作しており、現在最も注目されているブランドの一つである。
ロジェ・デュブイの永久カレンダーはどちらもバイ・レトログラード機構を備えている。ロット425(写真上:左)は、シンプルを基調としているのに対し、ロット426(写真上:右)は文字盤にダイアル・52週表示部・小窓に別々のマザーオブパールが用いられており、角度によって様々な異なる色調を見せてくれる。
パテック・フィリップref.3940(写真:左)は1985年から生産され、今年生産中止になったモデル。永久カレンダー・クロノグラフ(現行ref.5970)と並び、パテック・フィリップを代表するコンプリケーションモデルの一つである。また、このモデルは永久カレンダーでありながら8mmという薄さを誇る。Ref.5140に現行の座を譲ったものの、その人気は今だ健在で、海外でも高額で取引されている。
新進気鋭のブランドと150年以上の伝統を誇るブランドの永久カレンダー。一見全く異なる時計だが、その哲学、職人の技術、製作にかける情熱はどちらのブランドもスイスの時計作りの伝統に根ざしている。だからこそ、ため息の出るような美しさを持つ時計が生み出され、さらには私たちの心をひきつけるのであろう。
さて、あなたはどちらの永久カレンダーを選ぶだろうか?