5月19日(土)、近代美術オークションで驚くべき結果が生まれた瞬間です。
事前の落札予想価格(下限)は6000万円、実に5倍の金額です。

世界でもっとも有名な画家の一人に挙げられるであろうピカソ。
彼は、大変多くの作品を遺しています。中でも、画面中央にピカソ自身と思われる画家が、そしてキャンバスをはさんだ対面に絵のモデルが配されるという構図をとる『画家とモデル』は、晩年のピカソが、時に一日に2・3枚ものペースで繰り返し繰り返し描いた主題です。
もちろん、海外でもオークションに出品されることが少なくない画題の一つでもあります。

その取引価格は、日本以上にアート市場が盛り上がる海外では当然、日本よりも高い傾向にあります。
しかし、この日の結果は、同時代・同主題の作品の中で、国際相場を大幅に超えるものとなりました。

例えば、ちょうど1年前のサザビーズ ニューヨークのメインセールに出品された、今回とほぼ同サイズの『画家とモデル』(左上)は1,718,400ドル(手数料含)で落札されました。
1ドル120円で換算するならば、約2億621万円。
そしてつい先日、5月9日のクリスティーズ ニューヨークのセールに出品された30号の作品(右上)は2,840,000ドル(手数料含)で落札。
その大きさにもかかわらず、手数料を含む価格は当社のものを下回っています。つまり、
これまでの国際相場を軽々と飛び越える驚愕の落札価格であり、日本のアート市場が新しい局面を迎えつつあるのではないか、と思わせるに相応しいものとなりました。

未だデフレの影響を抜け出せていないと言われる、日本の美術市場。しかし、時に、このような記念すべき瞬間が誕生するのもまた事実です。
そしてその瞬間に立ち会うことができるのも、オークションの醍醐味の一つなのかもしれません。

当社出品の「画家とモデル」は10号サイズ。
  一般的には、同じ主題・同等の仕上がりの作品ならば 大型の方がより高額となる。