2006年1月13日、14日の2日間、東京・神楽坂にある隠れ家的なホテル、「アグネス ホテル アンド アパートメンツ東京」(以下アグネスホテル)において、コンテンポラリー・アートのフェア「アート・アット・アグネス2007」(以下、A@A )が開催されました。 12日夜のプレビューも含めると、総入場者数は述べ4500人に上り、大変な盛り上がりをみせました。 ホテルでのアートフェアとは一体どんなものなのか。 事務局の中心となって企画を進めてきた市川靖子さんにお話を聞きました。

=シンワ、=市川氏

S: まず、A@Aの概要について教えて下さい。
I : A@Aは、神楽坂にある長期滞在型ホテル「アグネスホテルアンドアパートメンツ東京」で開催するアートフェアです。 国内各地から集まった現代美術のギャラリーが、ホテルの一室をブースに仕立て、選りすぐりの作品を展示する、という企画で、3回目の今年は31件のギャラリーが参加しました。

S: 今年で3回目ということでしたが、そもそもどのような経緯で始まったフェアなのですか?
I : アグネスホテルでは、以前からコンサートなどの文化イベントを数多く開催していていましたが、ある時、ホテルのオーナーである千賀徹氏が、テレビでニューヨークのホテルのアートフェアのニュースを観て、アグネスホテルでもこのようなイベントをやってみたいと思いついたのがきっかけでした。 そこで、千賀氏が、幼馴じみでギャラリー小柳の代表である小柳敦子さんに相談して、第1回目のA@Aが開催されることになりました。

S: 第3回に至るまではどんな感じでしたか?
I : 第1回目(※1)と第2回目(※2)は、ホテルの一部を使用しての開催だったため、参加ギャラリー数も今回より少なく、他の宿泊のお客様やセキュリティのことを考えて、一般には公開せず、招待客のみでの開催でした。
※1)2005年の8月7、8日開催、※2)2006年1月28、29日開催

S: 第1回目と第2回目の規模は具体的にどの位だったのですか?
I : 第1回目は、11画廊で開催し、400人位の来場者がありました。第2回目では参加画廊は19画廊に増え、約750人が来場しました。

S:
それが、第3回目の今回は全館利用となったのは?
I :
生活空間に近いアットホームな雰囲気の中で作品を鑑賞できるという点が好評だったので、3回目の開催となる今回は、ホテル全室を利用する大規模なものとなりました。 また、全館利用になったことで、一般のお客様にもオープンにすることができました。

S:
全館利用、一般公開となったことで、何か変わりましたか?
I :
まず、これまでに比べて圧倒的に若い人たちの来場が多かったことです。その分、来場者数に占める購買者の割合は低く、とにかく盛り上がっているという印象を与えられたと思います。

S: そうですね。土曜、日曜とも、ホテルの外まで行列しているのを見て驚きました。
I :
ただ、事前の予想をはるかに上回る来場者数があったことで、ゆっくり作品を鑑賞できる環境を提供できなかったということは反省点です。日曜日は閉場時間前に入場受付を打ち切らざるを得ませんでした。

S:
日本には他に、東京で開催される「アートフェア東京」、関西地区で開催される「ART in CASO」などがありますが、他のアートフェアと比較しての、A@Aの特徴を教えて下さい。
I :
まず、A@Aの出展者はコンテンポラリー・アートのギャラリーだけだということです。 次に、ギャラリー空間とは離れたホテルの部屋という空間ならではの展示を楽しめるという点です。ベッドやバスルームのそこかしこに仕掛けられた遊びごころに溢れた展示を楽しめるほか、実際作品を部屋に飾ったらどのようなイメージになるのか、具体的にイメージすることができるのも大きな特徴です。

S:
参加ギャラリーはどのように選定したのですか?
I :
原則として、企画画廊といって、画廊の方向性に沿ったアーティストについて、展覧会企画からプロモーションにおいてリプリゼント(※3)し、また、若いアーティストの発掘なども行っているギャラリーを中心に集めました。今回は全館利用になったので、東京だけではなく、関西地方の画廊にも参加していただくことができました。

※3)展覧会の企画、プロモーションから、作品の管理などのマネージメント業務まで、責任持って行うこと。

S:
今回は、ギャラリーだけでなく、アーティスト・ラン・スペース(アーティストの自主運営による展示空間)も参加していたようでしたが?
I :
はい。今回は、BOICE PLANNING(※4)とGallery stump kamakura(※5)というグループが参加しました。 かつて、アート・バーゼル(※6)で、プロジェクトを発表するためのブースがありましたが、それが大変画期的だったので、A@Aにも、展示・販売を主体としたブースだけではなく、若いアーティストたちが行っている活動を見せる場があってもいいと思い、今回含めることにしました。

※4)現代美術作家の共同のスタジオ「アトリエボイス」から名前を引き継いだ非営利目的の任意団体。2002年秋から活動開始。
※5)2005年夏に若手アーティストグループStumpが鎌倉に立ち上げ、企画運営のすべてをアーティストが行っているギャラリー。
※*6)スイスのバーゼルで毎年夏に開かれる、世界最大規模のアートフェア。5日間の会期中に、世界中から美術関係者やコレクターなど約6万人が集まり、活発に売買が行われる。

S:
フェアの運営はどのように行われているのですか?
I : 第1回目に参加した11画廊がコミッティー・メンバー(実行委員)として中心となり、また、事務的な運営業務はレントゲンヴェルケ内に設けた事務局で行いました。

S: 日曜日には、ホテル向かいの公園でイベント(*6)が行われていましたが、あれはA@Aと関係あるのですか?
I : アートフェアと直接は関係ないのですが、このフェアに便乗する形で開催されたイベントでした。海外のアートフェアでも、フェアの時期に合わせて美術館で特別な展覧会が開かれたり、街中でアートイベントが開催されたりします。このように、アートフェアの周辺で活発にイベントなどが行われるのは、とてもいいことだと思います。

(*6)14日(日)、アグネスホテル向かいの新宿区若宮公園で、京都造形芸術大学芸術編集研究センターの主催により『magical, ARTPARK』が開催された。公園内に特設されたテント内での展示、ライブペインティング、パフォーマンス、鍋を囲んでの美術関係者によるトークなどが行われた。

S:
先ほど、若いお客さんもとても多かったというお話がありましたが、コンテンポラリー・アート全体が盛り上がっている感じですね?
I :
はい。飯田橋駅のホームで、アグネスのチラシを手にした学生さんたちが、「すごく楽しかった!やっぱり現代アートって面白いよね!」と言っているのを聞いた人がいたそうです。今回のA@Aは、アートを身近に楽しむ層の裾野を広げた、また若いアーティストやアーティスト志望の学生さんたちに、刺激を与えることができたと思います。

S: また今後も開催されますか?
I : いつになるか、またどんな形になるかは未定ですが、おそらく次回も開催すると思います。次回からは、もっとゆっくり作品を鑑賞していただけるように、前売りにして人数制限をするかもしれません。アートを買いたい人も、見たいだけの人も、アーティストも巻き込んでみんなで楽しめ、周りにもこの楽しいムードを押し広げていけるようなイベントにしていきたいと思います。

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[コメント] 私は連日足を運びましたが、とにかくたくさんの人に圧倒されました。訪れた人たちは、友達同士、家族同士で連れ立ってホテル内を回っていて、とても和やかな雰囲気でしたし、アーティストの卵と思われる若い人たちは、食い入るように作品を見つめていました。 各部屋の展示にもそれぞれのギャラリーの個性が出ていて、同じホテルの部屋なのに、全然違う雰囲気になっているのが面白かったです。若いアーティストの作品だと価格帯も数千円レベルのものからあり、思わず「買いたい!」と思うと、もうすでに売れてしまっていたりしました。アートを見るだけではなく、「購入して生活に取り入れる」という感覚が、だんだん普通の感覚になりつつあると感じました。(k)
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参考:アート・アット・アグネス2007公式ホームページ

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配信日:2007年1月 / Copyright 2007 Shinwa Art Auction, Co. Ltd. All rights reserved.