去る4月10日から12日の3日間にわたって、有楽町の東京国際フォーラムで「アートフェア東京2007」が開催されました。アートフェアとは、大型の会場内にギャラリーやアートディーラーが一堂に会して展示販売を行う美術のいわば見本市です。日本最大のアートフェアである「アートフェア東京」には、日本国内を中心に古美術からコンテンポラリーアートまで約100件のギャラリーが軒を連ねました。
今回の入場者数は、9日のプレビューを含め4日間で32,000人にも上ったといいます。また、会期終了後の総売上は、約10億円となり、前回(2005年8月)の約2億円から大幅な伸びを示しました。
今や、世界中で年間いくつものアートフェアが開催されており、コレクターやアート関係者が、どんなギャラリーでどのようなアートを見せているのか、どんな面白い作家がいるのか等、アート界の最新情報を見ようとこぞってアートフェア会場に訪れるので、ギャラリーにとっても大変重要な場となっています。コンテンポラリーアートに特化したアートフェアの中で、質・出展ギャラリー数ともに最大規模とされているのが、今年で38回目を迎えるアート・バーゼルです。毎年、6月にスイスのバーゼル、12月にはアメリカのマイアミと、年2回開催されます。その他メジャーなフェアとしては、ロンドンで開催されるフリーズと、ニューヨークで開催されるアーモリー・ショウがあります。
今回は、2月にニューヨークで開催された「アーモリー・ショウ」についてご紹介します。「アーモリー・ショウ」の名前の由来は、1913年に開催された歴史的な国際コンテンポラリーアートの見本市「アーモリー・ショウ」にあります。このフェアが開催された場所が、レキシントン街の元第69連隊本部(アーモリー)でした。現在の「アーモリー・ショウ」は、1994年にホテルで開催されるアートフェアとして始まりました。その後1999年に、会場を移し、1913年の歴史的な「アーモリー・ショウ」が開催されたまさにその場所で開催されるようになったことから、以後「アーモリー・ショウ」の名前が継承されています。今年は、初めて、ハドソンリバー沿いのピア94に特設された巨大テントの中で開催されました。臨時の展示会場内には、洗練されたデザイン感覚のブックショップ(写真:右上)やバー・カウンター、休憩スペースなどが設けられ、丸一日かけて楽しめる空間となっていました。
ちなみに、入場料は一般20ドル(1回限り)、ブースのレンタル料は、最小単位(3.7x3.7m)のブースで8850ドル(約106万2千円)ということです。
今年は、39カ国から150軒のギャラリーが出展しました。日本からは、小山登美夫ギャラリー、タカ・イシイギャラリー、児玉ギャラリー、そして今回が初出展となったシュウゴアーツ(写真下:左)、ヒロミヨシイの5軒のギャラリーが参加しました。タカ・イシイギャラリーでは、竹村京、荒木経惟の大型の作品を中心にした展示を、またヒロミヨシイ(写真下:中央)では、榎本耕一と東義孝の2人の作家にスポットを当てた展示を行っていました。
ギャラリーの取り扱い作家を満遍なくプレゼンテー ションするギャラリーもあれば、最近は1人の作家に絞って展示を行うところも増えています。たとえばアメリカで古くから草間彌生の展覧会を行ってきたロバート・ミラー・ギャラリーのブースでは、草間の大型作品のみを展示していました。また、小山登美夫ギャラリー(写真下:右)のブースは、アメリカではまだ無名の大野智史の個展形式で、作家自身がインスタレーションを行ったそうです。アートフェアには美術館のキュレーターも訪れ、フェアをきっかけに展覧会出展が決まることもあるので、アートフェアを新人作家のアピールの場として使うという傾向が出てきたようです。このように、限られた空間を活かしてどのようにアピールするかは、ギャラリーの腕の見せ所でもあるのです。

今年のアーモリー・ショウの総来場者数は52,000人、売り上げは約8,500万ドル(約102億円)に上ったということです。これは、2006年の売り上げ(6,200万ドル)から約37%の上昇に当たります。
また、コレクターやアート関係者を対象としたプレビューは有料で、今年の入場料は60万ドル(約7,200万円)。このお金はすべてニューヨーク近代美術館(MoMA)に寄付されました。
また、アーモリー・ショウが開催されていた時期、ニューヨークでは他に大小合わせて6つのアートフェアが開催されていました。
中でも、今年で19年目の歴史を誇る「アート・ショウ」(The Art Show)は、アーモリー・ショウの先輩格にあたり、米国画商協会(ADAA)主催の格式あるフェアです。出展者はアーモリーのような公募制ではなくメンバー制で、全米の一流のギャラリーが70軒、パーク街のレンガ造りの建物内に軒を連ねます。展示作品も印象派やミロ、シャガールなどの近代美術からフランク・ステラやジャスパー・ジョーンズ、ロバート・ラウシェンバーグといったアメリカコンテンポラリーアートの雄、新進気鋭のコンテンポラリー・アートまで高価格帯の作品がずらりと並び、まるで美術館のようです。
ペース・ウィルデンシュタインはイサム・ノグチの彫刻の単独展示を行い、グラッドストーン・ギャラリーではアニッシュ・カプーアの近作(写真:下)をフィーチャー。また、「フロリダ・マーリンズ」の球団オーナーであり、アート・ディーラーでもあるジェフリー・ロリアは、ヘンリー・ムアの等身大の彫刻などを出展しました。
「アート・ショウ」と「アーモリー・ショウ」の2大フェア以外にも、サテライト・フェアと呼ばれる、小規模のフェアが市内のあちこちで開催され、極寒のニューヨークの街はアート熱でヒートアップし、世界中からこれらのフェアを巡って歩くアートファンが訪れます。以下に、今年開催された5つのサテライトフェアについて簡単にご紹介します。

「アート・ショウ」と「アーモリー・ショウ」の2大フェア以外にも、サテライト・フェアと呼ばれる、小規模のフェアが市内のあちこちで開催され、極寒のニューヨークの街はアート熱でヒートアップし、世界中からこれらのフェアを巡って歩くアートファンが訪れます。以下に、今年開催された5つのサテライトフェアについて簡単にご紹介します。
● SCOPE(スコープ) http://www.scope-art.com/

今年は20カ国から65軒のギャラリーが参加(写真上)。若手ギャラリーに焦点を当てたもっとも国際色豊かなフェア。日本からは恵比寿で3年前にスペースを設立したばかりの若手ギャラリスト率いるタケフロ(写真上:右)が参加しました。ロンドンで学んだ1977年生まれの若手作家、田尾創樹の作品などが予想以上の人気を博したということです。
● PULSE (パルス) http://www.pulse-art.com/ny/
2大フェアとオルタナティブ なアート・イベントをつなぐ位置づけとして、隔年開催されるフェア(写真左:左)。これから伸びる可能性を持った15カ国・61軒のギャラリーが参加。12月にはマイアミでも開催されました。日本からはミヅマ・アートギャラリー(写真左:右)が参加。
● DiVA(ディーバ) http://www.divafair.com/
デジタル・アートと映像作品専門のフェアで、エンバシー・スイート・ホテルを会場として開催されます。
● LA Art in New York http://www.laartfair.com/
ロサンゼルスの有力ギャラリー、ディーラー23軒によるフェア。西海岸のアートシーンを一望できる。今年は海外からのギャラリー6軒も交えて国際色豊かに展開した。
● Red Dot(レッド・ドット) http://www.reddotfair.com/
エレガントなパーク・サウス・ホテルの2フロアを使って開催されるフェア。メジャーなアートフェアに出展できなかったベテランギャラリーから初めてフェアに出展する若手まで、幅広く国際的なギャラリー約40件が参加し、未発掘の才能を発見する可能性に溢れたフェア。
メンバー制である「アート・ショウ」はともかくとして、公募制の「アーモリー・ショウ」は最近競争率が厳しく、今年は応募者のうち約3割しか参加できなかったといいます。2大フェアに参加できなくても、このように多様なフェアが多く開催されていれば、若手ギャラリーにとっても世界のコレクター/アートファンに作品を見せる機会が開かれます。
また、新しい作家をいち早く発掘したいと考えているコレクターたちにとってもより選択肢の幅が広がります。
今や、アートフェアを中心に世界のアートシーンが形成されていると言っても過言ではないでしょう。
5月には韓国でKIAF(Korean International Art Fair)が開催され、来場者は65,000人、売り上げは約22億円にも上ったそうです。そして6月には、世界最大のアートフェアである「アート・バーゼル」が開催されます。
買う方も見るだけの方も、新しいアートの楽しみ方として、フェアに出かけていってみてはいかがでしょうか?
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