今シーズン2度目のワインオークションには、世界でもっとも“ヘンテコ”なワインと言われることもある「ABACUS」(アバカス)が出品されます。アバカスとは英語で「そろばん」の意。カリフォルニアワインの名品を数多く生み出しているナパに拠点を持つZDワイナリーが、1999年から年200ケースのみ生産している稀少なワインです。
アバカスのユニークさはどこにあるのでしょうか。その一つはワインの生産年、ヴィンテージの記載がないことにヒントがあります。実はこのワイン、ZDで生産された1992年から出荷年までのワインをブレンドして瓶詰めされているのです。ボトルにはそろばんの絵が入ったプレートがかけられ、そろばんの玉で中に入っているワインの年代が表されています。これがユニークさの一点目。
しかし、数年分のワインを混ぜるという特徴では、異なるヴィンテージを3〜5種ブレンドして造るVega SiciliaのUNICO REZERVA Especial(スペイン)や、フランス・シャンパーニュ地方で作られるシャンパンも同類といえます。アバカスの何がこれらのワインと比べ一層ユニークなのか。それは複数年のワインをブレンドするのにシェリー酒と同じ「ソレラ・システム」を採用している点といえるでしょう。恐らく赤ワインでは史上初ではないでしょうか。
「ソレラ・システム」とは、ワインの入った樽を数段積み上げ、1番下の段の樽からワインを一部抜き取って瓶詰めし、その分をすぐ上の2段目の樽から補充し、2段目の樽から抜き取った分をさらに上の3段目の樽から補充するということを順に繰り返し、一番上の段の樽へはその年の新しいワインを足すというもの。これにより熟成度・味わいの異なる数年分のワインが自然に混じりあい、年による品質の上下が少なくなります。また、単年では不可能な複雑な味わいを生み出すことにもなるのです。
今回のオークションには入手困難なこのワインが、ブレンド年代の異なる3タイプ出品されます。3タイプを飲み比べてみるというのも一興かもしれません。
さらに今回は、前述のアバカスと同じ、入手困難で知られるカリフォルニア「カルト」ワインが多数出品されます。今やフランスやドイツと並び一大ワイン生産地に成長しているカリフォルニア。莫大な資金と最新の科学技術や醸造法を駆使し、高品質のワインを作りだしています。
例えば、カリフォルニアワインの新星「KONGSGAARD」(コングスガード)。96年のデビューと同時にワインスペクテーター誌(世界から高く評価されるアメリカのワイン専門誌)の5つ星を獲得。いまやマッカーシン、キスラーという大御所と並び、シャルドネ(シャルドネ種の葡萄で作った白ワイン)御三家と呼ばれています。
その他にはワイナリー創設者ギュスタヴ・ヴァレとその妻ナオコの娘マヤの名を冠した、ダラ・ヴァレの「Maya」(年500ケース生産)。勿論、スクリーミングイーグル・ハーランエステート・オーパスワンといったカリフォルニアワインのベテラン勢も勢揃いします。
ロマネ・コンティやシャトー・ムートンロートシルトが素晴らしいワインであることは疑いようもありません。しかしこの機会に、まだ馴染みの薄い方も多いカリフォルニアワインの魅力に、いち早く浸ってみてはいかがでしょうか。
■ワインオークションは2月17日(土)/シンワアートミュージアムにて開催いたします。遠方の方でもお気軽に書面でご参加できますので、
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